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2023.11.11

11/10 議会が有用な場所と思われる改革の指摘~朝霞地区議長会研修

10日午後、朝霞地区四市の議長会で、議会改革の研修会がありました。講師は三重県議会事務局を長年務めた高沖秀宣さん。
三重県議会は、県議会の議会改革のトップランナーで、そこで取り組まれた実践が全国の議会改革の実践例に展開されているものが多くあります。

折しも市議選前、今回は候補予定者が多いせいか、市内では下品な宣伝戦が衝突しあう光景も珍しくなく、それを受けて、市民の少なくない方々からは、市議会なんて存在意義あるの、あってもなくても変わらないじゃない、みたいな問い返しがしばしば行われます。
それに対して、現職議員や議員候補予定者は○○を実現したというような答えもできますが、議会が必要と思われる議会づくりをしていかなくてはならない、ということの示唆に富んだお話だったと思います。

高沖さんのお話では、
自治体議会を「議決機関」として、採決だけにクローズアップするのは間違いで、憲法も地方自治法も「議事機関」として、話し合って、提案に対して最善の結果を模索すべき場と指摘されました。多様な民意の反映するために議論をして時に修正を加えていく作業をすべきだ、とおっしゃっていました。
予算についても、地方自治法では議会の権能として予算を承認するのではなく「定める」と書かれていて、市長が提出する予算に対して、議会が議論して、議会として必要と思えば修正して議決すべきだ、と指摘されました。後から、議会自身が賛成して決めた予算に(一般質問で)いろいろ物言いしていてよいのか、という問題意識のなげかけは大事だと思いました。市長提出議案に無傷にで賛成しておけ、叶えられない要望は一般質問で後から言えばいい、みたいなお作法がお利口とされる我が議会で「議決機関」としての議決責任すらどうかと思うこともしばしばあります。
執行官の事務の都合ではなくて、多様な住民の側の視点で、合議で、政策形成機能を発揮するのが議会だらか、調査や研究に力を入れて、ちゃんと提案できる議会になろう、というのが第一節でした。

第二節は、二元代表制として首長からの独立性を保てという話と、そのためには首長や行政職員に質問ばかりする議会ではなくて、議員どうしで議論して政策形成することが大事というお話でした。

第三節では、議員力もつけるけど、集団としての議会力もつけようというお話で、埼玉県議会の一連の議員立法の取り組みを一定評価しつつ、10月の児童虐待防止に関する条例改正の失敗では、自会派だけの議論で原案をおしつけるような展開になったのが調査や研究の量的な問題として良くなかった、議会は議論して最善の結論を出そうとするから意味があるのだ、と指摘されました。

第四節では、議会がちゃんと議論できるようにするためには、年間4会期で運用するのではなく、通年議会として、4回の大きな会議の他、会議と会議の間に小さな会議ができるような運用が必要と提言されています。

第五節では、コロナ後の議会のあり方して、何があっても議事機関としての機能を維持するためにオンライン議会の準備しておくこと、育児や介護している議員の議論への参加を可能としておくことが必要との指摘もされました。

議会としての調査活動の大事さも最後に指摘していました。
一つは委員会審議できちんと参考人招致・公聴会をして、研究者や利害関係者の話を聴いて議決していくことが必要、と指摘されました。
政務活動費の使途についても力説されました。高沖さんも4市の政務活動費の使途を公開情報から調べられ、広報費の支出の比率が高いこと、調査研究の使用が低いこと、多額の残額を残していることを問題視され、きちんと専門家に話を聴いたり、勉強会に行く費用にも充当すべき、と指摘されそう思いました。
余談ですが、私と本田議員でつくる「朝霞市議会立憲歩みの会」では、広報費の使用は一番後回しにしよう、と会派綱領で決めています。こうした歯止めをしておかないと、どうしても政治家の生存戦略としての広報にばかり公費を使うことになりかねません。

質問は4人の市議から出されました。
・鎌田和光市議から政務活動費の適切な水準の質問があり、高沖さんからまずは調査研究活動で使い切ってみてから、それから水準を考えるべきではないか、と答えられました。少し無茶な答えと受け止められた可能性がありますが、調査研究活動にもっと力を入れよう、という示唆だと思いました。
・赤松和光市議から、予算審議で調査時間がないという質問があり、高沖さんからは三重県議会では、事業採択が決まった12月頃に議員に対して新規事業の説明が行われ、議員はそこから調査をして、2~3月の予算議会に向っている、事業採択が決まった後の新規事業の説明がなければ、本予算は可決できないと執行部に伝えている、と答えがされました。
私が議員になった頃、2月前半に新規事業の説明が行われていましたが、「議員の負担になるから」などとの「ご配慮」で、ここのところ2月後半、3月議会開会間際の説明になることが多く、問題だと思っておりました。使途の実態も不透明なまま議決できないとして予算案の反対理由に挙げたこともあります。
・島田新座市議から議会改革は全会派一致じゃないとできないのはおかしい、という質問があり、高沖さんからは何が正解かという答えはしませんでしたが、議会全体として改革が必要というスタートに立たないと、どんな決め方をしてもという答えがされました。
私もこれは悩ましい話で、議会のルール変更を多数派が好き勝手しないためには多数決原理で決めない方がよいと思う一方、理由にもならないことで有無も言わずに拒否権を発動される議員や会派がしばしばあって、それが少数のごね得だけではなく多数会派が発動することもあり、朝霞市議会でもあまり軽々にべきだ論を振りかざさず、今の議会ルールの変更手続きのなかで慎重にやるしかない、と考えています。
・松永和光市議からは参考人の招致費用はどうしたらよいかという質問があり、高沖さんからは議会として議長から予算確保を求めるべきことだという答えがありました。

●市議会の任期満了を前に改選があるわけですが、議会改革が停滞しているのはなぜか、という観点での有権者の視点が必要だと思っています。高沖さんの話をウンウンと聞いている議員と、舌打ちして聞いている議員と、双方おりました。そうだろうなぁと思って見ておりました。

●「議事機関」ではなく「議決機関」と書いている事例としてあげられたのが、朝霞市議会の議会の解説でした。朝霞市議会で配布している議会の解説資料、市民の議会に対する権利・手続きを明示していて悪くはないのですが、時折、地方自治法をめぐる考え方の変化を反映していない記述もあり、修正が必要です。

●その「議決機関」としての機能としても不十分です。採決態度を市のホームページの奥深いページでしか公開しておらず、議会だよりに掲載することができていません。1会派を除きやるべきと答えている状況です。

●この研修をもって今任期の議会としての公務はすべて終了しました。

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