11/15 朝霞市の教育の改革をどのように提言してきたか
政策シリーズ第3弾です。街頭で、ご家庭に4年間の成果と課題を特集した議会報告をお渡し始めています。紙面から説明しきれないことを詳細に説明する政策シリーズ第3弾は学校教育の環境整備です。
教育への政治介入は望ましくないので慎重に行わなくてはなりません。一方で、予算や教育内容にわたらない教育の環境整備は政治の扱うべき課題です。私や、会派「立憲歩みの会」としてどのような取り組みをしてきたのかご報告いたします。
ICT教育への対応・ロジスティックの整備
2020年コロナを受けて、子ども1人1台の端末が配布され、突如としてICT教育が開始されました。機器メンテナンスにかかる教員の負担、突発的な機器や環境のトラブルによる授業の停止などが起きないように、会派としてロジスティックを支える支援要員の配置を求めてまいりました。
2023年度より3人の支援員が配置されています。
今後の課題としては、ICT教育自体への支援員が必要だと考えられます。現在のところ、戸田市など先進自治体を経験した教員の異動、内部研修などで、比較的スムースにICT教育が導入されている状況です。
学校支援要員の待遇改善
日本語を使えない子どもの通訳をする日本語支援員、支援の必要な子どもを支援する学校支援員、図書館サポートスタッフなどの教育を支える教員以外の待遇が悪かったり、職種によってはボランティア活用として、最低賃金を割り込んだり、日当2000円程度で働かされている現状が見られます。
学校を支える重要な職務と位置づけ、研修をし、1人が自分で食べて行かれるぐらいの賃金水準に改善した上で、専門性を確保していく必要があります。現状、 一般的な処遇改善程度の改善しかされていません。
老朽校舎の改築・修繕のスケジュール化
高度成長期に建築された学校校舎が老朽化に直面しています。市の建物を管理する方針「公共施設等マネジメント実施計画」から学校校舎ははずされ別計画となっていること、1校50~100億円かかることから、トップの英断なしに財政的なスケジュール化がされておらず、場当たり的な対応に終始しています。
特に第二中学校に関しては、老朽化が一番進んでいる上に、浸水想定地域にありながら、2階建て、3階建て校舎を外廊下でつなぐ複雑な構造になり、危険で、日常的には非効率な状況におかれています。学校施設の改善の計画では建替えの優先度第一号に位置づけられているにもかかわらず、2023年度予算では国の予算を使いながら補修することになりました。国の補助金を使うと10年は建物を壊すことが難しい状況におかれます。
私どもの会派として、早急な改築が必要と提言しています。 その他の学校も、改築または大規模なリニューアルをスケジュール化して、市の予算マネジメントと連動させて工事を進めるよう提言しています。
学校部活動の抑制と改革
議員になったばかりの頃、市民相談で朝霞市の公立中学校の部活動が、月月火水木金金の週7日、炎天下でも長時間実施されているという問題が持ち込まれ、子どもが郷里の祖霊を迎えることすらできない、と指摘されました。他議員の指摘ですが、部活動による教員からの深刻な人権侵害も指摘され、学校が安心して勉強できる場所として、部活動の改革は必須でした。
最初に取り組んだのは熱中症対策で、夏休みの日中部活動の安全確保を求め、屋外労働者の安全基準を提示し、守るように求めました。タテマエ上では守ることになっていますが、現実にはまだ完全には守られていません。
文部科学省、スポーツ庁などが、部活動の総量抑制に乗り出し通知を受けてからは、活動日数は週5日、時間は長いときで18時までと規制が始まりました。多くの部活動はこれを守っていますが、成績優秀な部活動で尻抜けして活動している実態がまだ残っています。
部活動での子どもの人権の確保という観点でも課題があり、そうした通報が多かった教員が逮捕される案件も出ています。
教員の確保が困難になっていることから、教員の働き方改革だけに矮小化され、外部指導員導入だけが話題になりやすい状況です。外部指導員が導入されると、教員が顧問を兼任する時間的制約がなくなることから、さらに子どもへの負担が強まる可能性もあり、その対策が必要です。
まずは学校の基本的な機能が何をする場であるのか、その上で、学校での部活動が、中学生にとってほどよいものであること、一生の趣味や道楽と出会う機会であることの基本を踏まえての部活動改革が必要だと、会派として提言しています。
新しい教育スタイルへの対応
日本のホワイトカラーの生産性が低いと指摘されている一因に、穴埋めテストに対応するような能力育成ばかりしてきたことが障害になっていると言われることがあり、学校教育でも、子どもが自ら問題発見し、調べ、議論し、レポートを書く新しい教育スタイルが急速に取り入れられています。いわゆる「アクティブラーニング」といい、文部科学省では「対話的主体的で深い学び」と言われる方法です。
その解決朔のツールの一つはICT教育ですが、内容面では、調べることへの支援が重要で、学校図書館の機能強化が課題です。購入資料冊数や分野のばらつきなどは悪くないものの、公立図書館との資料連携、司書の専門性のばらつきなどハウツー面での改革が必要です。
長期的には、教室の構造なども変えなくはならない可能性もあり、学校施設のリニューアルが求められる場面があるとも考えられます。
学校給食の直営維持
朝霞市は行政改革の方針として、学校給食の最終的な民営化を方針としています。その結果、本来は学校教育と連携すべき自校式を実施した学校から給食調理の民営化が始まってしまいました。
民営化することで、消費税の支払の発生、業者マージンの確保など、現場調理員の賃金を下げる結果になります。実際には直営でも、朝霞市の給食調理員は、現業職の給料表の厳格適用で正規職員でさえ最高給が30万前後、非正規職員も多用していることから、そんなに人件費はかかっていなくて、外部委託しても大してコストは下がりませんでした。むしろ調理員と学校とのコミュニケーションの障害が起きたり、そのことに起因する給食事故も起きました。
コストと無関係に民間委託しているのは、公務員が給食調理なんかすべきではない、という思想がにじみ出てくるような委託の方針も感じられるものです。
長時間学校に拘束するカリキュラムのもとで、昼食の提供は重要なインフラであり、子どもたちの状況にしなやかに対応できる給食提供のあり方は重要です。学校給食の直営による維持は重要と捉え、会派として要望を続けています。
また最終段階で給食センターの民間委託が想定されていますが、その際の人員整理の方針を確認すると、公立保育園給食の調理へ異動させるのさせないの、詰め切れていない問題も多くあります。
子どもの人権相談機関の設置
学校は、いじめ、体罰、ハラスメントなどが起きやすく、人権の確保が課題です。
保育政策でも提言を書きましたが、子どもが直接相談でき、教育委員会の学校教育行政から独立した人権の相談機関が必要です。
会派として提言し続けています。
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