朝霞市児童福祉課 御中 朝霞市次世代育成支援行動計画中間とりまとめ案に対する意見 提出日 2005年1月14日 提出者 あさかの子どもの未来をつくる市民の会 あさかの子どもの未来をつくる市民の会では、このたび募集された朝霞市次世代育成支援 行動計画のパブリックコメントに対して以下の文書を提出いたします。前向きなご検討を お願いいたします。 ※ あさかの子どもの未来をつくる会は、市内に住む、子どもにかかわるさまざまな市民 活動をしている人が集まって、子どもやその保護者が暮らしやすい地域社会づくりをめざ し、子どもに対する施策や子育て環境の改善のために提言をしていくグループです。 1.私たちの基本的考え方  朝霞市は、少子化に覆われている全国の自治体と比べて、まれにみる、子どもと子ども を育てる保護者の多い自治体です。子どもが多い、という幸運な環境にある朝霞市におい て、これまで子ども政策、子育て支援策が十分に能力を発揮してきたか、というと、実感 からも、この計画を策定するにあたって実施した市のニーズ調査結果からも疑問を呈せざ るを得ません。  1999(平成11)年に朝霞市はエンゼルプランを策定し、考え方の前提となる「基本課題」 で、朝霞市が子どもの多い自治体であることを自認し、保育や教育での施策の強化を求め られました。また施設整備の推進も言及されました。また、子育ての相談体制の充実や保 護者のネットワークづくりなども施策の柱に掲げられてきました。  しかし、そこで掲げられた施策は、保育所の定員増、児童館の新設、小学校の新設が行 われたにとどまり、それですら保育所の待機児童問題、子どもの居場所不足、長距離通学 の解消には至っておりません。また、かつての機関委任事務で国が役割づけた枠外の子ど も政策、例えば子育ての相談体制や保護者のネットワークづくりで朝霞市が果たした役割 は及第点の与えられるものではありません。また、障害児や生活困難家庭の子など、複数 の行政施策にまたがったり、そのすき間にある子どもや保護者のおかれた状況などは問題 が多いと言わざるを得ません。  人口数や経済開発的な視点での朝霞市の発展に目を奪われる余り、そこに住む人々の生 活の質の向上とそれを支える行政サービスや行政の誘導策、支援策が後回しになってきた のではないでしょうか。  今回の朝霞市の次世代育成支援行動計画の策定は、子ども政策のプライオリティーを上 げていく千載一遇のチャンスととらえています。また、国による次世代育成支援行動計画 の策定指針では、従来の保育、教育施策の充実一辺倒から土地利用など周辺施策との一体 的な問題解決や、市民参加の計画策定、市民のもつ専門性や実践活動を施策に取り込むこ とが求められ、画期的なものとしてとらえています。  今回、子育て世代の親を中心とする私たちが当事者の視点で、朝霞市の次世代育成支援 行動計画中間とりまとめ案に対するパブリックコメントに積極的に参加し、計画のよりよ い改善と、充実を実現させたいと考えております。  パブリックコメントに提出する意見では、以下の10点の考えを基本におきたいと考えて います。 @朝霞市のなかで子どもや子どもを育てる保護者が大切にされているか。 A子ども自身の育つ力を重んじ、子どもを力づけ、自治能力を高めるような施策が盛り込 まれているか。また子どもが自立するまできちんとフォローできる計画となっているか。 B転入者が多い現実から、地域でのネットワークがゼロである保護者に届く方法が書かれ た計画であるか。 C子どもが多様な子どもどうしで育ち、葛藤し、励まし合いながら育つ地域社会がつくら れるかどうか。 D様々な困難な事態に対して、子どもや子どもの保護者が自治体や公的機関、地域社会に よって守られるセーフティーネットの機能が果たせるか。 E少数ではあっても深刻な問題におかれた子どもや、支援を必要とする子どもに適切な施 策が行われる計画となっているか。 F家族形態や国籍の多様化など、暮らし方の多様化に対応できる計画となっているか。 G子どもや子どもの保護者が政策や事業に参加できることを保障した施策となっているか。 H地域力(地域の様々な子育てに携わったり関心をもっている人々の力)を活かす計画と なっているか。 I保育や教育だけの対症療法ではない対策になっているか。  この10点の基準をそれぞれの計画の文案と照合し、修正や加筆を求め、場合によっては 全面的な補強や修正を求めていきたいと考えています。 2.市の計画案に対する意見 2.1.基本理念に対する意見 ◆市の中間とりまとめ案から引用 1.朝霞市次世代育成支援行動計画の基本理念  私たちの暮らす朝霞市は、都心への通勤の利便性が高いことから集合住宅の建設が進み、 人口は一貫として増加傾向にあり、また人口の約一割が転入出する社会移動の激しい特性 を持つまちです。出生率は国や県より高く、年少人口(0〜14歳の人口)も着実に増え ています。近年、生活スタイルの社会的変化や都市化の進展などにより、子育て家庭を取 り巻く環境は大きく変化し、あらためて地域の人と人とのふれあいを大切にすることが求 められています。  朝霞市は、子どもたちを育てる父親、母親、これから子どもを生み育てる次世代の親、 また子育てに関わるすべての人が、ともに子育てに対する喜びを実感することができ、子 育ての意義について理解を深めることができるよう、市民と市政のみならず、子育てに関 わるすべての方々と協働し、地域全体で子育て家庭を応援する、安心でやさしいまちづく りを目指します。 「子も親も地域もともに育ちあおう よろこびをわかちあえるまち朝霞市」 基本理念を太陽にたとえ、常に私たち(子、親、地域)の頭上で輝き、私たちを見守って いることをイメージしました ◆上記に対する意見 @ 子どもが増えている自治体であることを認めながら、朝霞市としてすべきことをにつ いて言及していない。その一方で、急に文章が生活スタイルの変化に言及して、ふれあい の大切さを求めている。朝霞市の子ども政策はふれあいの大切さを認識することで改善さ れるのだろうか。適切な分析と評価から、子ども政策の重要度を明確にした文章とするこ とを求めたい。 A 「子どもたちを育てる父親、母親」という表現が適切ではない。父親・母親とした理 由は何か。「親」と修正すべきである。もっと人権に配慮した言い方であれば、養親や、祖 父母や施設で養育される子もいるため、保護者という書き方が適切である。またもっと地 域社会や朝霞市全体が子どもを歓迎する地域とするような表現にされることを求めたい。 B この計画では、第1の当事者であるはずの子どもについてここでは何1つ記述されて いない。子どもが大切にされ、子どもにとっての暮らしやすい地域づくりに向けた考え方 を織り込むべきである。 C 計画中間とりまとめ案全体に対して言えるが、行政の責任や、この計画の重要度など が全く見えてこない。市として子どもや子育てを重点化する、という分かりやすいメッセ ージや指標を打ち上げることを求めたい。 2.2.行動計画において大切にすべき視点に関するコメント ◆市の中間とりまとめ案から引用 2.行動計画において大切にすべき視点 この計画では、次に示す3つの方向性を「行動計画において大切にすべき視点」としまし た。 子どもの視点 すべての子どもが尊重され、子育て支援が真に子どもが幸せに育つためのものになるよう、 子ども自らの成長を応援し、当事者の視点を大切にした取り組みを推進します。 保護者の視点 就労子育て家庭のみならず、在宅子育て家庭への支援など、子どもを養育するすべての保 護者が、自らの温かな手で子育てできることを応援する取り組みを推進します。 地域の視点 保護者が孤立することがないよう、地域のあらゆる社会資源を活用してそのネットワーク を強化し、明るい子育ての環境づくりを推進します。 ◆上記に対する意見 @ 子どもの最善の利益に立った視点が挙げられており、私たちはこの「行動計画におい て大切にすべき視点」について高く評価する。 2.3.基本目標に関するコメント ◆市の中間とりまとめ案から 3.基本目標  この計画では、基本理念を実現するために次の3つの基本目標とし、それらを3つの柱 として総合的に施策を推進していきます。 ◆上記に対する意見(なし) 2.3.1.基本目標1に関するコメント(以下逐条ごとに意見を記述します) ◆市の中間とりまとめ案から 基本目標1:すべての子育て家庭を応援するために  子どもが幸せに育つことを第一に考え、在宅で子育てしている家庭・働きながら子育て している家庭・両親家庭やひとり親家庭・特別な配慮を必要とする子どもを養育している 家庭などすべての家庭を、保健・医療・福祉・教育の各分野が密接に連携しながら総合的 に応援します。 ◆上記に対する意見 @ 保健・医療・福祉・教育の連携を言及していることは評価できる。これまで子どもに かかわる市の機関が連携せず、複雑な事例はたらい回しにされて力になってもらえない話 が多かった。しかしその現実をどのように変えるのか、具体的な改善点がよくわからない。 総合的に応援するとはどういうことかを明示すべきである。 A 後段の基本目標2や基本目標3などと比較した文脈からは、これらの施策の担い手が 行政機関に限られているニュアンスを感じる。在宅育児をする保護者などの支援では、す でに「ASAKAいくじネットワーク」などのNPO活動などが積極的に取り組んでおり、 施策の推進にあたるのは行政だけではないのではないか。民間の市民活動やボランティア との連携について記述すべきだ。朝霞や近隣地域で、若い人たち自身が地域社会を良くし たいというエネルギーや住民の動きが見られたら、そのチャンスを逃さず「協働」するこ とをもっと追求すべきだ。一方で、最低限の行政責任についても言及されていないので、 行政の施策の実行責任も明記すべきだ。 ◆市の中間とりまとめ案から ○地域における子育て支援の充実 ・子育てに関する支援体制の基盤整備 ◆上記に対する意見 B 「子育てに関する支援」とは何を指すのか、一般的で不明であり、明確化すべきだ。 この中間とりまとめ案全般的に言えることだが、具体的な目標がない。どの政策が何のた め、どれだけの量、いつまでに整備されるのか明記すべきである。市民にとって、どのよ うな支援策が改善されるのか見えない状態で計画の良し悪しの評価をすることは不可能で ある。基盤整備とは一般的に施設の建設や人員の確保をさすが、それがどのような内容な のか明らかにすべきである。国が次世代育成支援行動計画のサービス基盤の数値目標とし て掲げる特定14事業のことであれば、それを明らかにすべきであり、また算定根拠や調査 結果についても明らかにし公正な議論を求めるべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・相談機能の充実 ◆上記に対する意見 C 相談にあたる人材の育成とスキルアップ、相談体制の総合化、フリーアクセス、縦割 り行政の弊害の排除、民間福祉事業者や民間団体等との連携を盛り込むべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・地域における子育てのネットワークづくり ◆上記に対する意見 D 地域社会の関係性の希薄化や、町内会活動の高齢化、商店街の衰退など、子どもを育 てる親にとって、子どもが学校に入学する前は親どうしの関係をつくる機会をつかむこと が難しくなっている。地域福祉計画策定の市民アンケートなどでも、市民が地域で孤立し て相談者もなく暮らしている状況が浮かび上がっており、この地域の特色ある問題とも言 える。とくに、子育て中の保護者の孤立は、育児不安、育児うつ、育児ノイローゼに発展 する可能性が高く、最悪の事態では、児童虐待事件に至る可能性を持つ。保護者の孤立を 回避し、保護者に安心を与えるために、すでに活動している「ASAKAいくじネットワ ーク」などのNPO活動をはじめ、保護者どうしや地域社会と保護者を結ぶような市民活 動と連携し、子育て当事者の親のネットワークづくりに取り組むべきである。この項目は、 危機回避という点で重要であり、項目の最初にもってくるべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・子育て情報の提供 ◆上記に対する意見 E 転入世帯が多い現実と、約4割の住民が市外通勤者(「朝霞市民・職員意識調査」によ る)であることを考えると、現在の朝霞市の情報提供は不十分だ。市の広報のほか、子育 てに関するガイド、ホームページなどでの広報を行うべきだ。ガイドブックを作成した場 合は、市役所だけではなく、保育所、幼稚園、学校事務局、児童館、不動産業者など、多 様なチャンネルで配布し、子育て世帯で情報が共有されていることに配慮する必要がある。 また作成にあたっては、子育て当事者たちの視点を入れるために、子どもや子育て当事者 たちによる評価や、将来的には子育て当事者による編集作業なども考えるべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・多様なニーズに応じた保育支援の充実 ◆上記に対する意見 F 「多様なニーズに応じた保育支援の充実」多様なニーズとは何を指すのか、明らかに すべきである。一時保育について厚生労働省は児童虐待防止の原因となる育児ノイローゼ の緩和の観点から、保護者のリフレッシュのために使うことも可能としているが、朝霞市 はこのような利用を否定している。保護者のリフレッシュや、育児ノイローゼ緩和のため の一時保育を実現すべきである。また介護保険制度のように、利用対象を就労や虐待予防 以外の保護者の社会生活上の都合なども含めて検討すべきである。さらには、幼稚園がパ ート労働者の保育機能を果たしており、保育所には、両親とも就労している子のための施 設でよいのか、という問題意識もある。子どもが親の就労形態で分断されて地域で育つこ との弊害は大きい。一体的な保育サービスを実現するために、保育所・幼稚園の一元化、 一元的運用について方針化すべきである。 G ここで掲げられている施策を展開すれば、サービスの多様化、複雑化や、NPOや営 利企業など多様な事業者の参入が考えられるため、利用者の保護が必要だ。従来の行政監 査や、行政による指導施策だけではなく、事業者に対して問題解決を図るオンブズマン等 の整備が不可欠である。 ◆市の中間とりまとめ案から ○子どもや母親の健康確保および推進 ・子どもや母親の健康の確保 ◆上記に対する意見 H 国の施策が母子保健となっているので「子どもと母親」という表現になっているが、 妊娠・出産の物理的な出産にのみ着目した施策にとどまってしまう。子どもを産み育てる、 ということは生活や社会とのかかわりもあり、父親の育児参加が求められる中で、従来の 「母子保健」のイメージのままで健康確保をしていくことが適切とは思えない。また、児 童虐待防止や児童虐待の対策などの視点も考えれば、両親ともどもに対する精神衛生の対 策は急務になっているのではないか。 I 従来行われている母親学級を、両親学級として、父親の育児能力の向上を推進すべき である。 J 朝霞市には夫婦だけ家庭が多い。そのような家庭での出産は夫婦以外の支援が必要だ。 母親の健康維持だけではなく、出産後の家事・育児・外出を控えるべき時期のホームヘル パー派遣など、生活の支援も充実し、安心な出産が可能なまちづくりを推進すべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・食育の推進 ◆上記に対する意見 K 食事のスタートアップとなる保育所給食や、幼稚園の給食・お弁当などを通した食育 を重視し、保育所調理員や学校給食調理員による保護者に対する食事づくり指導などに取 り組むべきである。そのためには、調理員の専門スキルの向上などを図るべきである。朝 ご飯ぬき、夕食は弧食という子が増え、食生活が乱れる傾向が進むと思われる中、保護者 への働きかけとともに、食事がおろそかになっている子どもに対するケアも、これらの既 存の施設を使って考えるべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・思春期保健対策の充実 ◆上記に対する意見 L 「思春期保健対策」という表現をもっとわかりやすく修正すべきである。子どもが思 春期を育っていく際に必ずつまずくのは性の問題である。また、子どもが出産や性を直視 し、きちんとした知識にもとづいて責任ある人間関係のつくり方ができるように取り組む 必要がある。また子どもの性感染症の感染や妊娠中絶が増大しており、そういったものか ら子ども自身が自分を守るためにも、子どもや親に対して、思春期における出産や性に対 する保健活動や情報の提供は重要である。「出産と性についての教育と思春期の子どもへの 支援策」と改めるべきである。 M 子どもにとって害の大きい、酒、たばこ、薬物などは思春期に手を出し、常習化しや すいため、これらに対する学習を推進することは重要である。 ◆市の中間とりまとめ案から ・小児医療の充実 ◆上記に対する意見 N 小児医療の充実は必要不可欠と考える。第1に現在空白となっている小児救急医療体 制の確立を図るべきである。また、小児医療を個別パーツで充実するのではなく、社会生 活上の子どもの健康と育ちの視点を重視し、病児保育、虐待や不適切な養育のケア、発達 障害の支援などと一体的な小児医療のあり方を示すべきである。また、本当に小児医療を 必要とする子に適切な医療が行われるため、過度な医療の利用を促さないような施策も充 実すべきだ。保護者に対する子どもの健康や病気に関する知識啓発など、日常の子どもへ の保健活動等で、子どもの予防医療を充実すべきである。 O 発達障害について、医療面での充実が必要。療育機関への紹介等についてのシステム、 市内においても、医療的相談先や療育の充実が必要である。 P 子どもと接する施設等での医師や臨床心理士などの出前相談や、ケースワークの実施 などにより、医療との緩やかな連携が必要だ。 ◆市の中間とりまとめ案から ○特別な配慮を必要とする子どもへの対応など、きめ細やかな取り組み ・虐待や人権侵害から子どもを救う体制づくり ◆上記に対する意見 Q 児童虐待や子どもに対する人権侵害に具体的な対応策を明示すべき。児童相談所頼み の施策ばかりではなく、基礎自治体として子どもという住民を守り、保護者という住民を 加害者にしないような積極的な対応を行い、必要な人員確保や子どももアクセスできる相 談窓口の設置をすべきだ。具体的な事例としては、情報収集体制の強化、24時間対応の緊 急避難保育の実施、子ども精神科の充実、発生時や予兆発生時の緊急対応体制の構築、子 どもオンブズマンの設置などが全く見えてこない。また、DV問題の多くには児童虐待が 行われており、DV対策との一体的な対応も必要である。 ◆市の中間とりまとめ案から ・ひとり親家庭の支援 ◆上記に対する意見 R 新規結婚家庭の2組に1組が離婚している現在、この施策は重要になってくる。母子 家庭中心だった施策を、父子家庭を視野に入れた施策を行うべきであり、「ひとり親家庭の 支援」としたことは評価したい。具体的に、ひとり親家庭への所得保障、ホームヘルプサ ービス、しなやかな相談活動などが必要になり、児童福祉課だけではなく、福祉事務所や 介護業者などの連携した取り組みが必要だ。また、ひとり親家庭に対する差別が根強く、 子どもの育成や行政の適切な支援を提供する際の障害になっている。ひとり親家庭に対し て差別解消の啓発活動も行うべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・障害のある子どもへの施策の充実 ◆上記に対する意見 S 障害児の対応については、困難性への対応と障害児以外との分断されない育ちの、両 方に対応した施策が必要である。地域か、施設か、という二者択一の対応ではなく、地域 での障害児の育ちを基本に、本人の必要性に応じて専門教育・養育でフォローすることが 必要である。今は専門的な対応を求められると地域から切り離されてしまう。また診断、 医療、ケア、教育を一貫した対応と支援を実現することが急務であり、行政窓口や担当者 の一本化を求めたい。また親に対する支援を行うことが必要である。障害児に対する専門 職員、教員の資質向上を求めたい。 21 障害児が地域社会でみんなとともに育ち暮らしていくためには、障害をもつ子が成人 した後まで見据えた生活づくりが重要になる。それを支えていく、地域社会の理解の啓発 と、障害をもつ子の保護者の育ちを支援することが必要である。 ◆市の中間とりまとめ案から ○仕事と子育ての両立の支援 ・保育園、放課後児童クラブの充実 ◆上記に対する意見 22 朝霞市は全国屈指の待機児童問題を抱えており、社会問題化している。 保育所の待機児童問題の深刻さを明記し、解決する方向を明示すべきだ。男女共同参画や、 女性の潜在的な就労ニーズについて踏み込んだニーズ調査を行ってきたのか明らかにすべ きである。また、市独力での施設増が不可能であれば、市の能力以上の子ども人口増加に つながっている住宅開発の規制などを行い、需要コントロールに踏み込むべきである。ま た、住宅開発や土地開発を行う業者に対して、子ども関連施設の整備を目的とする自治体 としての独自課税や、施設や用地の提供などを求めていくべきである。子どものための施 設を確保せずに住宅開発を許可するのは問題である。 23 求職者保育、通勤時間も織り込んだより広い延長保育・休日保育と明記すべきである。 また、公立保育所も産休明け保育や、保育開始月齢の前倒しを行うべきである。 24 朝霞市の特色とも言える家庭保育室も、ただ是認して補助金を出すのではなく、認可 保育所の代用とするのか、児童福祉法に定める「保育に欠ける」の枠を超えた「多様な保 育ニーズ」の受け皿とするのか明確にし、認可保育所の代用機能として運営されている家 庭保育室については、政府の規制緩和や地方分権による制度変更を活用し、早急に認可保 育所に転換を促し、運営上の質を担保する財政的保障を行うべきである。 25 放課後児童クラブは、受入対象学齢を小学校卒業まで拡大する必要がある。また、児 童館や子どもの居場所づくりなどと連携をとった運営を検討すべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・男性を含めた働き方の見直しと、男性の子育て参加の推進 ◆上記に対する意見 26 男性の子育て参加やそれを可能にする働き方の改善は、事業主に対する働きかけが必 要である。市内事業者への働きかけや啓発を行うべきである。都内通勤者の事業主に対す る働きかけは難しいため、国や県などの働きかけなどとともに国民的啓発活動を行うべき である。また、当事者である働く人の側から声を挙げさせるためには、労働団体に対する 働きかけも重要である。 ◆市の中間とりまとめ案から ・子育て中の親の再就職支援 ◆上記に対する意見 27 女性を中心に育児のために仕事を辞めるケースが多く、子どもの自立とともに仕事を 再開するニーズは高い。子育てに一定の段階を経た人に対する再就職支援を掲げたことは 評価したい。市として単独で行うのではなく、ハローワークなどとの連携・協力で推進す べきだ。また再就職できればよい、とするのではなく、リビングウィル(生活していける 最低限の賃金)にもとづく就職先の確保が重要だ。 ◆市の中間とりまとめ案から 2.3.2.基本目標2に関するコメント 基本目標2:親と子が自ら学び、育つ力をはぐくむことを応援するために  次代の担い手である朝霞の子どもたちが個性豊かに生きる力を伸ばすことができるよう、 そしてさらに新たな世代を築いていくことによろこびを実感できるよう、家庭・学校・地 域の教育力を高め、地域コミュニティーを基盤に、市民・団体・専門家など、地域のさま ざまな方々の参加・協働による子育て支援の取り組みを推進します。 ◆上記に対する意見 @ 基本目標2の文章は全面的に評価したいが、あくまでも子どもが主体となるよう、「子 と親が自ら学び」と変更すべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ○子どもの生きる力の育成 ・次代の親の育成 ◆上記に対する意見 A 核家族化や地域社会の関係性の希薄化していることや、地域で子どもが集団をつくっ て遊ぶ機会が減っていること、学校の課外活動、学習塾や習い事への通学など多忙で、子 どもが下の子どもを面倒見たり、育てたりして自らが育つ機会が失われている。教育や行 政や地域の福祉事業者が積極的に子どもが子育てを体験できるような事業を展開すべきで ある。子育て教育、性教育、子どもの社会性の向上などにも良好な効果をもたらすものと なる。 B 子どもが、障害をもつ子、発達に障害のある子と常時接することは、偏見を持たせず、 いろいろな人がいることを認識させる効果がある。障害をもつ子や発達に障害のある子の 施設を、地域の学校や保育所に併設したり、地域の学校や保育所に通学通所可能な施設づ くりを進めるべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・子どもの健全育成 ◆上記に対する意見 C 子どもの非行化への対策が語られるが、子どもの犯罪や人権侵害の被害、困ったとき の相談なども健全な育成のために必要である。チャイルドライン(電話相談)や、万一被 害を受けた子どもがきちんと自分の力で立ち直れるような支援(エンパワーメント)が必 要である。 ◆市の中間とりまとめ案から ・いじめ、非行等の問題行動や不登校への対応 ◆上記に対する意見 D 専門的知識のあるスクールソーシャルワーカーの配置をし、学校と学校外の施設や機 関、市民活動などとの連携や協働が必要である。 ◆市の中間とりまとめ案から ・子どもの生きる力を育成する学校教育環境の整備 ◆上記に対する意見 E 子どもの力づけをうたったこの項目は重要で、第1番目に挙げるべきである。また、 子どもの生きる力を育成するのが学校教育でよいのか疑問である。子どもの地域や社会で の体験活動、子どもの居場所(物理的な場所と社会的な場所の両方)の確保と保護、それ による子ども自身が自分たちで治める「子ども社会」の形成なども重要である。 F 「子どもの生きる力を育成する・・・」の次に、項目として「・子どもの主体性、自治能 力、自ら考える力の育成」を追加すべきだ。 G 現在の若年者の多くが過酷な労働環境におかれながらも、自らを守るための教育がさ れないために、その状況を解決する力を失っている。社会人としての自分や同僚・仲間を 守るための思考や行動の訓練、法律的教育などを行うべきである、 ◆市の中間とりまとめ案から ・主権者である子どもの意見や視点の尊重 ◆上記に対する意見 H 子どもは住民の一員であり、また将来朝霞市にとっての大切な人材と位置づけるなら ば、子どもの頃から子どもを1人の主権者とした政策の反映が必要である。そのためには、 子ども参加の施策づくり、子ども参加支援者の養成、子ども向け広報、情報発信、子ども のエンパワーメント、子ども自身による子どもの権利学習の展開が求められる。この項目 も「住民の一員である子どもを主権者ととらえた、子どもの意見や視点の反映」と修正す るよう求める。 I 子どものトラブル、人権侵害などの相談に対応し、子どもの育ちの視点から関係者と の間で問題解決や関係修復を図る子どもオンブズマンの設置を明記すべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ○家庭や地域の教育力の向上 ・家庭教育に関する学習機会、情報の提供 ◆上記に対する意見 J 家庭教育を推進する際には、家族の多様化や外国人児童の増加、生活習慣の多様性な どをふまえ、多様性や人権に配慮した内容のものが行われるよう注意すべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・世代間交流 ◆上記に対する意見 K 子どもの年齢の上下間の交流による子ども社会づくり、「富山式デイサービス」などで 効果が証明されている高齢者福祉などと連携した高齢者と子どもの日常的な交流、ファミ リーサポートセンター事業などを展開させた子育てサポーターなどを推進すべきである。 項目の書き方を「子どもと保護者が、地域のさまざまな人に育てられ育ち合う機会の創出」 と修正すべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ○子どもたちの居場所づくり ・子どもたちが安全に遊べる場所の確保 ◆上記に対する意見 L 朝霞市のまちづくりに関わる計画の多くで、「緑」「うるおい」という言葉が掲げられ、 公園建設の推進が訴えられているが、中野区が子ども自身によって行った調査の結果では 公園は人を見かけず、暗くて不気味な場所として評価されている。公園が子どもにとって 使える空間なのか、公園がさまざまな年齢や、遊びの種類の別に子どもにとって安全な遊 び場になっているのか、きちんと検証すべきである。また、既存の公園には、子どもにと ってのマイナスイメージを払拭し、子どもや地域の人々が集い遊べるような作り直しを求 めたい。また、子どもは遊び場を選んで遊ぶとは限らず、通学路や公園へ行く道など、そ の道のりも遊んで学ぶ場でもある。公園だけの安全だけではなく、その周辺地域全体や、 公園等に至る道路環境などを安全なものにしていく必要がある。 M 遊べる場所に、青少年の活動が可能となるような広場・施設(ダンスや演劇、音楽活 動が可能な施設)に含むことを求める。 N 集合住宅や面積の小さな住宅の多い朝霞市では、子どもたちが自主的に学習できる場 所を確保することは重要である。公民館、図書館、学校の空き教室、児童館、商業施設の 空きスペースなどを活用すべきである。 O 子ども社会を支えるような、子どもどうしでたまり、おしゃべりできるような場を、 地域社会から見えやすい場所(商店街の空き店舗や大型商業施設の一角)に設けることを 求める。 P かつての、自然環境そのままだった城山、カニ山などが整備され、子どもが自然を直 視する機会を失ってしまっているが、そのことが安全面以外の点でどうだったのか検討す べきである。渋谷区・町田市・世田谷区・豊島区などで実践されているプレーパーク(冒 険遊び場)の可能性について検討すべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・次世代の「育ちの場」としての居場所づくり ◆上記に対する意見 Q 物理的な場所をつくるとともに、子どもや保護者が自分たちの場であるという場づく り、自分たちの街であるという街づくりが重要で、従来の地域社会での施策にとらわれな い工夫や実践を求める。 R 項目に、「子どもたちの居場所を支える人材育成と確保」を追加すべきである。これら の施設や場の運営には子どもと地域住民の協働の運営が必要である。そのためにはそれを 支える専門的な技術と感覚のある人材が必要であり、市は東洋大学の専門課程の実習やサ ークル活動などと連携しながら人材育成と確保を図るべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から 2.3.3.基本目標3に関するコメント 基本目標3:子どもがいきいきと育つ、安全・安心なまちづくり  子どもや子育て家庭が安心して生活できるよう、また地域で子どもを安心して安全に育 てていけるよう、生活環境を子どもや子育て家庭に配慮されたものにしていく取り組みを 推進します。また、子育て家庭が安心して生活できる環境をつくるため、市政だけでなく、 家庭、地域住民、ボランティアや学校、保育園、警察など関係機関等と連携した取り組み を推進します。 ○子育てを支援する生活環境の整備 ・良好な居住環境の確保 ◆上記に対する意見 @ 良好な居住環境を広い住宅と公園、と定義づけるだけではなく、実際に子どもがいき いきと育つか、という視点で検討すべきだ。子どもたちが真剣に遊べる場ができているの か検証されたのか。子育てする保護者たちに適切な社会サービスや、生活環境(買い物、 外出、娯楽)ができているのか、検討すべきである。 A 緩すぎる住宅開発規制によって、過度な人口流出入が絶えず、腰をすえた子ども政策 が展開できなくなっている。住宅開発や土地開発について慎重な判断を行うようにすべき である。 ◆市の中間とりまとめ案から ・安全な道路交通環境の整備 ◆上記に対する意見 B 子どもにとって自動車を運転するということは現実的ではない以上、従来どおりの自 動車中心の道路環境整備を想起させる「安全な道路交通環境の整備」という項目を、子ど もの視点で、「安全な歩行環境や自転車交通環境の整備」と修正すべきである。内容として、 2車線以上の道路では歩道と自転車通行路面の両方の確保が必要である。その他の道路でも 実用にたえる歩行スペースを確保することを追求し、それが不可能な狭隘道路については、 自動車の流入規制(スクールゾーンの拡大、住民以外のマイカー通行規制、一方通行の実 施)や、ハンプ、蛇行走行を強いるようなクランクなどを設置して、通過車輌の流入や、 高速通行に対する抑制策を具体化すべきである。また違法駐車の取り締まりの強化はいう までもないが、東京都内で運送業者が行っているような、トラックを使わないような配達 方法の実施を働きかけなども必要である。それらの取り組みの指標として、地域コミュニ ニティーの集いの場であり、子どもたちの遊び場であったかつての路地の復権に取り組む ことを明記すべきだ。また交差点信号については、右左折車の巻き込み事故が起こらない よう、歩行者と自動車を分離する「歩車分離信号」を全面的に導入すべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・子育てバリアフリーの推進 ◆上記に対する意見 C 市の施設や鉄道の駅だけではなく、商業施設も含めた人の集まるすべての施設のバリ アフリーを進める。段差をなくすことだけではなく、授乳室、おむつ換え設備の設置など 子どもや子育てに着目したバリアフリーや、それに伴うサービス提供などが実現されるよ うに明記すべきだ。 D 子どもにとってのまちづくりを検証するためには、行政施策への子ども参加が必要で ある。「・まちづくりや都市計画、行政施策に対する子ども参加の推進」の項目を追加すべ きである。 ◆市の中間とりまとめ案から ○子どもの安全の確保 ・子どもを交通事故から守るための交通安全教育の推進 ◆上記に対する意見 E 交通事故は主に加害者責任であるため、子どもにだけ交通安全の注意を求めるのは問 題である。子どもの育ちに起点をおいた発想ではなく、この項目は「子どもの交通事故を なくしていくためのあらゆる施策の推進」と修正すべきである。子どもが被害から自らを 守るための交通安全教育と同時に、子どもの注意力に期待することは限界があることから、 被害者だけに責任を負わせる問題解決には疑問と倫理上の問題を感じる。加害者をつくら ない施策を実行しない限り、子どもにとっての交通安全は実現しない。ドライバーに対す る安全教育の強化は当然のこととして、生活環境で安易にマイカーを利用しないように、 公共交通の充実やスクールゾーンの拡大など自動車流入規制によって、自動車の過度な利 用に対する抑制策を行うべきである。なお、現在行われている学校での自転車乗り方講習 会を住民のボランティアや保護者、警察などとの協働で地域でも行い、対象年齢も小学校 入学と同時に行うことが必要である。また、自転車の利用は、交通加害者となる可能性を もつことから、被害防止教育だけではなく、加害者となる可能性を含めて教育すべきであ る。 ◆市の中間とりまとめ案から ・子どもを犯罪から守るための活動の推進 ◆上記に対する意見 F 子どもを大人が守る視点のほかに、子どもの防犯教育が重要である。子ども自身の防 犯や防犯器具の知識や、どういったところが危険かを学習させるために、学校の総合学習 の時間などを使った子どもたち自身による「防犯マップづくり」が有効という考えもある。 この項目は「・子どもを犯罪から守るための活動と防犯教育の推進」と修正すべきである。 また犯罪を予防する観点から、地域住民が井戸端会議、健康ウォーキング、犬の散歩、路 上での娯楽など、大人が日常的に外を歩き子どもを見守れるような社会環境づくりを検討 すべきである。 ◆市の中間とりまとめ案から ・犯罪に巻き込まれた子どもの立ち直りへの支援 ◆上記に対する意見 G 身体的被害については、小児救急医療の充実が不可欠であるが、精神的、社会的な加 害・被害については、相談、事後のケアやカウンセリング、周囲の大人(保護者、担当教 員)などとの信頼関係を支援すること、弁護士などによる法的支援の充実が必要である。 そういった趣旨からこの項目は妥当である。 ◆市の中間とりまとめ案から ○子どもを取り巻く有害環境への対応の推進 ・関係機関や地域住民と連携協力した活動の推進 ◆上記に対する意見 H 繁華街が見られない朝霞市において、地域住民の活動と協力しなければならない有害 環境の意味が不明である。そうした社会的な有害環境ではないとすれば、産業や生活によ る自然環境破壊と、情報メディアに流れる有害情報に特化されており、そのことを明記し なければこの項目は意味が不明である。 ◆市の中間とりまとめ案から ・環境浄化活動の推進 ◆上記に対する意見 I 自然環境の浄化は推進すべきである。一方、社会環境の浄化は、受け止める人の価値 観によって浄化の意味が異なるため、子どもの人権すなわち子どもの最善の利益と自己決 定能力を侵害しないような活動となるよう注意を求めたい。 J 子どもの眼から有害なものをすべて排除する、という発想だけではなくて、飛び込ん でくる有害情報や被害をどう受け流し、立ち向かうのか、という知識や感覚を教育する必 要がある。とりわけ場所や時間を問わずに飛び込んでくるインターネットや映像情報を中 心に情報に対する「メディアリテラシー教育」の推進が重要である。項目として「・子ど もが有害情報や被害に対処できるための教育を行う」を追加すべきである。 3.補強すべき議論 【青年期も含めた対策】 @ この計画は、子どもを親として育て、次の世代を育成する施策と考えれば、18歳まで の手厚い施策とともに、18歳以後の社会的つながりが空白な青年期の施策も重要になって くる。20歳未満の親への支援、ジョブカフェやハローワークとの連携による就労支援、若 者の開業支援、青年の相談、青年の交流事業、地域の不動産業者などの協力を得ながら保 護者から独立して暮らすことを希望している青年への情報提供や相談などを実施し、親と して自立する道筋をつけていく必要がある。 【外国人の子どもへの施策】 A 外国籍住民の子どもや保護者に対する視点が欠けているので補強を求めたい。特に相 談窓口、言語の制約に対する対応、考え方・文化・生活習慣の違いに対する学校や保育所、 幼稚園での理解の啓発、地域住民との交流なども大切である。 【子どもの問題を抱えた家庭への施策】 B 思春期の問題や発達障害の当事者は孤立し、家庭内で問題を抱えている。これらの問 題について住民への理解啓発を行い、地域社会全体が見守り、支援するようなあり方を提 言すべきである。 【保護者の連携をかたちづくる】 C 機関の連携に加え、1人ひとりの保護者や住民が手をつなぎながら問題を共有し、み んなで能動的に課題を解決するような仕組みを、もっと計画に盛り込むべきである。 【専門職員の資質向上】 D 行政職員の行政マンとしての専門的知識の研修、専門職の職員に対する定期的な再教 育が必要で項目を立てて補強すべきである。 【市民活動の育成と活用】 E 既存にない子育て支援に関する様々な事業では、市民による自主的な活動や事業を活 用し、組み合わせて支援していくことが必要である。さらに、市民が子どもに関するサー ビスや事業を立ち上げていくことや、事業から問題発見をして解決につなげるよう、行政 がコーディネートを行うことが必要である。 4.計画の策定過程に対する意見 【子どもや保護者の計画策定への参加機会が少ない問題】 @ この計画は朝霞市においての次の世代、つまり子どもたちをどう育てていくのか、地 域社会全体が育てることをどのように応援するのか、という目的の計画にもかかわらず、 子どもや保護者の参加を求める市の姿勢が弱かったことは問題と指摘せざるを得ない。市 の広報やホームページで市民委員の公募が行われなかったにもかかわらず、市民委員がい るなど、市の委員選定過程が不透明であったと指摘せざるを得ない。 【計画づくりに市民が関わらないことによる弊害】 A 市民が主体的に参加して計画策定することで、計画が住民に息づいたものとなるが、 現在の閉鎖的な策定手法では、全市的な理解が進んでおらず、単なる行政計画の一つとい うとらえ方をされ、計画が軽視される。朝霞市エンゼルプランも、計画内容は良いが、知 っている住民がほとんどおらず、そのめざす施策が全市的な共通理解とならなかった。計 画策定に住民を関わらせない市や策定委員会の姿勢の問題点を指摘せざるを得ない。 【計画策定に際する子ども参加や子どもの意見反映の不足】 B この計画の第1の当事者である子どもからの意見反映が十分でない。グループインタ ビューが行われたことは画期的ではあるが、3ヵ所で行われたに留まり、少なすぎる。さら に、議事録では、親の就労に対する感想と、施設の建設を促す議論にとどまり、子どもを とりまく本質的な問題(いじめ、非行、子どもに対する犯罪、学校への満足度)などがま ったく議論されていないのが、問題である。また策定委員会の傍聴規則で子どもの傍聴を 規制していることは、この計画策定の趣旨からいって問題といわざるを得ない。むしろ子 ども委員の設置や、子どもへの傍聴、モニタリングをお願いすべきだったのではないか。 【計画策定にあたっての学習不足】 C 計画案が何を根拠に出されてきたのか、不透明だ。また先進自治体や近隣自治体の成 功事例などの視察や事例検討を行い、朝霞市の現状と将来像への十分な考察が必要である はずだが、その痕跡が中間とりまとめ案や、資料等では見られない。行政職員とコンサル タントがどのような根拠をどのような過程で中間とりまとめ案を作ったのだろうか。それ らのもとが明示されないと今後の計画本文のとりまとめに不安を感じてしまう。 【団体ヒアリング】 D 団体ヒアリングの先が、保育所など市の施設の関係者に限定されており、一面的であ る。 【策定委員会の議事内容の公開】 E 策定委員会の議事録の公開が遅く、議論の内容を検証できなかったことは問題である。 また、策定委員会で提出された資料等がホームページで公開されていないこと、議事録に 市やコンサルタントの発言が掲載されていないことなどから、公開された議事録を読んで も議論された内容がわからず、情報公開のあり方として問題である。 【パブリックコメントでの資料提供の不足】 F 中間とりまとめ案では、ニーズ調査以外の付属資料を含めた資料の提示がされておら ず、どんな事業がいつまでにどのくらい行われ、私たちの子育てが、あるいは子どもにと っての朝霞市がどんなふうに変わるのか見えないで意見を求めている。市民が意見を言う チャンスはここ1回のみと考えると極めて残念と言わざるを得ない対応である。 【パブリックコメントの回答の扱い】 G 回答義務を回避したパブリックコメントの求め方は問題である。意見提出者が、自分 の意見がどのようにこなされ、反映されたのか、反映されなかったのか、検証できない。 民主的な市の運営からも問題がある。 5.計画の推進体制に関する意見 【モニタリングの実施】 @ 市民と行政と関係団体の代表による、計画のモニタリングが必要であり、計画の進捗 状況について、絶えず市長と議会に報告する仕組みが必要である。 【市民意識変化の調査の必要性】 A 市民の意識変化を追っていくことが重要である。現在のように子育ての社会サービス が少なければ、子育てでいろいろ問題を抱えていてもそれが問題とは感じていない可能性 が高い。計画を推進していった結果、市の子育て支援策に対して不満が高まったとしても、 それが、施策が悪くて不満が高まったのか、逆に、市の子育て支援策が充実したためにこ れまで市民が感じていなかった問題が表面化しているのか、きちんと見据える検証が必要 である。 【計画の中間見直し】 B 現在は、親となる世代の意識や生活環境の変化が激しく、子育てに対する学識経験者 の見解に大きな変化が続いている。また来年には国が新新エンゼルプランを策定・発表す ることになっており、子どもの施策の内容見直しは避けられないものと考える。また、地 方交付税の減額など極度の自治体財政の悪化もあって、この計画が5年10年通用しない可 能性も考えられる。3年以内に、計画のモニタリングにもとづいた計画の再検討と、必要に 応じた見直しに着手することが必要である。 【進捗管理体制】 C この次世代育成支援行動計画が、全市的取り組みとなるように、朝霞市企画部内に次 世代育成支援の担当推進室を設け、計画の推進進捗状況を監視し、必要に応じて担当部課、 担当者への勧告を行うことが必要である。 【市職員の仕事のあり方の見直し】 D 保育所、学校といった行政メニューに合わない子ども政策のメニューが増えることか ら、子どもに関係する朝霞市役所の仕事のあり方の再配置が必要である。複数部課にまた がる問題の多い子どもの課題が持ち込まれたときは、市職員側が「どこが担当課か?」と いう考え方をせず、この問題はどうしたら解決できるか、という視点で仕事をしてほしい。 【児童福祉課の役割】 E とくにこの計画策定にあたった児童福祉課に、この計画の実行責任があり、今後は子 どもに関する問い合わせ、相談の総合的な窓口となって、市民に役立つ解決策の提示を求 めたい。また、その仕事の見直しをするにあたり、部や課の壁が超えられないとするなら、 児童福祉課の体制見直しが必要である。児童福祉だけではなく、家庭問題、青少年問題も 含めた対応も求められることから課の名称の変更も必要である。 以上