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2023.03.04

3/3 都市計画は誰のものか

3日の議案質疑、一般会計予算ではいろいろな話題が出てきました。

印象に残ったのは、田原議員のDX推進の外部人材を拒絶する市の方針への疑義、内間木出張所の修繕を出張所機能の検討が不足しているという質疑、外山議員の公立保育所でのおむつ回収開始にあたり、過去の政策決定の遅れを振り返る質疑、遠藤議員の保育所でのおむつ回収で民間保育所での対応を聞く質疑、本田議員の公共施設改修のマネジメントと、医療的ケアを必要とする子どもに何もされなかった問題への質疑が印象的でした。

私は諸計画の策定に一つ一つ確認質問をしました。多くの計画は、アンケートに留まらず、利用者や当事者の参加、さらに行政が飛び込んでの当事者への聞き取りなど質的な調査が定着してきていることを確認しました。17年前、市の計画づくりに参加して問題点を感じたり、その後議員になって夜学の大学院に行って社会調査法をいっちょかみして計画策定のあり方を考え続けたのが視点になっています。

そのなかで、これはと思うのが都市計画マスタープランの計画策定です。このために2000万円の予算がつけられています。
戦後、都市計画は国が決め、自治体はそれを細分化したものを受け容れるものでした。全国各地に工場やオフィス街ができたものの、暮らしや住まいの空間は、住宅公団や大手デベロッパーのニュータウン開発をしない限り、乱開発によって形成されてきました。一方で、地域が決められる仕組みがない反動として、開発には周辺住民からの強烈な反対運動がつきもので、反対運動が炎上して地域社会から孤立して玉砕するという、変な美学もこの時代の産物でした。
自治体は土地の利用に関する規制に主体的にタッチできず、県庁所在地の駅を降りるとどこも同じ風景なんて揶揄されたのはその結果です。

中央集権的な都市計画の反省から、1992年にできたものが「都市計画マスタープラン」です。どんな街にしたいのか、地域社会で合意してルール化するドイツの制度を取り入れたものです。残念なことに日本では、土地・建物の私権が強く、具体的な規制を計画に入れることはできませんでしたが、都市計画の諸規制をするには都市マスタープランを反映させる、という法律が入っていることで、まちづくりのルールを地域発で作れる仕組みができてきました。
この地域にはこういう建物しか建てられません、という「地区計画」が制度としてあるのですが、それもこのマスタープランに描かれることが出発点です。この道路に歩道を必置にしてほしい、この地区には店舗のない建物は建てないでほしい、そういうことも規制を作る前に都市計画マスタープランにそういうことを書き込まなければ始まりません。

そういう、様々な街への想いをかたちにする出発点となる都市計画マスタープランは、行政職員や専門家だけではなく、まちづくりが影響を及ぼすいろいろな人の意見を聞き、当然、そこに住んだり働いている人たちの意見や感覚が反映されていくことが求められるものです。
朝霞市も、不十分とはいえ、建設業界の関係者以外の委員も入れながら、10年に1回「都市マスタープラン」を策定して、「どのような街にしたいか」という計画を描いてきました。

市町村の都市計画マスタープランは、都市計画法第18条の2に定められています。①街づくりの基本構想は議会で議決した上で、②都市計画マスタープランを構想し、③その策定では「市民の公聴等(全国いろいろな自治体があるので最低条件の手法)」で市民の参画の上で策定し、④策定したものは都市計画に反映させる、というつくりになっています。

4月から、朝霞市も都市計画マスタープランの検討を始めるのですが、その中身を聞きました。
計画策定に常設で検討するのが、都市計画審議会、職員だけの庁内検討委員会、そしてコンサルタントということになるという答弁でした。今まで計画策定の中心的な舞台であった「都市計画マスタープラン検討委員会」は設置条例そのものを廃止する、ことも別議案で提案とされています。答弁からは、市民の声を聞くと繰り返されましたが、どうも場面場面だけ市民の意見を聞くだけで、一定期間、常設で市民に計画策定に関与して意見を出してもらってくる場面がなくなります。
都市計画審議会で審議するからいいんだという答弁でしたが、都市計画審議会は、都市計画を国主導の権限で決めていくにあたり、議会を素通りして、計画策定に市の意見を聞くために設置されたのが発端です。総力戦体制&高度成長の産物です。
機能も、議会みたいな場所で、発言は重いし、一番多いのは生産緑地の指定や廃止など議決は頻繁に行います。そのようなところでフランクに街づくりを議論するには限界がありますし、加える委員も、財産権に触れるのでむやみやたらに増やすことは好ましいとも思えません。ここでの実質的な審議に限界があるとなれば、庁内とコンサルだけで街づくりを描いていくという構図が見えてきます。
そうして決定された計画が20年の計画期間で、もう私の残りの人生の朝霞市がほとんど規定されていくことになります。

仮に今はそう考えても、必要になったら検討委員会を開ける権限を残しておけばと思うのですが、今回、同時に、検討委員会を設置できる条例そのものを廃止する条例が提案されています。何でそんなことするのか、という同僚議員の問いには二度手間だからというような答弁しか返ってきませんでした。機能も役割も納得性も洞察がない、「タイ・パ」の論理だけです。

上記の都市計画法第18条の2の要件を満たしているのかという問いへの答弁も、あわてふためいた様子でした。

今回の予算では、わくわくどーむの近くに、公設公営のドッグランが運用開始になることも盛り込まれています。先日これを見に行きましたが、一緒に行ったメンバーが「こういうものが欲しかったの?」と声を挙げてしまうほど、素っ気ない施設で2300万円しました。ドッグランをとにかく税金で作ってくれ、という声は長くあり、それが実現したものですが、結果として当事者参加、市民参加がなく結論だけ行政に要求していると、こういう素っ気ないかたちが量産されていくんだなぁ、という感想を持ちました。

私の残りの人生も、行政職員とコンサルが描いた都市計画で街がそうならなきゃいいな、と思っています。

●私が都市計画マスタープランを思い入れがあるのが、20代中盤、札幌で野口和雄さんの話を聴き、自治体発のまちづくりができる仕組みがあると勉強する機会をいただいたことでした。その後、議員になった後夜学に通い、1992年都市計画法改正に関わった五十嵐敬喜先生の門下になり、まちづくりの可能性について勉強する機会をいただいたことです。今回の提案が明らかにおかしいなぁ、と気づいてこのような問題提起ができたなと思っています。

●医療的ケア児が在校する学校への看護師配置に取り組んだ同僚の質疑でも、そもそもそういう子は朝霞市としては存在しなていない、という答弁もあり、こわいなぁと思いました。この話は12月定例会でほぼ前進すると思っていたところ、予算の最終決定の時期に、全部ご破算にされたものです。その経緯を確認する質疑に、子どもがいないということにされて、うやむやにされました。
近隣市では身体障害の子どもが学校入学を拒まれ特別支援学校に行かされるというので、県議会で問題になりました。ここでも門前払いをしていたようです。
共産国がよく都合の悪い国民の存在を消すことを聞かされてきましたが、そんな感想です。先日放映された「死亡退院」というNHKのルポも思い出しました。

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