昨日、解雇しやすい特区を作ると安倍首相。そんな特区に誰が住みたいっていうのかと思いますし、解雇が日常茶飯事に行われる自治体など、まばすハローワークの失業給付の窓口が、続いて生活保護の窓口がパンクするんだろうなぁ、と見ています。
年々、急激に増大する生活保護給付費に向き合って、自治体の社会保障政策に関わっていると、とにかく無年金者を減らしていく政策が必要、、という思いとともに、失業者を出さないでくれ、と思わざるをえません。そんな特区では自治体首長も議員も絶対にやりたくありません。
景気の一点だけでみたときに、解雇を流動化させれば景気が良くなる、という仮説は、景気がよいときの労働政策。ミスマッチを解消し、それぞれが能力が最適の職場に向かって動き出すこともあるのだろうと思います。
今のようにとにかく雇用の量も質もよくないときにそういうことをやってしまうと、今ある仕事にしがみつく強さはますます強まるばかりか、さらに稼いだ収入も消費にはき出さなくなり、失業おそれてせっせせっせと貯金を始めます。
バブル期~バブル崩壊の数年後あたりににつくられた政策提言を、金科玉条に「改革」だと思って信じ続けている間違いではないかと思います。
また解雇自由ということですが、日本の裁判所は、裁判官の常識がそうだからか、介護があろうが保育があろうが配偶者の仕事があろうが、転勤に応じなければクビにしても何の問題もないという判決を出し続けていますし、パワハラの末の解雇を満足に否定した判決もあまりありません。気に入らないヤツはクビ、フリーの社会です。「日本の雇用終了」を読むと、「凍土の共和国」という在日朝鮮人の北朝鮮訪問記の次にうなされそうな話がオンパレードです(一方で採算悪化による事業終了や事業閉鎖を理由とした解雇は難しい判例となっていて、そのアンバランスさは問題だという指摘には、生活が崩壊するような転勤を無制限に認める結果を誘発する問題を抱えるなど、一部うなづかなければならない部分もあります)。
正社員の多くが、「クビになるぞ」という言葉を恐れて企業のなかで能力発揮ができていない現実もあり、そんな単純な経済理論でうまくいくとも思えません。
まぁ、消費税の増税を要求しておきながら、自分たちは税金を負けろ、という経済界の要求を、麻生、高村の大御所たちに値切られて思うように実現できなさそうな首相が、一つぐらいおみやげを持たせなくてはという思いからなのでしょうか。
●昨日の市議会で、共産党の斉藤議員が、臨時職員の待遇改善に関して、非常によい質問をしていただきました。斉藤議員は、常勤的な勤務実態にある臨時職員に、賃金の経験加算などできないか、という問いでした。総務部長が数年前の総務省通知を出して、経験加算を踏み切るには研究不足だ、と答弁を回避しましたが、経験加算を実現するためのハードルは明らかになったことは収穫です。昨日の私の質問とあわせて、朝霞市役所の常勤的臨時職員の安定雇用と待遇改善が大きく進みそうです。
余談ですが、この総務省通知、裏返して読むと、自治体正規職員が地方公務員法第23条に書いてあるように、職務も定めず、明かな職階も定義せず、その職務も職階も変更せずに定期昇給するのはそもそもおかしいのだ、とも読める不思議な通知ではあることを、議会終了後、廊下で会った総務部長にお伝えし、職種によっては2~3年経験詰まないといつまでも能力蓄積過程の労働者ばかりになる分野もあるんじゃないの、という話をしながら軽度の経験加算は何ら違法ではない、と説明しましたが。
さらに優先課題としては、詭弁や都合のよい論理で解雇されない、ということが大事で、毎年、更新時のどこかで解雇されても文句は言えない、という地方公務員法の臨時職員の扱いをそのままにしておく限り、賃金改善も労働者の仕事の質が上がらなくても文句も言えない、ということになります。
右肩上がり賃金の正規職員にすることが難しければ、雇用を安定させて、悪いことしたり、職場がそもそも市民にいらないと言われるまでは、職を失わないというメッセージを出さないと、働く人は能力を発揮したり、創意工夫をしようとしないものです。
●昨日の他の方の質問では、事実誤認も甚だしい内容がありましたが…。決算議会のなかで資料請求して細かくチェックした事業の担い手に、税金泥棒呼ばわりされても、その人たちが反証することは、手間がかかり、一度税金泥棒と思われた方はその印象をぬぐえないものです。小泉構造改革のときに、そういう場面を良く見たものです。
その話のなかで、介護より保育に金を使いすぎだ、待機児童問題の解消は急ぐな、という話がありましたが、決算書を見る限り、保育園には約2200人に対して26億円、学童保育約900人分足して3100人に31億円、高齢者介護は介護保険の直接給付だけで約3000人に対して41億円となっています。特別会計からの保険給付として行われる介護施設整備は、個々の施設増設が議案に掲載されないので、議案に載せられる保育園のように見えないものです。印象操作とはおそろしいものです。これも支出ベースですから、介護に関しては利用者から施設に入る利用者の利用料は入っていない上での数字です。
まぁ、保育ばかり柱の政策にしないで介護もやってね、という意味に捉えましたが、まぁ、その質問が言わんとする公費が適正に使われているの、という疑問では、労働者賃金の水準が事業者監査に入らない介護ビジネスの方が課題は多いのですがねぇ(そうなってしまった原因を言うとまた話が長くなるんですが…)。