11/16 地域から変える仕事に就く
議員インターンシップを派遣するNPO代表の佐藤大吾さん「20代コネなしが市議会議員になる方法」を読む。
表紙のうたい文句が「学歴・職歴・関係なし、市区町村議員になれる確立82.6%」というのがダイヤモンド社らしい品格でちょっと敬遠してみたが、内容はとてもよい。市議になりだけの人は読むべからず。市議会議員になった人がどんなことやっているのか知りたい市民は読むべき。著者は選挙コンサルタントではないので、選挙に関して出し惜しみする情報もなく、選挙研究にも有効だと思う。
同書のなかで、近所の選挙の支援で何度がご一緒したことのある、27歳で初当選された、和光市の井上わたる市議が取り上げられているが、紹介されている事例の中でもっとも無理なくやれるやり方をしていて、ぬきんでていると感じた。実際の選挙戦の中でも、井上さんの判断は至極、効率的で汚れのなく高い品質を維持するやり方だと感じた。彼のそうした能力が最大限に発揮されたのは和光市長選だったと思う。
ただ首都圏以外の地域の候補者は、後援会を作ったり、電話かけをきっちりやったりしないと当選できないような事例もあって、こうした戦法がとれるのは、首都圏、それも東京通勤者のとりわけ多い地域の特権かも知れない。
●ねんきん特別便が届く。これで2回目。これの善し悪しはともかく、数量的に年金が積み上がっていくのが見られるのが面白い。というのは勤め人にとってのメリットなのかも知れない。国民年金を、高い国保料とともにやっとこさ払っているような職種の人には腹立たしいのかも知れない。
これを見て、若手議員たちが成長していくと、国民年金しか公的年金がなく、変な金でも貯め込まなくては、ひどい年金水準になってしまう。かつては議員は有産者による評議員みたいな存在だったが、徐々に業務が細かい政策調整にシフトし、無産者からも政治家になる今の地方議員の実態から、そういう扱いも変だと思う。
議員年金を廃止せよと絶叫する人たちの気持ちはわかるが、そうなると議員の年金は国民年金だけの丸裸になってしまう。議員報酬は税金では給与所得と見なされ、事実上勤め人みたいな身分におかれるのに、社会保険はどうして厚生年金にならないのか不思議である。議員年金として公費を突っ込むからおかしくなるが、公費の突っ込む分を厚生年金の事業主負担として扱えば、民間との扱いの格差はなく、また民間経験と通算されて年金が支給されるために、より議員と一般市民の間を柔軟に行ったり来たりできるようになる。
●ひさしぶりにめくりやすい紙質の本に出会う。最近、製本を外国に出しているせいか、紙の目と逆に印刷・製本されている文庫本が多い。天下の岩波文庫すら多くて残念である。