11/24 議会が有意義な場になるか~政策シリーズ第6弾
12年間、悶々としたのが市議会が有効な場にできるかどうか、ということです。
朝霞市議会の投票率の低さは、国政にしか関心のない半分ぐらいの市民の政治意識の問題も指摘できるものの、やはり市議会があってよかった、と思える場面を市議会自身が作っているのか、問われているのではないかと思います。ただの行政の追認と、町内会長がやった方がよいような市の仕事の中継ぎだけでよいのか、という問題が横たわっています。市に問題解決を必要としない市民からは、市議会なんているの、とよく聞かれます。それに対する答えを、議会として出していかなくてはならないと思っています。
議会が有効に思われるためには、決める、ということでの消極的な態度を変えることです。
市長提出議案に対する修正は、私が12年議員やったなかで、1件もありません。わずかな文言で法文上の問題議案があっても、引っ込めて行政が直して再提出され「一事不再議」という考え方からは大問題な処理(私も当時はこれを見過ごしてしまい反省しています)や、中身の審議をする委員会審議の省略され、議会として自発的に直すという機会を放棄したことがありました。
そうした議会のなかで、私が挑戦してきたことがあります。
1.市長提出議案に修正案を出す
朝霞市議会は、巧妙に多数派が作られ、市長提出議案に反対したことのない議員が3分の2ぐらいおります。そのなかでいつも市役所の提案どおりの議案が可決されていきます。一方で、既存の反対する側も、観念的な反対論が多く、この議案がそもそもダメなのか、直せばよいのか、そのあたりの価値判断を放棄しています。
私は致命的な問題があるものの、ここを直せば納得性のある議案になるのではないか、という市長提出議案に12年間に7件の修正案を提出してきました。自分のなかではまだまだ少ないと受け止めていますが、反対するより悪感情が渦巻き政治力が削がれる修正案の提案としてはギリギリの数だったとは思います。
そのうち2つの修正案については、その後運用でムリがきて、数年後に市長提出議案として市長から提出され実現したものもあります。議会が先読みして問題点を直すということを採決行動に動かしていれば、最初から問題が解決できていた案件だと思っています。
ちなみに朝霞市議会でこれまでに出された議案への修正案は、委員会を含めて10本です。
2.全員賛成の議案でもきちんと討論する
私が当選したばかりの頃の市議会では、反対者がいない議案には討論をしてはいけない、というルールにない規制がありました。しかしどんな議案でもやった方がよいけどカンペキだということはないはずです。また全員賛成するような議案でも、議員が考え方を述べ、その議案を評価することで行政運営の規律を維持ることにつながるものです。さらには良い議案はちゃんとほめた方がよいこともあります。
全員賛成の議案でも、考え方のある議案や新規条例には、きちんと討論をし、議案の評価をした上で、採決するようにしてきました。
これは私が積極的に取り組みましたが、先行して小山元議員が取り組んできたものでもあります。
3.市長提出議案に厳正に審査する
当たり前のことですが、市長提出議案に最初から賛成、反対を決めずに、中身をできるかぎり調べて、評価をして、賛否を決めるよにしてきました。朝霞市議会の場合、与党議員を自認する、市長提出議案に賛成する議員が最初から多数派なので、私の立場は「このぐらいかな」というより少し厳しめに判断するように心がけてきました。
その結果、今任期4年間318議案議案に対して反対数で5番目、保守市長に対する評価だということで最初から反対することを決めている議員がいる当初予算・決算議案除くと、反対数で2番目の審査の厳しさを維持しています。
「何でも反対する議員」という言葉があります。非生産的な反対や理由なき反対をしていたらそう言われても仕方がありません。市役所に責任のないことで反対されてもそうかも知れません。私にもそうした言葉を投げかけられることがあります。しかし、何でも賛成する議員と言われるよりはましと言われるように言い聞かせて、良い議案にはきちんと賛成し、駄目な議案を鵜呑みにするようなことはしないように留意してきました。
4.わからないことは聞く
朝霞市議会に来て驚いたのには、市長提出議案に対する質疑が、一部の議員しか行われてないことでした。これでよく議案の内容をわかって賛成しているな、と疑問がつきまとっていました。一方で特定の会派には議場で質疑もしないのにこんなものまで、と思う情報が提供されていることもありました。
議会は議場で共有している情報で、意思決定をしていく場です。
2022年12月の輝政会の分裂、あさか未来の誕生から、議会全体で市長提出議案に対する予備調査や質疑が活発化しています。その前段に私たち会派「立憲歩みの会」として質疑を練り、議場で議案の長所短所を見えるように質疑を展開していくことを心がけてきました。もちろん委員会があるので詳細審議は委員会に譲りますが、出された議案の概略や本質的な部分ぐらいは本会議場で確認しておくべきです。行政の都合のよい説明だけかも知れない、と厳しい目で見ないと、後で泣くのは市民です。
5.不利益変更の議案には当事者の意思確認を求める
障害者施策でひどいのですが、不利益変更する議案に関して、当事者たちとの話し合いもせず、良くて一方的な「ていねいなご説明」だけで提案してくることがあります。障害者やそのご家族が委員となって政策を議論する審議会があるのにそこに提案しない、良くて報告で審議もしないで出してきます。
こうした議案に対しては、困る当事者の意思確認や意見交換をしたのか、と毎度問い詰め、それがされていない議案には反対してきました。教員逮捕案件で「警察からの事前説明がなかった」と教育委員会は再三困惑していましたが、その言葉どおり、社会的強者に関わる課題で、相手方と話し合いもしていない話など、簡単に提案できるものなのでしょうか。
6.一般質問の改革~見えやすい議論に
市議会議員が自らの抱える課題を自由に質問できる「市政に関する一般質問」という日程が毎議会3日ありました。以前は、国会の代表質問のようにまとめて演説のように質問して、答弁、まとめて質問して、まとめて答弁、という方式で、いったいこの答弁がどの質問に結びついているのか聞いている方が困惑するようなものでした。
12年前から一般質問の改革が課題になり、質問と答えが一つずつ結びつく「一問一答方式」の導入を求める請願を議会が全体で可決したにもかかわらず、毎回ちゃぶ台返しする任期の長い議員たちがいて、改革が進みませんでしたが、ようやく2022年9月に話がまとまりました。
質問時間を短くしたい与党と、維持したい野党で折りわなかったのですが、和光市議会や新座市議会の相場をみながら、若干短くしながら、時間制限は質問時間だけのカウントを守りました。都内などで答弁をだらだらして議会の質問時間を奪う行政があると聞いているからです。この調整には今回引退を表明している共産党の斎藤議員が、議会内の難しい人たちを説得・調整していただいた功績が大きかったです。
一方で一般質問がわかりやすくなったことは良かったものの、他の議事に対して一般質問は何のためにあるのだろうか、ということも踏まえた議会・議員の資源配分も考えなくてはなりません。
12年前の初当選の頃に比べて、与党に限らず一般質問しかやらない議員が増えました。24人で共有すべき議案の審査そっちのけで、自分の独壇場と設定された場で言いたいことだけ言っているとしたら議会の機能不全です。議案としてい出ている案件に、議案質疑もせず、一般質問で行政をやり込めている議員もいました。一般質問でワクチン接種に盛んに反対して行政をやり込めている議員が、ワクチン接種を拡大することが中心の内容の補正予算に賛成し続けました。議会の本分は議案や予算を定めることです。一般質問でできることは行政運営の軌道修正や内容の確認です。権限としては議案の方が優先すべき仕事です。
7.議会のオンライン中継
議会改革のなかで、本会議のオンライン中継が定着しています。実現に向けて1期目は同世代の議員と尽力し、他の議会の事例など映像を見せながら紹介しました。各会派の歩み寄りで実現しました。
これよって市民は議場来なくても、土曜や日曜でも夜でも議会の様子が確認できるようになりました。その際、安価なUstream(後にyoutube)を利用して実現しています。
現在の課題は、詳細審議する委員会の映像または音声中継の実施と、議会自体のオンライン開催を可能とするルールとインフラの整備です。来年度からの次期改選後の議会の課題となっています。
8.芸は盗む
労働組合で働いていたり、高校、大学で学内の議論の場に挑み続けてきた私には、他の人より議会という場への対処の仕方は慣れているつもりですが、それでも細かい技術では気づかないことがいっぱいあり、他の議員が経験で習得してやっていることは、できるだけ「芸を盗む」かのように、取り入れてきました。またそれを秘技にするのではなく、24人でできるだけ共有できるようにしてきました。
9.会派運営の改革
市議会の会派というのは市民に謎な存在です。端的に説明すると、市議会内の政党なのですが、政党というには理念も何もなく人事ポストが有利だからと聞かされてくっついている会派があり、それで議事に影響を及ぼしているので、これでは会派弊害論が出るなぁと思って見ていました。
しかし、会派は必要で、議員が考え方の近い人とグループを作り、上司も部下もない議員たちが自治的な仕組みをもっていくことは大事です。わが「立憲歩みの会」独自の取り組みですが、会派会派運営の透明化と、会派の理念の提示を行いました。公明党会派さんを見習い、わが会派では定例の会議を設定してきました。日程確認から始まって、情報の共有、政策への対処を共有して、信頼できる会派づくりに取り組んできました。
関連記事 2019/12/17 会派「立憲・歩みの会」を結成しました
10.議事ルールの守り手として
議会のルールが意味の無いものと思わせるものがありますが、多くは外国や国内の他議会などの過去の抜き差しならないトラブルから形成されてきたものです。また少数派が好き勝手にやられないための慎重なルールだったりします。
安易に議会のルールを軽視する行動には厳しく対処してきました。一方で無意味だと思うルール変更には積極的に提案したり協力してもきました。
私自身議員になった頃、いくつか議会ルールを知らずに失敗して、反省を求められたり、大事な判断すべきところで判断ミスをしたことがありました。そのたびに痛恨の思いをしていて、それからは議会ルールと首っ引きで仕事をしてきました。
最近、採決時の起立をいい加減にする議員が増えたり、議場での通信機器の使用がだらしない議員が増えています。注意喚起していきたいと思います。
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