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2023.11.03

11/3 朝霞市の子育て・保育政策で取り組んだこと

来年4月入所の保育園の入園申請の(広報の工夫のほとんどない不親切なタイトルや大事な情報順ではなく役所の都合のシーケンシャル順の掲載など課題の多いHP。)郵送分が昨日締切られました。窓口では11月17日まで受け付けるということなので、必要な方の申請漏れがないようにお願いいたします。

保育政策に関しては、我が子が保育園卒園からだいぶたち、もはや私には制度論的なものしか扱えなくなっていますが、もともと12年前の立候補時は当事者であり、かなりのウエイト割いて取り組んできました。今回その取り組みについてご紹介いたします。

1.保育所の待機児童問題の解消(保育所定員2011年度1600人→2023年度4043人)
 2011年頃の保育所の課題は待機児童問題が深刻なことでした。人口で朝霞8:朝霞台5の人口比率にもかかわらず、朝霞台地区は、北朝霞保育園と浜崎保育園しかなく、認可外保育所を朝霞市の独自補助金を使いながら利用するしかありませんでした。2人預けて月10万円前後、3人となると14万円ぐらいの保育料を払うことになり、本来国や自治体がやるべきことがやられていないことによる負担が「見えない税金」として横たわっていました。また認可外施設で働く保育士も時給での労働がほとんどで処遇が悪い状態でした。
 少子化だからという理由で、2010年ぐらいまでは、保育所の新増設は1自治体1園という不文律の規制がかかって、埼玉県内は保育所が十分に整備されてきませんでした。マンション分譲などで人口増加の著しい朝霞市では1995年から一気に待機児童が爆発して、比率で全国ランキングを記録したことがあります。
 これまで3期のなかで、国の政策転換、新設の補助金の制度変更もありつつ、朝霞市では保育園の新増設が進み、さらには認可外保育施設の認可保育所への転換などが進められて、4月で1歳、2歳児以外の待機児童問題は量的には解消してきました。また、フルタイム労働の夫婦が増加するなかでパート労働の保護者が押し出されることが増えてきたので、すべてを保育園が吸収するのではなく幼稚園との共存ができる対策を求めてきました。
 待機児童解消に向けては、マンションや住宅開発の情報の援用、母子手帳の交付を行う子育て包括支援センターからの統計的情報の活用、全ての未就学児童の保育状況の把握など、待機児童数を追っかけるだけではない先読みできる数字さがしを、担当課と模索してきました。
 地区別の入所バランスがあったりして遠隔地通所が発生しており、開発と地域別の保育整備が今後の課題です。

2.放課後児童クラブの定員不足の解消
 続いてやってきたのが放課後児童クラブの定員不足で、3年生以下でも入園できないという事態が発生しました。他学区の空き教室を使用した緊急対策に取り組み、その間に民間放課後児童クラブの開設促進と、公設放課後児童クラブの定員確保の対策を促し翌年には解決できました。
 その後、放課後児童クラブを必要とする児童数を保育所入所児童数から先読みすることを運用化し、待機児童問題はほぼ解消しておりますが、後述する障害児の受け入れ体制の不備など、見えにくい問題は続いています。
 また子どもが多い自治体なので、引き続き4年生以上の保育の確保は課題が続いています。一方で子どもが自分たちで遊ぶ空間と仲間を見つけていくことも発達において重要で、施設で囲い込まない育ちの応援をどうするかという考えが必要です。

3.保育で人権を守らせる仕組み
 2012年労働相談から引き継いだ、ある公立放課後児童クラブの運営状況は、聞くに堪えない内容でした。放課後の家庭に代わる生活空間である放課後児童クラブで時間割授業のような運営を行い、休み時間にしか子どもにトイレを行かせない、子どもは前の子のプライバシーも何もなく、トイレの前に長蛇の列をつくってトイレに行く、人手がなくて障害児にひどい言葉かけをする、などの驚くべき内容でした。
 是正を求め人権の再確立を求め、しばらく数年は職員の人権研修がありましたが、講師を引き受けてくださった方が家族の事業で多忙になると、また消えてしまっています。
 子どもの排泄に関して不必要な管理と人権問題を引き起こした、時間割授業のような保育のあり方は是正を求めていますが、これは運営団体が頑なに変えようとしません。こうした管理主義的な保育の方法が、国が定める放課後児童クラブのガイドラインに叶っているのか甚だ疑問です。
 障害児の受け入れに必要な職員を雇わず、社会福祉協議会へ支出している運営費用を、大量に市に返金してきました。市は意図してかせずか、この返金を収入として補正予算を組み、他の事業に使ってしまっているのです。現場では職員不足が常態化し、障害児をできるだけ受け入れないような運用がされ、受け入れた障害児や発達に課題のある子も基本的な職員数で対処しなければならず「迷惑な存在」として位置づけられてしまいがちで、ノーマライゼーションの考え方と全く逆行している現実を作っています。
 2021~2022年にかけて、会派として、公立放課後児童クラブの職員を雇わない問題を集中的に追及しました。最初は、障害児や発達に課題のある子の補助や休暇代替要因を誤魔化し、クラス編成最低数の職員数だけを出して足りているとごまかしの答弁を続けていました。職員数不足の背景には運営を委ねている社会福祉協議会の放課後児童クラブの運営に関する本部職員数が管理職除くと1人という状態で、十分に職員を集める努力がされていないことが浮上。2023年度から社会福祉協議会の本部職員の増強が始まっています。
 職員数不足は少しずつ解消していますが、派遣指導員を多用して、多額の派遣費用がかかっています。直雇用の指導員を確保していくよう解決していくことが必要です。
 また国の放課後児童クラブの運営ガイドラインから事業の点検をしていくことも必要だと考えています。

4.幼稚園の市の関与の拡大
 幼稚園の政策は、かつては教育委員会に属していたものの、補助金を出して終わりという仕事の実態でした。市内の幼稚園の園長さんから、障害児の受け入れでの支援策や、延長保育への支援、子育て政策への関与でご意見をいただきながらも、砂に水を撒くように幼稚園からの課題は消えていく状況でした。
 子ども子育て制度の発足を控えた2014年に、市は幼稚園の管轄を教育委員会から児童福祉行政に移管しました。当初幼稚園関係者は保育か、教育かという観点で強い反発がありましたが、一般行政部門に移管したことで、保育園と一体化した子ども政策のなかで幼稚園としての制度や位置づけを明確化し、市職員の訪問などが行われ、要望を聞き取ることも始まるようになりました。
 まだまだ不満は残っていたり、不十分な対応がないとは言えませんが、私としては、この方針は保育か教育かという観念論ではなく、総合的な子ども政策のなかで幼稚園の役割を再定義することが可能となったことと、幼稚園の専門的な担当部署が設定され市の関与が拡大できたとして、肯定してきました。

5.保育所入所決定のシステム化・申請のオンライン化
 保育所が増加するなかで、保育所入所決定に至る市役所の事務が肥大化して、他の事務がままならなくなっています。また量的に事務が増えるなかで、入所申請時期がどんどん前倒しになっており、半年も前から手続きに入らなくてはなりません。これらは量的な処理であり、集中的な業務であり、システム化していくべきと考えています。
 2023年7月、会派を超えて先進地の塩尻市を見学して、一般質問などを通じて市にその報告をしながら、入所決定のシステム化、その前処理の書類提出のオンライン化の検討を求めています。
 その検討を求める家庭で、入所決定システムはすでに稼働していて、この数年不誠実な答弁がされていたことが判明しました(市を弁護すると不完全なシステムでチューニングしてようやくここ2年、マッチングがある程度ちゃんとできるようになったということです)。そこはさておき、入所決定がシステムとして動いて合理化されているので、あとは入力業務の省略化含むオンライン申請の検討です。

6.子どもや保護者が問題を調べてもらえる第三者機関の設置
 保育園の運営団体が多様化してくると、今までの朝霞市の保育行政の常識による行政指導だけで適切な保育がされる保障がありません。また子ども子育て新制度への移行で保護者負担の集金をめぐるトラブルが小さなものも含めて頻発していました。そうしたものをすべて保育園の設置を推進したり、事業者の立場もわかりすぎる行政が集めて指導するということに限界があると見ました。
 兵庫県川西市に子どもの人権オンブズパーソンをはじめとする、子どもや保護者がこのやり方おかしいし問題だということを提起し、専門家に分析してもらって、その上で問題があれば解決を助言してもらえたり、ときに勧告などを通じて運営の是正を求められる機関の設置を初当選以来12年提案してきました。
 ポジティブな話が大好きな市役所には、こうしたネガティブな情報を集める機関の設置は後ろ向きで停滞しています。

7.産後ケアとしてのヘルパー派遣
 初当選の2011年は、子育て真っ最中で、一番大変な出産直後の家庭の維持を経験したばかりでした。男性が家事をしない/できない日本社会のなかで、産院から返されてきた体調が十分でない母親が家事に追われていることを想像するなかで、初当選の頃から必要性を訴えている政策です。
 「産後ケア」の一環として産後家庭の家事援助を和光市、新座市など近隣市では実現していますが、朝霞市ではベビーマッサージや心のケアだけに留まって、具体的な家事の支援は放置されたままです。
 近年、父親の産後の育児休業取得が増え、家事をする男性も増えていますが、それでもまだ母親にかかる負担は少なくない状況で、産後ケアとしてのヘルパー派遣は課題として残されたままです。
 せっかく朝霞市に転居して、出産して、これからというときに家庭内がつらい経験で埋められてしまうことが、朝霞市の印象としてどうなのか、男性幹部ばかりの市役所ではまだまだ通らない話なのかも知れません。

8.母子手帳の交付しかしない子育て包括支援センター
 出産と産後の家庭を守るという観点で、子育て包括支援センターが設置され、母子手帳の交付を集約化し、専門職が事情を聞きながら家庭の課題に支援策を組み立ているような制度が始まっています。
 しかし上記7が実現していないような、相談しても実際のサービスや、支援団体を紹介してくれるのはごくわずかで、結果として母子手帳の交付が不便になったという声ばかりが大きくなってしまいました。
 朝霞市ではただ母子手帳の交付の便利さだけが話題になりがちで、政策的にはまったく不十分な状態です。そのなかで子育て包括支援センターを、行くのが不便だからという理由で、機能も見直さず増設する話だけが進んでしまっています。
 増設する以上、他市でやっているような相談した後の、そのご家庭が困っている課題に応じて、行政や民間団体のサービスを配置して、子育てのつまずきを一つでも減らしていくような相談機関に育てることが急務です。市内で活動実績がある多胎児保護者や、外国人や帰国した子どもを持つ保護者の支援する団体など、いまだに紹介をためらっているみたいで、問題だと思っています。

9.子ども子育て会議の設置と運営
 子ども子育て新制度がスタートする2015年に向けて、2013年9月の市議会の条例可決で市の児童福祉政策の審議は「子ども子育て会議」に集約されました。総合化されたことはよかったものの、他市の事例を見ると、保育所のあり方なり、放課後児童クラブのあり方なり、幼稚園のあり方なり、子どもの居場所づくり、子どもの貧困など全部の課題の詳細を議論することは不可能で、分科会を設置しているところが多くありました。
 議案の出た2013年の9月市議会では、子ども子育て会議に分科会設置ができない内容だったので、市議会に分科会設置を可能とする修正案を出しましたが、残念なことに6人の賛成のみでいったんは否決されました。
 運営してみると会議体として規模が大きくて細かい制度に関する議論が難しいことに直面、2018年、市は私が出した修正案とほぼ同じ条例改正を提案してきました。部会を設置できるようにして、専門分野は部会の話し合いをするようになっています。
 子ども子育て会議の運営に関しても、年若い遠慮しがちな保護者委員がいるなかで、声の大きい委員の発言に任せてる現状があったことから、運営の改善も度々市議会で指摘してまいりました。司会である会長との事前協議、会議術の研修、発言に任せるのではなく議題ごとに当事者を指名して発言してもらうことなど要望してまいりましたが、まだ改善がされていません。


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