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2024.06.11

6/10 民主主義の破壊行為に市議会として一線を引く~朝霞市機会6月定例会初日

朝霞市議会では10日6月定例会が始まりました。市長提出議案の後、4会派共同提出した「朝霞市政治倫理条例」「議員の議員報酬の支給差し止めに関する条例」を審議し、賛成多数で可決。政治倫理条例にもとづいて、2023年の市議選での問題、今年4月の衆院補選のつばさの党の選挙妨害への関与を受けての「外山麻貴議員に対する問責決議」を賛成多数で可決しています。私の所属する立憲歩みの会はいずれも賛成しています。
この様子はNHK、テレビ埼玉でも取り上げられています。
  テレビ埼玉youtube 朝霞市議会 「つばさの党」事件受け条例案可決/埼玉県
  NHKweb 埼玉 朝霞市議会 「つばさの党」問題で政治倫理条例案を可決
この問題への関心の高さをうかがわせ、傍聴席は満席でした。
当日、つばさの党による傍聴動員のよびかけが行われ、市職員の動員による対応が強化されましたが、動員者は少数に留まったようで、平穏であったことにほっとしています。

●審議の詳細です。
25~27日の「市政に関する一般質問」では日割りの分担が議長から示されました。
25日 福川,兼本,駒牧,宮林,小池,遠藤,田原,西,飯倉
26日 陶山,増田,渡部,外山,権,野本,本田,黒川
27日 石川,高堀,田辺,利根川
いずれも9時スタートです。

市長による7件の議案の提案理由の説明を終えた後、2023年の市議選、2024年4月の衆院補選での同僚市議の所属党派による選挙の攪乱を受けて提出した「朝霞市政治倫理条例」「議員の議員報酬の支給差し止めに関する条例」の審議を行いました。2議案は、立憲歩みの会・あさか未来・進政会・公明党の共同提案とし、4会派が中心に、無会派議員も含めて調整しながら提出しました。
事件を認知した4月16日以降、議員間で協議を続け、5月27日会派代表者会議で本格協議を始め、ここに至りました。

「朝霞市政治倫理条例」は田原議員が提案理由の説明にあたり、石川議員から定義の難しい点について質疑が行われました。
討論では、石川(反対),利根川(賛成),外山(反対),本田(賛成),田辺(反対),黒川(賛成)の6議員が参加しました。
採決の結果は、賛成多数で可決し、
賛成(20) 立憲歩みの会,あさか未来,進政会,公明党
反対(3) 外山,田辺,石川
反対とした石川議員、田辺議員ともに「民主主義の破壊行為である」とつばさの党の行動を問題視しつつ、条例のあいまいな定義の暴走の可能性を杞憂しての反対で妥当なものでした。緊張感ある運用をすべき条例で、全会一致にしない方がよい議案のようなところもあるので、よかったと思います。田辺議員は市議選の被害者としての経験も話していただきました。
条例は、倫理基準を設定したもので、これ自体に統制力はありませんが、議員の起こした問題行動に、議会として価値判断することが可能になります。

「議会の議員報酬の支給差し止めに関する条例」は私が提案理由の説明にあたりました。
石川議員、田辺議員から質疑が行われました。
討論では、外山(反対),田原(賛成)の2議員が参加しました。
採決の結果は、賛成多数で可決し、
賛成(22) 立憲歩みの会,あさか未来,進政会,公明党,田辺,石川
反対(1) 外山
外山議員の反対はそうだろうと思いつつ、その他の議員全員が賛成したことに提案理由の説明者として少し驚きましたが、政治的な不法行為をした議員に報酬を支払い続けることに納得性はない、という前提と、一方で適用法の罪を絞り込んだことが、広い合意形成を可能としたものと見られます。
条例は、刑法,政治資金規正法,あっせん利得法と、公職選挙法の実質(悪質)犯の罪で逮捕され勾留されている期間、報酬の支給を一時差し止めをし、後に判決があって無罪なら差し止めを取り消して返還、有罪なら不支給とする内容です。

ここまでは会派代表者会議で会派間協議、議会運営委員会で設定した議事として終了していますが、政治倫理条例の制定を受けて、つばさの党の選挙妨害事件の関与を受けての「外山麻貴議員に対する問責決議」が提出されました。提案理由として決議の全文の読み上げが行われ、外山議員の弁明が行われ、外山議員退席のあと、各議員の討論が行われました。
討論では、田辺(反対),利根川(賛成),石川(賛成),黒川(賛成),権(賛成)の6議員が参加しました。
田辺議員の反対も、司直が対応すべきだ、というもので、外山議員の問題行動は指摘されていました。
採決の結果は、賛成多数で可決し、
賛成(21) 立憲歩みの会,あさか未来,進政会,公明党,石川
反対(1) 田辺
内容は、東京15区の選挙妨害はじめ選挙をめぐる諸問題を引き起こしていることに、政治家としての責任を問う、という議会の姿勢をつきつけるものです。

以上で本会議は終了しましたが、終了後、議会だより編集委員会と会派代表者会議が開かれました。

議会だより編集委員会では、議決があったので市議会の新着情報「とぴっくす」の掲載を決めるものでしたが、明確な掲載基準がないので、採決があった日は採決した議案の結果を公表する申し合わせを作りました。その上で掲載を決定しています。

会派代表者会議では、「政治倫理条例」「議員報酬の差し止めに関する条例」の討論で、外山議員が条例の内容とは無関係な、他人も悪いではないかといって社会団体、政党、宗教団体に対する事実と異なる非難をして、それぞれの組織の名誉を傷つける発言があったことに、取り扱いを協議しました。
私を含めて何人かが、地方自治法、朝霞市議会会議規則にもとづく議会による懲罰を求める意見があり、発言の確認が行われました。改めて懲罰動議に付すかは会派間の調整で決していくこととしています。懲罰動議の提出期限は、事件発生日から3日となりますので、12日までとなります。
決議は議会の意思を示していますが、法的な効力はありません。懲罰は実際に法的な効力を伴う正規の手続きです。問題を問題とするなら、きちんとした手段を行使し、法律が求める厳格で適正な手続きに付すべきだと考えます。
なお議会の懲罰は、当該議会の活動に関連して起きた事件に限られると判例にあり、議会外の行動に適用できません。

●賛否は分かれたものの、外山議員以外のすべての会派、議員が、外山議員の衆院東京15区補選での選挙妨害について、民主主義を破壊することとして問題視したことにほっとしています。

●日本の公職選挙法は、戸別訪問や文書違反、事前運動など、ほとんど誰も傷つけないような規制が1㎜、1秒単位で規制され、民間人含めてその摘発合戦に明け暮れやすい一方、選挙妨害という基本的な選挙犯罪に関して事例が少なく法解釈が積み上がっていないこと、そのことによる摘発の遅さを感じるものです。
選挙妨害がないにしても、せっかくの公職の能力が備わりながら、選挙に立候補することが怖いといってお断りされる方が少なからずいます。その上に、候補者に対する選挙妨害が頻発すれば、荒くれ者か法など無視するような人で公職は占められていきます。きちんとした対処がそれぞれで行わなければなりません。

●外山議員にはわからないかも知れませんが、外山議員を信じて政策や地域活動込みで応援した、朝霞市内の町内会の方々、地元の自警団の方々、フードバンク活動、私とは考え方が違いますが、マスクやワクチンに怖れる支持者たちが、ああいう乱暴狼藉をどのように受け止めているのか、改めて認識して、これからの活動を変えていただくことが必要です。それをしたくなければ、その政治運動は、自治体議会に拠点を置くことをやめてほしいと思っています。

●以下、「外山麻貴議員に対する問責決議」の私の討論です。

問責決議に対する私の討論

黒川滋です。黒川容疑者と間違えられて大変な思いをしていますが、なるようにしかならないと受け止める日々です。
さて、問責決議に提案者の一員として賛成するとともに、私どもの会派としての意見を討論の機会に申し上げます。

他人の嫌がることはできるだけしない、それが平和な社会に生きるための基本的なお作法である。第二次世界大戦の惨敗を受けて、その反省から立ち上がった戦後の日本は、平和・自由・民主主義を社会の最も基礎となる価値としておいています。

4月の衆院補選で現在のところ罪を問われているのは、3人の逮捕者ですが、外山議員も選挙妨害の現場に立ち会い、クルマの進行を止めたり、候補者をカメラやマイクで追い回したり、ときに候補者の人格を否定するような暴言を吐いている映像も流れています。共犯とみなされる状況にあることは否定できないと思います。

それらに対して、逮捕後、つばさの党チャンネルでは、一応謝罪しているのですが、一体何に謝罪しているのかさっぱりわからない。やり方がまずかったというが、一体なにがまずかったのか、改めるべきと認識しているのか明示されていません。問題行動を起こして、謝るときには、どの部分が間違っていて、どの部分が自分は正しいと示して、間違っていたところにどう対処するのかを、相手と対話して謝罪は受け入れられるものです。
その一方で、政治的自由なのだ、総務省に違法ではないと確認している、道路使用許可を取っているなどと、条件も前提も事実も示さずに断言して、自分たちのやりたい放題やったことに対して正当化を続けている。
また選挙妨害罪で家宅捜索を受けて以降も、凸と言われるような行為を続けており、習慣性の高い問題を抱えていると言わざるを得ません。

外山議員はつばさの党ちゃんねるで、「答えろと言っているだけで、答えれば引き下がるのに逃げるから追った」というようなことを言っているが、答えを求めている内容は必ずしも政策ではなく不倫がどうの、嫌がらせ以外なにものでもないような質問を浴びせています。
また公職者だからといって、すべての質問に応じる義務はないはずです。近年、質問をしつこくすることで嫌がらせとなる行為を「シーライオニング」という言葉で定義し、嫌がらせ・ハラスメントの一つの手法として認識されはじめている。まさに、純粋な質問者を装って嫌がらせをしている「シーライオニング」に他なりません。

他陣営の街頭演説にマイクで音をかぶせ、選挙カーの進路を塞いだり、選挙カーを追い回すことは、選挙妨害にほかなりません。選挙運動の自由を言うが、他の陣営の選挙運動を自由と折り合っての自由である。既得権益だから応答義務がある、というような身勝手なことを言っているが、法律か契約にもとづかなければ、無理に他者と対話することを応諾させられたり強制される義務はこの社会にありません。
そうした近代民主主義の前提となるものをすべてすっとばして、実力によって他人の自由を奪うようなことが、政治的自由とするなら、それは権力の暴走です。1960年代中華人民共和国では、毛沢東に煽られた庶民が、暴力的に実務者たちを既得権益とみなしてつるしあげ、大量の犠牲者と取り返しのつかない人材の破壊が行われました。下からのラディカルな民主主義に見えた人もいただろうが、巨大な権力者の暴走に手を貸してしまったのである。その論理と何が違うのでしょうか。
議会制度は、元々暴力的な政治のエネルギーを制御するために、様々な手続きや要件を求めている。議会の担い手をどう選ぶかは、市民の信条を信託するように作られている。こうしたことへの破壊行為として私は受け止めました。

今回の選挙妨害行為で、何人かの知人は、政党も自衛組織を持たなくてはならない時代になったかも、ということを言っておりました。そうした時代も過去にはありました。日本では戦前、政党が院外団を組織し、荒くれ者たちを政党の防衛隊として組織していました。ドイツでは、ナチスが突撃隊、赤色戦線、国民人民党の鉄兜団、社会民主党の国旗団などを抱え、しばしば街頭で衝突が行われました。こういうのをダイレクトデモクラシーというのでしょうか。
その衝突は社会混乱として呆れられ、最強のナチスに社会の安定を託したのが戦前のドイツです。

近年、政治に多様なプレイヤーが必要ということで、少数民族、女性、若者、性少数者などの政治進出を促していく必要性が求められていますが、あのような暴力的な街宣にさらされなくては候補者になれないのであれば、こうした人たちの政治進出はためらわれるでしょう。

つぱさの党および外山議員の振るまいは、朝霞市議会にその対処の責任がつきつけられています。今年の衆院補選以降、議会事務局職員は自らに謂れのないことで110本以上の電話を受けて、批判にさらされたり、時に怒鳴られたりしています。
朝霞市に対するイメージダウンにもつながっています。
これまで活動の基盤を提供してくれた、朝志ヶ丘の町内会の方々、フードバンク活動、ワクチンやマスクの弊害を心配される朝霞市民に、あのような党活動がどう見えたか理解できますか。

民主主義のプレイヤーとして2023年市議選で送り出された外山市議には、民主主義の基礎的な基盤をこわして歩いた今回の所業は、責任を問われるべきで、自らその問題点を総括して、行動を改めるべきであると考えます。

議会の意思として問責決議をすることに賛成する。

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コメント

まるで令和の魔女狩りだと思います。
市議会選挙において、2000票以上の付託をへ3位当選してる方に、問責決議はやり過ぎです。外山議員は逮捕されて無く、問責に当たる正当性に掛けてませんか。その後の懲罰動議は、魔女狩り其の物だと思います。創価学会の目に余る勧誘は、50年前私も経験してます。恫喝され行かないと後何されるか分からない脅迫されました。
議会で事実を言ったら、虚偽扱いされるのですか。

投稿: 杉山隆司 | 2024.06.27 03:29

問いかけに答える方が立体的に問題が見えるのでお答えします。
一つ目、問責決議に関しては、選挙妨害という民主主義への破壊行為への関与に対するものです。議会人としては、選挙で他陣営の妨害に関与し、あるいは政党の幹部の一員としてその行動を容認し続けたことは問題だと指摘せざるを得ません。魔女狩りには当たりません。また法的な効果は指摘のみです。反省していただければよいですが、開き直ればそのままです。
二つ目、懲罰動議は、議題に無関係に各団体に名誉毀損したことへのものです。選挙妨害に対するものではありません。自ら注意力のない問題行動に対するものです。議会としてはそういうことが議事録として公文書になることを放置しておくことはできません。
今回の外山議員の問題発言は、宗教団体などと無関係な、政治倫理条例も報酬一時差し止め条例に対する議論で、宗教団体の勧誘のあり方など議論する場ではありません。公益性も関連性もないところで政党や労働団体、宗教団体への誹謗中傷を行ったので、懲罰動議を出さざるを得ません。
なお問題発言は、本人が6月20日で謝罪しつつ全面撤回しています。非を認めているものを、非がないという話になれば、議会一同、本人の謝罪も撤回も、虚偽の態度だったと受け止めることになります。

投稿: 黒川滋 | 2024.07.13 18:04

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