1/17 朝霞地区4市での公立の火葬場建設の話
16日埼玉新聞朝刊1面に、朝霞・志木・新座・和光の4市共同で火葬場をつくる話が取り上げられています。市議会には、12月15日の全員協議会で説明が行われています。志木市下宗岡の新河岸川沿いの市境という立地以外、まだ話としては最初の最初、という段階で、検討を始める合意をしたという内容です。
朝霞市の12月21日記者発表資料
ゆりかごから墓場までという言葉がありますが、朝霞市は一貫して若年世代が多かったため、ゆりかごから墓場までの政策全般的にまだまだな課題も多く、子育て環境の整備とともに、葬祭場の運営以外の死に関する環境整備も課題で、
・火葬場の確保ができず、都内の民間事業者に依存して高額な費用負担をしている
・市内寺院に縁のない市民の墓地の確保、とくに家族墓ではなく共同墓地を志向する市民への対応
・死後の財産処理以外の様々な始末を支援する民間団体がない
ことなどが課題ではないかと見ています。
そうした観点では、4市の判断のとおり必要な施設ではないかとは思っています。
一方、総合計画も公共施設マネジメント計画にも、一切の計画に必要性の指摘もなく浮上してきたものなので、財政ほか自治体の経営資源に与える影響を含めて、必要性から十分に検討する必要があります。
高齢化社会を語る語り口である「団塊の世代の高齢化にともない」という枕詞を信じれば、この話をまとめるには10年遅いとも言えますし、一方で、団塊ジュニア世代の方が多い4市の高齢化のピークは2052年であり、そこをピークに考えればまだ必要性があるとも捉えられます。民営事業者の経営圧迫と捉えられて先読みしすぎた早期の撤退を招かないか、ということも検討材料になると思います。
4市の共同事務となることで、利用者の声や感覚が届きにくいところで何もかも決まることになるので、利用者の感覚がビシビシ届くような設計・運営になるかも問われると思います。それを克服するにはどのようにしたらよいのか、考えるべきことではないかと思います。
火葬場に関しては「メーワク」施設と受け止める感覚を強く持つ市民もいるので、立地は他に選びようがないのですが、水害に弱いとみられる土地につくることをどう克服するのかという課題もあります。
札幌にいた頃、死を迎えることにまつわるNPO活動に関わっていたこともあり、関心の高い課題で、注視していきます。
●葬祭場も、参列者が100人以上となる65~75歳の死亡を想定した施設で、死亡者の高齢化による参列者の減少、新型コロナウイルスの感染拡大で稼働率が低下し、課題となっている状況です。一方で、小規模葬は民間施設の整備も進んでいることも考えながら対応が必要になるのかと思います。
●火葬場に関しては、10年ぐらい前の市議会で何人かの方が質問しています。
岡崎議員(2017年12月定例市議会)、獅子倉議員(2016年12月定例会と2013年3月定例会)がその必要性を取り上げています。
基地跡地に火葬場を作るという考えもあり、その場合、基地跡地の無償譲渡を受けられる条件の一つになります。府中市や川口市では、施設の周囲に十分な公園緑地などを配置したり、進入路を工夫したりして、「メーワク」施設とならないような工夫はされています。ただ、一般的に反発を受けやすい施設なので、住宅密集地に近い基地跡地で具体化していません。
●私は葬送全般を2014年6月定例市議会で取り上げています。核家族で親の墓に入ることもなく、子どもに墓の負担をさせることもできない家庭に、共同墓地が必要ではないか、という話題をしています。
●高度成長期は死を極端に忌み嫌う文化が強く、それにともなう思考停止があり、その結果どうしても死に関する仕事が「後処理」的な扱いを受けて、その結果、丁寧に人の死を送る、ということができないケースも多かったのではないかと思います。今は人の人生の終わりをどう丁寧に受け止めるかという観点での施策が必要だろうと思います。火葬場の混雑と遺体保管技術の向上によって死から火葬まで日数があることも多いことから、副作用として、死を受け止め関係者で偲ぶことに時間をかけられるようになっている状況もあります。
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