4/18 衆議院の定数是正が複雑すぎて憲法第15条の目的が果たせません
昨日衆議院の選挙区の一票の不均衡を是正させる第三者機関が答申をまとめました。朝霞市の属する埼玉県第4区は変更はありませんでしたが、お隣のさいたま市に関係する選挙区はすべて細かい境界線変更が行われ、その市や区に住んでいる人はどっちの選挙区に属するかわからない結果となっています。
また、この検討会は、「市の分割は解消していく」という目標があったにもかかわらず、県内では、熊谷市、鴻巣市、春日部市、ふじみ野市などに見られる選挙区の分断は解消されませんでした。こんなに市町村が分断されている状態だと、どの有権者が誰に投票したらよいのか全くわからない制度となっています。選挙は憲法第15条の国民による公務員の任免権の一環として行われます。1票の平等のためだけに誰を任免しているのかわからない選挙制度が妥当なのか、考えなくてはならないことがあります(詳細は続きを読む以降に書きました)。
今回の定数是正は、「0増」と定数を減らすだけの前提から始まっているので、都市部は定数を増やさずに選挙区人口を一定の枠内に抑えなくてはならなかったことが、ちまちま境界線変更をやってなんとか数をおさめて、より複雑な選挙区制度になったと思われます。
国会の定数を減らせ減らせと神学のようになっていますが、衆参あわせて700を400ぐらいにする提案なら意味がありますが、5や10をちまちま減らしても、全然国会の効率性には影響しません。かえって選挙区がおかしくなって、有権者が混乱するようなことが起きるなら、「0増」にこだわらない定数是正をするべきではないかと思います。
●私は、いくらやっても定数不均衡が是正されない現状と、国政選挙は多くの有権者が政党名を見て投票している現状と、政党内部の議員に対する教育・統制・合意形成の機能を強化するためには、政党別議席配分は比例代表制で行う選挙制度にすべきではないかと思います。
これまで、一番まともな議員が選ばれた選挙制度を振り返ると、1998年までの参議院比例代表制で、政党が一方的に決める名簿という非民主性はあるものの、アイヌ民族や、研究者からスカウトした人、帰化人など、日本の選挙文化のなかでは政治家にすることが難しい人を国会に送り込むことが難なくできました。
比例代表制はどの政党も簡単には過半数を獲得することが難しくいデメリットを強調されますが、しかし、選挙運動は、あれかこれかで敵対する関係のなかで行われなくなるので、政治家どうしの合意形成がしやすくなります。ここ30年ぐらいの政治で最も生産性が高かったのは、自社さ政権だったという説もあります。