10/20 各党の出している物価高対策って、ほんとうに物価高対策なのですか
衆院選の選挙運動の手伝いで走り回っていた10日間でした。
情勢報道が始まっています。大阪以外では、維新以外の野党が堅調だという報道です。気を緩ませてはいけませんが、私も街頭で感じていることです。これまでは民主党政権の失敗を論難されたり、野党に期待しないいう表情をありありとする人がたくさんいましたが、ほんとうに少なくなりました。
体力的に政権交代は言い過ぎだと思いますが、与野党の議席差を縮めて、行政がやりたい放題の政治を変えることが必要だと思います。自民公明と立憲民主党が300:100ぐらいの力の比ですが、これを250:150ぐらいにするだけで、国会運営は裏技に逃げず、正攻法で議論をせざるを得ない国会になります。
●ほぼすべての政党の公約を見ていて、頭を抱えるばかりです。とくに物価高対策で、物価高に政府が身銭を切らせる政策ばかりです。四公六民とか、政府の機能が全然違う時代の話を持ち出して、江戸時代より収奪しているとか、1980年代はこんなに税金が高くなかったとか、そういう140字ぐらいの変な煽りに、政党が振り回されてきちんとした議論を対置していません。
物価高は物やサービスの量に対して通貨の量が多すぎることで発生するわけですから、
物価高対策=現金を回収する政策・金利の引き上げ・緊縮財政
となるものです。日銀から政府が借金してまで給付金を増やしたり、減税などやれば、ますます通貨があふれますから、さらに物価高は進んでいくことになります。実際に1978年の福田内閣では、田中内閣が大量の通貨をあふれさせたことでの狂乱物価の後始末として、金融引き締めを行いました。
では、なんでデフレが続いているような貧しさが存在しているのか、という問題になります。
今、株やマンションの値段が高騰しています。物価高以上です。朝霞市でも6000万円ぐらいのマンションが飛ぶように売れます。一般的には好景気といってよいでしょう。就職できないという問題より人材不足が問題になっています。求人倍率は高いままです。
景気の良さを受け止められる高所得な人や資産持ちがいる一方、税金を原資とする医療や福祉、21世紀初頭に安売りをセールスポイントにして買いたたかれたビジネスモデルやそこに従事する人たち、交通など値上げがタブーにされている業界で働く人たちが、物価高のなかで賃金が抑制され続けている深刻な格差の問題、と私は見ています。
景気が悪くて貧しいなら金融緩和ですが、格差の問題なら再配分を実行するのが政策となります。
再配分を実行すべきときに、減税をして、金持ちを放置して、取るべき収入を逃して、配分原資を失うことは愚かな話です。また好景気と不況を繰り返すわけですから、不況のときにばらまく資金的体力(借金できる体力も含めて)を作っておくことも政府の大事な役割です。
すべきことは政府にしかできない再配分を機能させたり、金持ちでも貧しい人でも同じように困る問題に対処できる社会サービスを形成することです。
四公六民でも、五公五民でも、社会保障で財政が赤字なら、取った税金は政治家が懐に入れている話ではなくて、全部国民に戻されていると考えるべきです。その配分の公正さ、妥当さを問うべき問題だと思います。
ところが日本のコミュニケーションと自治の少ない選挙(プロ請負が論点や選択肢を提供し有権者が一方的にそれを票で消費する)文化のなかで、減税をどれだけ派手にぶち上げるかが、国民への愛情の示し方みたいになってしまっていて、後先考えない減税政策の派手さだけが、庶民の味方かどうかという競い合いをしています。
そのなかで、物価高をさらにあおる、現金バラマキ、減税政策を競い合っている、そんな情けない状況で、減税真理教が昂じると、自民党の問題議員のいる選挙区や、過去の言動から職に相応しくない大臣の選挙区で、対抗する野党第一党の候補者を「落選させる」という候補や政党もあったりして、なんだかなぁ、と思う選挙です。
もちろん物価高政策の勘違いでは、野党第一党も問題がなとは言えませんし、今の追い風受けて当選する議員のなかには、後先も考えずに減税の公約を切り売りしてきて、当選後、離党カードをちらつかせて党内政局でごねまくる議員も必ず出てきます。そのときにきちんとした経済政策をジャッジして、ほんとうの不況が来たときに適切な政策提言ができるのか、次の躍進に問われることになると思います。
●物価高対策に対しては、物価高でメリットを得ているところからお金を移していくことが必要ということでしかありません。
基本的には物価高を上回るぐらい賃金を上げることです。
物価高に賃金上昇が追いつかないとすれば、そこは労働が収奪されているということです。
自治体でも、税収を全部バラマキや事業の拡大に使ってしまっている自治体が多くあります。
一方で、税金で雇っている非正規職員、委託事業で働く人たち、裏側に人件費がある自治体の発注、福祉や教育で働く人たちへの給付金の原資となる様々な社会保障給付の単価は抑制され続けています。ここに税収が上がった比率に応じた支払いの改善をしなければ、格差が広がるし、税金を使ってまで雇っている必要な社会サービスで働いている人たちを買いたたき続けることになります。
こうしたことは、にわか減税で解決する問題ではありません。
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