2024.10.08

10/5 地方分権を再確認する勉強をしてきました~自治研全国集会への参加

労働組合の組織内議員にしていただいている自治労が主催している「地方自治研究全国集会(自治研全国集会)」が島根県松江市で開かれ、3日の日程で参加してきました。

子育て政策にしても、防災にしても、国が、国が、という話で満ちあふれている、地方分権の考えに立ち返って、自治体として主体的に地域の課題を解決すべき、という石上自治労委員長、開催地の連合島根会長、丸山島根県知事の冒頭のあいさつに共通したものでした。

全体会では、し尿のくみ取りを業務としている東大阪市の外郭団体の組合員、前田さんが雰囲気の悪かった職場改革に取り組みながら、防災のためのし尿処理の仕事の意味の再発見と、防災への啓発活動に取り組み、水洗化で終わった技術とされそうなし尿処理の役割を再発見していく話がありました。
朝霞市議会立憲歩みの会でも、し尿処理に関して再評価したり、防災での重点化を求めているので、我が意をえたりの話でした。

分科会は、公共交通を選びました。主の講師は名古屋大学の加藤博和教授で、解像度の低い救済論が横行する公共交通談義になりがちな話題に、会場を刺激するキーワードをバンバン投げ込みました。
・おとなたちが公共交通を見限りマイカーで自由に走り回っている地域で、子どもたちはコンビニ一つ大人の力を借りないと行けない。そんなところに子どもたちが脱出しようとしない方がおかしい。消滅決定都市である。
・元気なときに時刻表を調べたり待ったり運賃を払うのを面倒くさがってマイカーを乗り回している人が、足が悪くなってもっとしんどい公共交通を使うことはほとんどない。若いうちから公共交通を使うようなまちづくりをしなければならない。
・都市部において、流行しているデマンド交通は既存の公共交通を浸食して、滅ぼしていく可能性がある。申し込んだり時間合わせするぐらいならバス停で待っている方が楽ではないか。
・バスもタクシーも運転士は確保できないなかで、より人的資源を食い潰さない方法を選ばざるを得ない。
・公共交通への依存度が高い地域の方が、BMIが低い(健康度が高い傾向)。
・公共交通をもっと快適で充実できて運転士の賃金改善にも必要なのは、市民1人あたり月数十円の負担だ。これを保険ぐらいに思ってもらうことができないだろうか。
・大事なことは「鉄道を残す」「バスを残す」ではなくて、「おでかけ」できる条件を創ることではないか。
・「おでかけ」できる環境を創るのは国なのか。地域が主体的にやらなければどうしようもないではないか。
・量的なアンケートをしても(回答者は模範的であろうとするので)「乗る乗る」詐欺みたいな情報しか出てこない。膝詰めで「おでかけ」がどういうものか聞き出さないと、利害を調整しないと、必要な交通は創れない。
・地域公共交通会議で、関係者がTODOリストを創っていくことが大事。
加藤先生の提起の後、松江市交通局と一畑バスの路線再編とバス事業の改革の話、過疎地でのオンデマンド交通の構築、大阪交通労組からの交通事業の存廃の判断の検討方法などの報告があり、それぞれ刺激を受けてきました。

●朝霞市ではデマンド交通が、単なるタクシー補助の拡大として、いつでもどこでも運転士を使い倒せるかのような言説で何度も請願が出てきましたが、運転士をいくらで雇い、それをどのように効率よく多くの人に使ってもらうか、過疎地という非効率な現場で苦労さている工夫に触れました。どのケースも、どこかの部分はバスのように時間や方面の制約を受けるような運営をしていて、「いつでもどこでも」ではないんだな、と再確認したものです。

●こども家庭庁の発足で、子ども関連政策を国が強化させていることはよいのですが、これまで自治体が競い合って施策を引き上げてきた子ども政策が「隣の自治体とサービスが違うのはおかしい」という言葉で、地方自治を揚棄するようなキーワードが流行していることが気になっています(もちろん東京だけが億ションバンバン売って、金持ちだけ全国からかき集めて、その経済的・財政的余力で子育て政策を広げて、都外との格差を誇示されると、呪詛に近いものを思うところはありますが)。
私自身、1999~2001年厚労省保育課などと向き合う仕事をしていましたが、国の政策変更を要求するばかりでは、ものすごいパワーと機会がやってくる時間が必要で、ときには政策のイデオロギー変更という、妨害者の多い現実に取り組まなくてはなりません。子どもはその間に育ち終わっちゃうよ、と思ったものです。
身近な政策に関しては、自分たちで何が必要かを構築していくことで、こんなことができると示していくことも必要です。
そういうなかで、今回の自治研では、そのことが一貫していたのでよかったと思っています。

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2024.01.15

1/12 バスを動かしたくても運転士がいない~朝霞市地域公共交通協議会

12日夕方、朝霞市の地域公共交通協議会がありました。
これまでは、交通空白地域に新しい交通手段を開発する前向きな話が続いていましたが、今回はシビアな話が多く、撤退戦の提案が大半でした。

議題はわくわく号の運行について、と漠然としたもので、以下の3点の確認を求められ、確認・了承されています。

2025年4月にコミュニティーバスの運行から東武バスが撤退する提案を受けていることの協議です。朝霞市ではわくわく号根岸台線、宮戸線が該当し、いずれも1便あたりの乗車人数が20人前後あることから、今後の対応に困難をきたす路線です。まだ12月12日に提案を受けたばかりなので、市の方針として継続運行を要請するということが報告されています。

2024年4月からのわくわく号の運転士の労働時間適正化にともなうダイヤ改正の提案です。終バスを繰り上げたり、一部区間運転をやめる提案です。始発から午前中はほぼ現状を維持しつつ、午後から一部区間をカットし、終発を繰り上げる内容での提案です。
協議会に提案されたダイヤ改正案のうち、終バスの繰り上げは下記の表のような提案です。なお、調整により10分前後の変更はありうるという説明です。

  平日 休日
現行 繰り上げ後 現行 繰り上げ後
溝沼膝折線 朝霞→北朝霞 市民会館20:57発
朝霞駅21:08発
ともに北朝霞駅行
朝霞駅19:25発

市民会館発
北朝霞駅行19:35発
膝折坂下行20:30発


市民会館発17:45発
朝霞駅発18:30発
ともに北朝霞駅行

北朝霞→朝霞 北朝霞駅発
市民会館行20:00発
末無川行21:44発
北朝霞駅発
市民会館行18:50発
末無川行20:05発
北朝霞駅発
市民会館行19:37発
北朝霞駅発
市民会館行16:45発
朝霞駅行18:35発
根岸台線 朝霞→北朝霞 朝霞市役所
19:05発
朝霞市役所
わくわくどーむ行16:10発
北朝霞駅行
17:00発
朝霞駅東口
北朝霞駅行19:25発
朝霞市役所
20:10発
朝霞市役所
わくわくどーむ行
14:40発
北朝霞駅行16:30
朝霞駅東口発
北朝霞駅行
18:10
北朝霞→朝霞 わくわくどーむ
21:05発
わくわくどーむ
朝霞市役所行17:30発
朝霞駅東口行
北朝霞駅18:50発
わくわくどーむ
20:10発
わくわくどーむ
朝霞市役所行15:40発
北朝霞駅発
朝霞駅東口行18:45発
宮戸線 左回り 七小先回り 19:50 18:15 19:00 17:00
右回り わくわくどーむ先回り 北朝霞駅行20:25
わくわくどーむ20:55
17:45 20:10 北朝霞発
全周15:20
わくわくどーむ止15:50
わくわくどーむ発
北朝霞行16:36

宮戸線の休日ダイヤはわくわくどーむで切られるダイヤが多くわかりにくくて仕方ありません。運転士の休憩場所のあり方も含めて、もう少し工夫が必要ではないかと思いました。

③すでに確認していますが、わくわく号内間木線をワゴンバスに移行する提案です。

バス事業者から、金銭的な経営苦の問題に加えて、運転士不足が深刻で毎年80人退職していくなかで十分補充ができていない、そのなかで儲かる路線に運転士の配置など経営資源を集中させないとバス会社の経営自体がなりたたなくなるとの力説がありました。

続いて報告事項に入りました。
・市役所から、公共交通空白3地区の新しいワゴンバスの検討状況が報告されました。
根岸台地区の「ねぎし号」に関しては、社会調査では高めの料金に対する意見よりも、西友またはコモディイイダ(旧ライフ)への経由を求める声が多数ありましたが、実証実験の運行開始では、駅から歩けるだろう、ということでスーパーへの経由は見送られました。実証実験で声が大きければ対応するかもという、説明でした。
実証実験での声の集め方が明示されていないので、私からは、実証実験中に運転士にクレーム言えば変わるような話でいいのか、と問い直しました。市からは実証実験での利用者の声の確認方法についてはお茶を濁すような答弁しかありませんでした。はじめに結論ありきで、何のために1000万近くも払って調査をやったのか、と思うところで、市民のニーズからは絶望的な話です。駅にばかり接続させることしか考えず、生活に必要な場所に行けない交通機関を作ってどうするのかと思うところです。
一方、溝沼3丁目・西朝霞公民館へのワゴンバスに関する調査結果が公表されました。沿線住民からは料金が高いという声が大半で、さして遠くないところを通るわくわく号や朝24系統西武バスとの料金の比較が多く、むしろその他の路線の増便を求める声がいくつかありました。本当に通す必要があるのか、再考が必要ではないかと思うところもあります。

東武バスから、市内路線の減便を検討していることが伝えられました。終了後の事業者への取材では、朝04朝05系統の朝霞駅・朝霞台駅間の20分パターンのダイヤは崩さざるを得ないということで、ダイヤ改正後の利用に関して注意がいりそうです。

東武鉄道から、朝霞台駅のエレベーター設置工事も報告されました。まずはホームと改札の間、東武鉄道のHPに掲載されている内容どおりです。

飛鳥交通から、リードタウンのデマンド交通に関して12月から有償化して、利用者の変化が報告されました。予測どおり激減しており、新たな対策が必要と事業者から言及がありました。

委員から、自動運転は使えないのか、という意見がありました。
これに対して、委員長の久保田埼玉大教授からは、埼玉県南部のように道路事情が悪いのに路上駐車があったり自転車が多いところでの乗務員なしの自動運転ができるようになるまでには、まだまだ相当の年数がかかり、今は安易に自動運転に期待して将来性に不安を持たせて運転士のなり手をなくしてしまうことの方が問題、と話があり、適切な意見だと思いました。

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2023.10.31

10/30 朝霞市でこれまで提言してきた交通政策

12日に東京都交通局の外郭団体の東京交通協力会労組、26日に東京都交通局の労組・東京交通労組、30日に私鉄労働組合総連合会にご推薦をしていただきました。ありがとうこざいます。
この4年、12年間の公共交通の政策化と、市として公共交通政策の充実に取り組んできたので、公共交通関係者からのご推薦はありがたい限りです。公共交通従事者のステータスの改善、その前提となる処遇改善、そして公共交通にやさしい道路政策の前進に向けて、引き続き取り組みながら、バス・タクシー・通勤電車の維持・改善に取り組んでいきたいと思います。

●この4年間で取り組んできた交通政策を説明したいと思います。
①「朝11」系統国際興業バス志木駅・朝霞駅路線の廃止撤回
2020年当選直後にバスの運転士を再配置するために廃止が提案されました。三原1,2,4~5丁目に大きな交通空白地域が発生すること、三原、泉水、膝折3,4丁目から市役所方面にアクセスする交通ルートがなくなります。廃止するにしても代替交通手段が必要、と指摘しました。事態は急展開し、新型コロナウイルスの感染拡大で観光バス運転士が回せる状況になり、廃止を撤回させることができました。
このときは市長も国際興業社を訪問して路線の維持を要請していただきました。
バス・タクシーへの新型コロナウイルスの感染拡大による乗客減への支援に手薄だったことも気づかされ、支援を3年にかけて各年総額約500万円の支援をしました。
バス運転士不足は継続していて予断を許しませんが、路線の維持、廃止の場合には代替手段の確保に取り組んでまいります。
関連記事 2020/8/26 志木駅東口~朝霞駅南口のバス路線の廃止撤回へ 

②新たな公共交通手段の創設
市内にはまだ大きなバス空白地域が残っています。狭隘道路で小型バスでも入り込むのが難しい地域です。そのうち、根岸台7丁目・朝霞駅間、上内間木地区・朝霞台駅間、西朝霞公民館周辺・朝霞台駅間の3地区3路線をワゴンバスで設定することにめどが立ちました。この路線は市役所が「やってあげる」と設定する路線ではなく、地元町内会で路線やダイヤを提案し、逆に町内会自身が利用者数の目標を立てて地域啓発を課したりしながら、住民自治的なメカニズムを入れて開設されます。
4年間はこの動きを加速させつつ、乗りもしない路線をくれくれ、にならないように、住民が路線を大事にするように、住民の自治的な手法を促してきました。また町内会役員さんだけでは見えないニーズについても指摘しながら、最終的な改善に住民への調査を入れてもらいました。
コミュニティーバスわくわく号内間木線が運営会社から撤退が言い渡されていますが、この仕組みで吸収できる見込みです。

③スマホでさらに便利になったコミュニティーバス「わくわく号」
コミュニティーバスわくわく号のダイヤがわかりにくく、使いにくいという意見をいただきましたし、その感覚は私も同感でした。それを解消してきました。
現在、googleマップで目的地を探すと、ルート案内がされますが、その公共交通のところにわくわく号のダイヤをデータ化して入れ、出先で適切な時間のバスがあれば、案内されるようになりました。
また、バス停でバスを待っているといつ来るかわからなくて、結果として待つぐらいならと歩いてしまったり、歩くぐらいならとマイカーを乗ってしまうということが私自身も多くありました。スマホでバスの走行位置をご案内できるシステムを2023年7月から導入しました。
岡崎議員とともに、提案してきたものです。わくわく号の値上げに際して、利用者還元策として導入させました。
関連記事 朝霞市 市内循環バスにバスロケーションシステムを導入しました
 2023/1/30 わくわく号の値上げと地域の公共交通環境の改善を議論~地域公共交通協議会

④すべての人の移動権の確立のために
すべての人が移動の自由があり、誰と会うかという自由があります。生活の維持とともに人々の自由を支えるのが公共交通です。
バスみたいな交通手段をいくら充実させても、どうしても移動が困難な方々がおられます。バス停から遠い地域の方々や、何らかの身体的な状況でバス停までたどりつけない方々がいます。
その方々のためには利用料補助型のデマンド交通の必要性を訴えてきました。私は、運転士の資源、億単位で上限がなくなり財政支出の制約がかかるので、可能な方はできるだけバスを利用して路線を維持しつつ、要支援含む介護度や地域で利用者を限定して実現すべきとしました。全員に一律補助を求める市内の運動体の主張は十分汲み上げられなかったと思っています。
この課題はほとんど前進せずに申し訳なかったと思っています。
また移動にあたり介助が必要な方には福祉移送の適用範囲の拡充を訴えてきましたが、これも前進することはありませんでした。
数年前まで社会福祉協議会で移動ボランティアが組織化されしていました。都内病院の6時間にわたる通院などに利用されて、支え手がいなくなって潰れています。医療利用者の自由に任せて、医療連携や情報システムの進化で多くの症状や経過観察の対応が近隣病院で対応できることの周知がされていなかったからです。
マイカーのない住民が少し移動に困難をきたすと、要介護状態になるまで手を差し伸べられない状態は課題だと思っています。

⑤東上線の和光市からの混雑改善
夕方の帰宅時間、和光市駅で長時間待たされ、来た電車に乗れば朝のラッシュ時間より混雑し、トラブルも多いという市民のメールを何度もいただいたので、東上線改善対策協議会の議題にするよう求めてきたもので、むらはありますが、混雑は改善している状況です。
東上線の改善という総体の議論では、一進一退でした。2023年3月のダイヤ改正で、日中・夕方時間の和光市・志木駅間の普通電車の増発が行われた一方、朝ラッシュ時間帯の減便が大きく、とくに混雑のする時間帯の前後が混み合うと感じています。夕方のラッシュ時間も、TJライナーを速度的に優遇しすぎて周辺時間帯が不便になっている状況は改善されていませんし、直通車を入れて増便になっていますが、池袋駅発はTJライナーを除くと日中と本数は変わらず、それなのにわかりにくく、つっかえやすいダイヤで、課題は残されています。
総論としては他路線が新型コロナウイルス後の社会像といって減便一方ななか、日中夜間に関しては微増の増便をしている努力はあると思います。
朝霞駅に急行が停車するようになりましたが、一方で快速急行や川越特急が頻繁に設定されています。朝霞台駅での各停との接続が良くないことで通過駅の利便性確保(朝霞駅・川越駅間の移動や志木駅・池袋駅や副都心線への移動)に課題があると思っています。

⑥バス・タクシーの新型コロナウイルスの感染拡大の減収対策
新型コロナウイルスの感染拡大で利用者減に苦しんだバス・タクシー事業者に市として初の補助を行いました。

⑦朝霞台駅のエレベーター設置
ようやく方向性が固まりました。駅改築を見通しながら、駅改築を待たずに仮設エレベーターが設置されます。
他の議員も取り組んだ課題です。

⑧バス出て行って、という議論の打ち消し
朝霞駅周辺のバス路線に関して繰り返し撤退の提案が出続けることと無関係だと信じたいですが、かつて朝霞駅前通りに片道だけで1日200本以上のバスが入っている時代があって、その頃からバスを排除する議論が根強くありました。
全国の商店街は集客のためにバス・タクシーと搬入のトラックのみを通行可としているようなところもあり、バスの乗客の都合もお構いなく商店街からバスだけ出て行けという議論はナンセンスだと指摘してきました。路線の迂回はバス会社の経営の人繰りの負担にもなるので、印象のよくない主張です。商店街にとってどんな交通手段が危険で何が雰囲気を壊すのか、ということと、何が利益をもらたすのか、という議論をもっと厳密にしてもらう必要があると考えます。今ぐらいの本数なら一方通行化も合わせ技で、共存できるものと考えます。

今後、バス運転士の労働時間規制強化がスタートし、一方でバスの運転士になりたい人が減っている状況で、朝霞市内のバス路線の維持は予断を許しませんが、できるだけ残念な結果となる部分が最小限になるよう努力したいと思っております。

●12年間の市議としての取り組みとしては、東上線の改善、バス活性化とともに、市民・交通事業者・朝霞市・警察などが一同に公共交通に関して議論し課題を共有する「地域公共交通協議会」を発足させ(2期目)、市の直接事業以外の公共交通政策としての「地域公共交通計画」を立案(3期目スタート時と同時)をして、市として網羅的な公共交通政策が取り組める仕組みができあがったことです。
2期目の選挙のときに通行された市民から「そんなことできるの」と疑われましたが、晴れて疑いを晴らすことができました。

一方、要支援から介護度2ぐらいまでの高齢者の移動の権利に関しては課題が多いことと、障害者の外出支援があまり使われていないことが課題です。

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2023.05.30

5/29 2024年4月までに朝霞市内のバスの縮小が始まります

29日16時から、交通事業者、市民、自治体、警察などが公共交通の課題を議論する地域公共交通協議会が開かれました。
1年間の公共交通計画の進捗状況のチェックの後、具体的な交通の話が始まりました。

プラスの話では、
コミュニティーバスのわくわく号、夏にはスマホによるバスロケーションシステムが導入され、乗りたいバスがどこまで近づいているか、だいたい何分待ったらよいかが示されるようになります。時刻表的な情報はgoogleマップでも確認できるようになっていることとあわせてバス待ちの不安が解消されていくことになると思います。
上内間木、根岸台7丁目崖線、溝沼3・4丁目に、ワゴンバスによる新たな交通手段の確保が検討され、夏頃試行事業に入ります。示された経路も遠回りが少ない合理的な路線で、ダイヤも例示されましたが毎時間の発車時刻が統一されたパターンダイヤでした。利用料に目をつぶれば使いやすいものになりそうです。

一方、マイナスの話もありました。主にはバス運転士を保護するための労働時間規制から、バスの運行時間の縮小、減便、路線の存廃までが議論されました。
わくわく号の終バスの時間が繰り上がることを中心にダイヤの見直しが2024年4月までに行われます。4月以降には、乗車率の低い区間の廃止が検討されます。
・国際興業バスに続き、東武バスが7月に運賃値上げが行います。
国際興業バスから、2024年4月以降は運転士不足による路線維持が不可能ということで、車庫から遠い朝霞市内バス路線の部分的な縮小撤退を検討していることが示されました

提案者に対する意見では、
・タクシー業界から、新たな交通手段を駅構内に入れないように、という要請がありました(今、公共交通が潰れそうな原因となる競争相手はバスではなくて、過度なマイカー利用だと思うのですが)。
・私からは、労働時間規制によって実施するわくわく号のダイヤ見直しが、二段階になっているのはおかしい、新たに発生する空白地域への対応が求められるのではないか。
・他の委員からは、新たな交通手段の利用料300円が高すぎるのでなんらかの対応ができないか、新たな交通手段のフリー乗降を引き続き検討すべきではないか、といった意見が出ています。

●前回の廃止提案を撤回してもらってから4年延命できましたが、改めてバス路線の撤退が示唆されたことに私も含めて会場全体で緊張感が走りました。具体的な路線名は示されませんでしたが、乗車状況からは膝折循環は残りそうなものの、他の「朝11」系統朝霞・志木線、「朝50」系統朝霞駅・内間木線のどちらか、または両方が整理の対象になりそうだと見ています。

早めに情報収集して対応しないと、朝霞市内広大な公共交通空白地域(あるいは代替手段が2時間以上ダイヤの空白があるような実質的な空白地域)が発生しそうです。

●バスの運転士の確保が困難だという時代のなかで、企画書とお金をいくらつきつけても難しい時代に入っているという感じでした。

かつては憧れの職業の上位だった運転士。経営学的な議論のなかでの現業的な仕事への「非創造」的な印象操作、近年では自動運転に対する過大な肩入れによる「オワコン」意識が、人材確保を困難にさせている原因だと思います。
1990年代後半からの職業に対する考え方を変えて、それぞれの仕事の現場で、実際に手や足を動かす人の地位を改善していかないと、いくらインターネットでポチッとやっても実務をやってくれる人がいない社会がやってくる危機感を感じました。

朝霞市役所も給食調理や用務員、その他ケアにあたる直接処遇職員をどんどん切り離していますが、危機のときに誰がやってくれるのでしょうか。行政改革の視点を変えるべきです。

●質問を打込むとAIが答えるchatGPTが話題になっていますが、これの登場で将来なくなると思われる仕事のリストが新聞記事になったようです。そのなかでは従来、IT技術の進展でいらなくなると言われていた仕事が生き残り、逆にホワイトカラーの仕事の多くがいらなくなると示されていました。
将来いらなくなる仕事などわからないものです。生活に必要性のある実感の高い仕事に、適切な費用とプライドがあれば、その仕事は残ると思います。

●バスに対して長く冷淡な態度が強かったせいか、交通難民になりやすい自治体だと思いました。

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2023.01.31

1/30 わくわく号の値上げと地域の公共交通環境の改善を議論~地域公共交通協議会

30日午後、朝霞市役所が公共交通の利用環境を調整・意思決定する、地域公共交通協議会が開かれ、委員として出席してまいりました。
議題は1本、コミュニティーバス「わくわく号」の運賃値上げです。
現在、全路線均一150円を180円に値上げする内容で、前回の協議会で決定する予定だったものを、一度持ち帰りとして、今回決定したものです。委員の1人から反対意見があったので、採決に付され、賛成多数で決定しています。
今後、市議会全員協議会での報告、関東運輸局などへの手続きを経て、この協議会の決定をふまえ市長決裁で値上げとなる見込みです。
値上げの理由として、第一に、民間バス事業者との運賃の不均衡があり、民間バス会社からそれならすべてコミュニティーバスでやって、と言われかねないこと、第二に、運行経費が高騰していること、第三に市の持ち出し負担を抑制することとなっています。

協議会では見返りの需要喚起策として、スマホによってバスの位置確認ができる「バスロケーションシステム」を導入することが内定していることが報告されました。バス停で行ってしまったのかまだ来ないのか、そういう不安がバスを敬遠させていると、市議会でも岡崎議員や私が市議会で必要性を訴えてきたことです。その他需要喚起策もコストが過大にならない範囲で、取り組むことも表明されました。

反対意見としては、負担感を訴えるものがありました。その通りだと思いますが、福祉に特化したつくりにしていないことや、まだ交通空白地域の解消のめどが立っていないこと、目に見えない交通不便地域の課題もあることなどから、これ以上市の持ち出し負担でやることは難しいだろうと思います。私は利便性向上が行われ需要喚起につながる投資が行われることを前提に、賛成しました。市議会議員としての委員なので、その理由は市議会という場で言った方がよいだろうと思い、発言は差し控えました。

報告はいくつかありました。
①交通空白地域の新たな公共交通づくりの取り組みで、
・根岸台7丁目の崖線沿の地域は、ルート、運行本数、運賃などのたたき台を町内会などで構成する地域協議会でつくり、実現に向けた調整が始まる段階まで進んでいることが報告されています。
・内間木地区は、ルートのたたき台を地域協議会がつくり、さらに検討を進めている状況です。駅寄りのルートをわくわくどーむ経由のショートカットとなる案に変わったと報告されました。
・溝沼3丁目・膝折4丁目地区は、地域協議会が発足してルート検討が始められていると報告がありました。
委員からは、運賃設定が高すぎる、という意見、別の事業者委員からは、路線競合の懸念を申されました。私からは、マイカーから住民を取り戻すことが課題で、住民が地域協議会でこんな公共交通がほしいと言いながら、利用しなきゃという気持ちにしていくことをできるだけ尊重してほしいことと、、高齢の利用者は買い物需要が大きいので、スーパーなどの経由に配慮が検討されているか確認質問をしました。買い物需要への対応は今後の調整や地域アンケートの結果を踏まえてさらに検討する方向です。
東武鉄道のダイヤ改正が報告されました。HPのリリースのとおりで、日中の本数がどう変化するのか、と聞いてみましたが、差し控えられました。そうだと思います。
③JR東日本から、オフピーク定期券の導入が報告されました。
④両者から、バリアフリー経費に使われる、バリアフリー運賃加算の導入が報告されました。1乗車10円、定期券で月600円の値上げが予定されています。委員から、北朝霞駅ホームのホームドア設置の質問がありましたが、JR側からは実施時期は未定と答えがありました。
⑤昭和交通を運営する飛鳥交通グループから、和光市とあさかリードタウン(積水工場跡地)を結ぶデマンド交通、根岸台7丁目水久保公園前に途中停留場を設けて、根岸台7丁目住民に利用会員となるよびかけをされた報告がされました。
⑥公共交通の利用状況について国土交通省の統計を確認しました。
⑦朝霞駅前一方通行化と本町2丁目の交通安全対策の方向性について朝霞市から報告がありました。委員から先行事例となる第五小学校周辺の交通安全対策について質問があり、ハンプの設置状況などの答弁がされています。

また議案にあわせて、国際興業バスから、4月から運賃改定をすることの報告がされました。初乗りで180円が200円となります。提出された資料に掲載された他市の運賃から比較すると、最長の朝11系統志木駅東口→朝霞駅南口240円が260円となるのではないかと見ています。

●終了後、交通関係労組、交通事業者委員とご挨拶をいたしました。厳しめの意見をおっしゃった交通事業者には、懸念は解決されつつあり、どうか引き続き当市での事業継続を、とお願いしてまいりました。

●その午前「都市計画審議会」があり傍聴してまいりました。
議題は、
①立地適正化計画の最終検討の確認で了とされました。計画期間が24年もの内容になるの初めて聞いて驚きました。少し事後の詰めが必要そうです。
②都市マスタープランの策定を、これまでは専門の委員会を作っていたものを、都市計画審議会に移し、都市マスタープラン検討委員会条例を廃止することでした。検討過程をシンプルにするのは大事ですが、一方で都市計画審議会はプロと議員ばかりの審議会で、そこで一般住民の感覚が伝える機会があるのか疑問です。前回、10年前には、総合計画策定審議会と併せて検討したことがすっかり忘れられているのも気になっています。
次の都市マスタープランは計画期間が20年にもなるというもので、そんな重たいものを作れるのかと思ったものです。

●都市計画審議会で最後に、議員委員の田辺委員が、傍聴のあり方について開かれる方向で意見を言っていただいたのはありがたいです。

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2023.01.27

1/26 戦前からある労働組合の新年会に招かれました

20230126toko02 労働組合関係の新年行事はここ3年中止ばかりでしたが、ようやく動き出しています。昨夕は、都交通局の労働組合「東京交通労働組合」の新春の祝いにお招きいただき、出席してまいりました。新型コロナウイルスの感染拡大という情勢もあって、組合会議室でのお茶を提供する方式でした。
お世話になっている方々、市内在住役員の方などともお会いできて、よい機会でした。

推薦を受けて活動している自治体議員にも1人ずつ話す機会をいただいたので、「都交通局の営業エリアではなく、在住組合員の職場課題に返せるものはないので、公共交通従事者が子どものあこがれの職業だったときのプライドを回復するために、朝霞市で公共交通をもっと使おうという活動をしている」と申しました。

福田委員長のあいさつでは、賃上げ春闘の取り組みに、地域の連合に支部役員まで入り込んでがんばりたいことと、戦前からある組合なので、岸田政権が議論もなく安全保障政策の大転換をしたことを批判するあいさつをされました。同感です。

来賓では、岸参議院議員からは、エッセンシャルワーカーである組合員に、経済活動を活性化するというのはいいが、それなのにマスクもワクチンも感染者対策も放棄するような政府の方針には問題がありとして、修正をかけていくと決意、鬼木参議院議員からは、国土交通委員会所属となったことで、公共交通の課題に取り組んでいきたいことを表明するあいてさつが行われています。

●私の自治体議会デビューは、1996年。札幌市議会で「市民ネットワーク北海道」という会派の推薦で、札幌のクルマ社会っぷりに異議申し立てをする市民活動のメンバーから市営交通の運賃改定の参考人として意見陳述し、質問も受け、答弁までしたことがあります。今にして思えば質問とりという感覚のことも、交通局職員の事前レクというかたちで、自治体議会で政策形成に関与する面白さを発見したよい機会でした。自治体の公共交通関係の労働組合との関わりは議会活動の原点のような関わりです。
参考人としては、自民党推薦(研究者)、民主党推薦(交通労組役員)、共産党推薦(主婦)の3人とご一緒しました。

●東京交通労組は、前身は1911年からスタートし、労働組合法制のない1929年から労働組合となった由緒ある労働組合です(東京交通労働組合webの沿革)。戦後、公営交通の労働組合「都市交通労働組合(都市交)」という上部団体に所属しておりましたが、2013年都市交が自治労と統合しています。

●戦前のリベラル系の民政党が、昭和の初期には労働組合の法的地位を認めることを検討していました。この段階で実現していれば、労働基本権を世界でも早い方で認めることができたのですが、GHQがやってくる戦後まで店ざらしになって、米国占領で「押しつけられた」感覚で実現する結果となっています。今も労働基本権の団結権の行使にすら後ろ向きな文化というのは、その経緯かなと思うところがあります。最近では障害児を極端に分離する教育をしている文科行政が国際的な問題になっていますが、他にも人権に関わる必要な国内の改革も自主的にできず、外圧頼みなのが残念な状況です。

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2022.05.20

5/13 バスの路線維持がピンチ

13日午後、朝霞市の会議「地域公共交通協議会」が開かれ、委員として出席してきました。この会議は、市内の交通を維持・活性化していくために、市民・交通事業者・県や警察など関係者が公共交通全般に関して話し合い、路線の開設や維持や廃止、運賃の改定、新たな交通手段の検討、公共交通の利用しやすい改善などを検討する会議です。
朝霞市は地理的に恵まれて公共交通の維持にあまり注意を払わずに済んできましたが、近年、バス運転士の不足や、マイカーの利用の常態化などで公共交通の不振、バス経営の都内に比べての相対的な優先度の低下などが続いています。さらには、朝霞市は高低差が大きくそうしたところでの高齢化が著しく、日常生活の移動手段の確保も課題になっています。そうしたことを個々に条件闘争的に交通事業者と市が交渉するのではなく、包括的に検討できる機能があります。

13日の会議では、
・地域公共交通計画の進捗状況の報告
・それにともなう公共交通空白3地区の検討状況
・すでに書面報告され実施されている西武バス朝24系統・朝霞台駅~泉水地区~志木駅南口路線の収支改善のための経路変更
・バス協会からバス事業者の経営状況
・飛鳥交通からあさかリードタウンへの交通手段の検討のさらなる見直し(住民限定の完全予約制の送迎に特化)
などが議題となりました。

一番深刻に受け止めなくてはならないのは、バス事業者の経営難で、コロナ前の80%までは回復しているが、採算をいく90%には到達が難しく、85%前後で止まるだろうという報告です。さらには2024年からの運輸従事者の総労働時間の規制強化が始まることから、わくわく号を含むバスの減便が避けられないだろうという見通しが示されました。バスがあって当たり前とした議論が通用しなくなる現実が迫っているかも知れません。市民の積極的な利用が課題になっています。
市役所からは、市役所にバス時刻表を掲示したり、ロビーに公共交通のパンフを置いたり、googleマップにわくわく号の時刻表まで連動させて、ルート検索をすると、ちょうどよいバスがその時間帯にあればバス移動が案内できるようにしました。営業的な視点からいうと市の取り組みはまだまだなことが多くありますが、少しでも利用者が増えればと思っています。

あさかリードタウンの交通実験では、黄色い送迎バスの利用率が低迷していて、住民限定の完全予約制のワゴンバスに実験を切り替えると報告がされています。利用の低迷とみんなが使えるバスでなくなったことには残念な思いがあります。ただし未来志向の実験だと思うのが、完全予約制の通勤手段が始まる点です。鉄道事故やダイヤの混乱でコメンテーターとして引っ張り出される工学院大学の高木亮先生は近著で、定員の3割しか座席のないような交通手段が利用者から見放される可能性はなくはない、着席を確保する観点で予約制の通勤手段というものがこれから検討をしていく必要がある、というようなことを提言していて、その観点からは後ろ向きな実験ではないと思いますが、リードタウンの住民の利用が行われるかどうかが課題だと思います。

前向きな話としては、公共交通空白地域の3地区のうち、根岸台7丁目の和光市境の河岸段丘の地区への交通確保に関して、市と地元3町内会で具体的な検討が始まったことが報告されました。運行可能なルートの確認、車体の選択、利用方法、運賃などがこれから検討されていくものと見られます。
過去の市議会の答弁では一定の方向性が出たら、地域住民一般にも話し合いや説明会の場を設ける、とされているので、地域住民の利用喚起のきっかけとなることも含めて、そうした場がいずれ設けられることになると思います。

市議会に持ち帰りの多い会議だと思っております。

●恥ずかしい話ですが、この会議体を設置する条例が市議会で提案された際(もちろん会議設置を提唱したもので最終的には賛成しましたが)、議員委員がいることが良くないとして、修正案を出しています(賛成少数で否決されましたが)。国内では「我田引鉄」という言葉があるように政治家が維持もできない公共交通を自分の票田に引っ張って、公共交通をダメにした事例に枚挙にいとまがないことと、議員には市議会という場で話せる場をもっと持っているからです。
私もこの会議体設置を提唱した責任から、この会議体をほぼ毎回傍聴してきましたが、ここで議員委員が私と遠藤議員に交代するまでは、議員委員ばっかりしゃべって、本来、めったに言葉を聞けない、住民のニーズ、公共交通事業者の事情、県や警察などの立場が会議で出てこない状況が続いていました。我田引鉄のような害悪はありませんでしたが、本来のこの会議の機能を減殺するようなことが続いていました。
今回私が委員になるにあたって、発言しないように、と思いましたが、実際に会議に出てみると、過去のこうした運営のおかげか、議員以外の委員がなかなか発言しないことか当たり前になってしまっていて、まずいということで、他の委員に質問を投げかけるようにしました。
その結果、公共交通空白地域の町内会の方に検討の受け止め、バス事業者に路線維持のための将来の考え方などをお聞きできたと思います。

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2021.03.04

3/3 16日から国際興業バス全市的に減便のダイヤ改正

20210302bus 市内4路線を走る国際興業バスが16日からダイヤ改正を行います。今回は、朝霞駅南口から膝折、志木駅方面の路線が全般的に減便になっています。全面的にダイヤも改正されていて、改正ダイヤにご注意ください。

 内容としては、
・朝霞駅東口から朝霞・浦和線を経由して内間木(旧湯~ぐうじょう)の路線は夕方帰宅時間帯を中心に減便、
・朝霞駅南口~末無川(志木行と膝折循環の合計)は1時間に約4本→2~3本、
・さらにその先に向かう朝霞駅南口~膝折~志木駅東口は約50分間隔
となります。
 私の居住する三原地区では、志木駅東口→朝霞市役所が、朝霞市民の公共施設の利用で使われるのですが、イベントの開始時間に間に合うには微妙なタイミングのダイヤ設定であり、やや使いにくいダイヤだなぁ、と受け止めています。

 バスの運転士に対する全国的な賃金低下が、人材不足を招き、その結果としての路線廃止です。日頃、もっとバスを活用する生活スタイルにしていくことで、賃金改善が実現すれば、いずれ増便となる可能性もないわけではないので、もっと乗ろう、ということを呼びかけたいと思います。

●このうち、早朝1便だけの朝霞台駅→膝折→朝霞駅南口(朝12系統)は廃止になります。
志木駅南口→朝霞駅南口(朝11系統)は、昨年3月に市内の2路線の廃止申請を県に届け出て、様々な事情で8月に廃止は撤回されましたが、減便を予告されていたものです。
  過去記事 8/26志木駅東口→朝霞駅南口のバス廃止が撤回へ
こうした問題に、朝霞市は公共交通協議会という会議体を設置して、業者、警察、自治体、地域団体で歯止めをかける仕組みを一昨年から発足されています。これがあったから助かったというところがあります。

バス会社も募集しても応募がない運転士の賃金改善のために、路線の選択と集中を徹底的に試みています。採算が取れているだけでは存続してもらえる時代ではなく、もっと儲かる路線に集中的に運転士と車両を投下していく時代です。
1便あたりの乗車率や、自治体の協力で路線の存続を決めているところがあります。埼玉県内は減便や廃止した分しか増便しないと自治体に表明しているバス会社もあります。そういう業界事情のなかで、マイカーばかりを乗り回していた人が、突然バスがないと言いだしても、対処しようがない時代に入りつつあります。
わくわく号も、以前は朝霞市が金を積めば増便を考えてくれましたが、今は、運転士がいないと断られている状況です。

●社会全体、人の役に立つ仕事に人手不足が起きて、東大生の希望の職業がコンサルタントといい、憧れの職業が軒並み手足を動かさず観念的な職種が並ぶ時代です。税制が金融にだけ甘いせいですが、努力が大事と言う人こそ、資産から派生する所得ばかり追いかけたり平気でする時代です。
このミスマッチを解消するような、所得の公正な配分が行われる社会構造に転換することが急務だと思います。

●そのようななか、新年度予算では、市役所の駐車場の舗装し直しに2500万円もの予算が計上されています。マイカーを持っていない人の割合が下から4番目の朝霞市で、公共施設のマイカー来場者の駐車場に関するクレームばっかり聞いている感じがします。新型コロナウイルス対策はもちろんのことですが、CO2対策や、公共交通の存続という観点から、そこに今お金使うんですかという感じがします。市役所周辺の見てくれの整備にばかりお金を使います。

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2018.11.07

11/4 バス停に採算を表示する京都市営バス

20181105kyoto_bus2研修の後、京都市内の移動に市営バスを利用しました。その際、バス停に、その路線の採算状況が示されていました。茶色い四角囲みの数字が100円の運賃収入にかかる経費です。
20181105kyoto_bus1_2

是非論があるかと思いますが、一定の人口密度のある京都市では、マイカー利用をやめてみんなでバスに乗るようにすれば採算が取れるはずの地域です。そういうなかで、住民にもう少し乗ってくれれば採算が取れるという到達目標を立てられることになると思います。

私も、わくわく号やその他バスの課題に取り組んでいますが、バスを通しても結局乗ってくれない現実に退くしかない話ばかりです。
業者が乗ってくれるような努力をしていないと水掛け論を言われますが、乗らない限り増便もないし、バス会社はもっと儲かる路線に資源を投入したいので、運転士不足のおり運転士も確保してくれない、という時代状況です。

●この話を別のところで紹介したらバス運賃がタダにして街が活性化したという海外の事例が紹介され、ナンセンスだというご意見をいただきました。
私も、基本はそうだと思います。ところが、残念なことに日本の公共交通は独立採算が基本でその仕組みを変えるのは何十年もかかる話です。財源も小さな政府が歓迎されるので、どこからも出てきません。補助を出したくても、人に関わる医療、福祉、教育の支出をして、日常のインフラのメンテナンスをして、その残余の額でしか公共交通に振り向ける財源はありません。限界です。地方の公営交通も福祉財源として予算を確保して、高齢者無料パスを交付することで財源投入を受けているという実態もあります。
そうした貧困な公共交通政策のなかで、こういう採算の表示が、住民自身がマイカーから少しでも降りてバスを残す努力をしてみるか、という一つの判断材料となり、社会的な意義のある消費行動を誘導することになると思います。

●「政治路線」と言われるような、有力政治家がごり押しして、誰も乗らないバスを無理に維持させるようなことの防止にも効果的です。
一方、朝霞市では内間木地域のバスが課題になっています。私は、人口密度の低い地域の交通維持は別問題で、採算云々の話ではないと思っています。採算問題は他3路線の課題です。

●私は、高齢者や障害者に交付しているパスモの補助金(年額2000円)が、経費が関わる割に利用できる頻度が少なく、効率悪いと思っています。また市役所や出張所に近い住民ばかりがメリットがあって、遠い住民はこの交付を受けるために交付金額の大半を使ってしまう矛盾があります。またパスモなので、地域間の人をつなげることに政策目的が特化できません。
このための財源が総額約4000万円程度あることから、これを市内バス事業者3社に分配して、高齢者と障害者のバス無料パスを交付したらどうかと提案しているところです。また、ケアマネージャーなどの専門職の判断で、無料パスではなくタクシー券に振り替えることも含めて検討されるべきだろうと思っています。

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2016.10.31

11/30 住民と自治体は「おでかけ」をどのようにかたちにするか

29~30日、東洋大学で開かれた「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム」に参加しました。地域の移動の問題を考えたり行動している研究者、事業者、市民が、事例交換して考え方を整理する研究集会です。日頃、生活と公共交通をどうするか、ということを市議会で問題提起し続けている私にとって、刺激の多い場でした。

問題提起は、名古屋大学の加藤博和先生、大分大学の大井尚司先生、福島大学の吉田樹先生から行われ、
事業者には、
・輸送する部分だけを考えて仕事していないか。「生活」「お出かけ」のなかの手段であるということを見渡せているか
・情報ツールの変化や経営の手法を使っているか
自治体には
・地域のお出かけ環境を整えることが仕事と認識されているか。要求されているからバスを通すということだけやっていないか
・地域公共交通会議で、事業者、自治体、市民で、地域のお出かけをどうするのか、考えているか(全国の自治体の設置率8割、朝霞市は未設置)
市民には
・要求するばかりではなくて、自分ごととして公共交通を考えているか
などの話をされました。

事例は、住民が回送バスを誘致した福岡市柏原3丁目(西鉄バス)、タクシー補助で地域のお出かけを活性化した町長(鳥取県日野町)、沿線住民に全戸訪問して必要性と欠けたところを認識して地域との関わり方を変えた(十勝バス)、再建を引き受けた京都丹後鉄道の地域活性化と乗客増(WILLER・EXPRESS)、沿線活性化の仕掛け(鳥取・若桜鉄道)、半径2キロのくらしの足をつくる(北九州・三ヶ森タクシー)などから報告がされています。

●朝霞市は池袋から15分という環境に、交通が便利だ、と思い込みがちですが、地域内の交通環境に関しては、あまり目配りしてこなかったので、マイカーがなくても移動できる移動手段が脆弱です。先生たちが紹介した事例のなかで、青森県八戸市の事例がありましたが、指定した地域には、必ずバスは20分に1本以内、定間隔で走らせることを自治体が宣言し、そのための事業者間コーディネートをしていることも紹介されました。
全国の自治体ではもはや8割にのぼる地域公共交通会議の設置がされていないというのも、グループディスカッションでは恥ずかしい思いをしたところです。もちろん課題がなければよいのですが、簡単にわくわく号を拡充することが難しい状況のなかで、既存バス路線の活性化が必要です。

●ポスターセッション(展示)で、豊田都市交通研究所の交通行動と社会参加の関係性の発表の中で、お出かけの頻度が高い人は、人付き合いや5年後の自分の姿を楽観しているプラスの効果の他に、投票率が高いという結果が発表されていました。投票率の低い朝霞市、やはり地域のお出かけの機会が少ないのかも知れません。

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