12/15 人権擁護委員まで政治化することを追認した採決結果~市議会最終日の採決
15日、市議会12月定例会の最終日があり、議案の討論・採決が行われました。13議案のうち、4議案で賛否が分かれ、2議案で、不思議な採決結果となりました。13議案全部で市長提出議案のまま可決。私の所属する「立憲歩みの会」で提出した補正予算の修正案は、維新の1議員の賛成に留まり否決されています。
15日の市議会の動画
補正予算は、原油高や虫食い楢枯れへの対応など大筋では問題ない提案でしたが、朝霞台南口に残る最後のまとまった公有地の利用を、行政に一任するような設計事業が含まれていました。ここ土地利用に、住民ニーズの確認、市民参加型のニーズ確認を私の会派では再三求めてきましたが、実行もされておらず、計画もされていなくて、設計の前処理みたいな作業に入る予算が盛り込まれています。
それに対して、議会として、今一度再考し待ったをかける目的で、私の所属する立憲歩みの会2人で建設の目だしとなる設計準備の予算をカットする修正動議を提出しましたが、当初賛成すると予告していた革新系の田辺議員が地域ニーズの確認は必要と言いながらも修正案に反対、共産党も意見を聞いて事業を前に進めるだろうとして修正案に反対されました。一方、予想もしていなかった維新の佐久間議員が「参加型で公共施設を建てるべき」として賛成していただきました。
採決の結果、私どもの提出した修正動議は賛成3(立憲歩みの会、維新)、反対19(輝政会、公明党、共産党、田辺議員)で否決されました。
朝霞駅南口の地域では、長く住民参加を推進してきた革新系が、朝霞台の話になると行政の配慮に期待して何の確約もないまま前に話を進ませてしまったことに残念です。私としても政治力がないゆえ、朝霞台南口の公共施設建設に向けて、住民や地域のニーズを議論する場を確約できずに前に進ませてしまって申し訳ないかぎりです。
人権擁護委員の推薦での議会同意案件では、推薦されている方が7月4日に埼玉県選挙管理委員会に政治団体を設立する届け出を出しており、来春の県議選なのか来秋の市議選なのか、立候補の準備をされているという情報がありました。私ども立憲歩みの会では、人権相談はじめ人権擁護委員の業務に疑義が生まれることと、政治家としても申し分ない人材に足かせを作るべきではない、として反対しましたが、2人以外の20人はこの人事に賛成しています。
政治家が人権擁護委員をすることは法的に制約はないものの、人権擁護委員法では再三、政治を人権相談に持ち込まないように注意を入れる条項が書かれています。人口の少ない自治体では、弁護士や宗教関係者などが少なくて、政治家を人権擁護委員に指名せざるを得ないということがあることでのギリギリの条項だと思われます。しかし14万人市民がいる朝霞市であえて30人もいない政治家になろうとしている人から選ぶべきかは違うのではないかと思っています。
その採決では、市長を守るべき与党の側が賛成するのは想定どおりでしたが、保守系政治家になろうとしている人を人権擁護委員にしても構わないと考える革新系無所属の1議員、共産党の判断は首をかしげざるを得ませんでした。討論されていないので何を考えて賛成したのか伺い知ることもできませんが、そういうことです。
人権関係の仕事をしている人何人かに話を聞きましたが、首都圏では聞いたことがなく、おかしな判断ではないか、と言われました。
人権擁護委員は、民生委員などとともに実費程度の謝礼だけで無償で地域の人権に取り組む仕事で、なっていただく存在ではあるもの、政治的バイアスがあると思われたら相談者がほんとうのこと言わなくなるのではないか、と考えるべきだと思います。
●議決結果だけではなく、その採決のときにわが会派に向けられた各議員の表情含めて、この街こんな判断する議会でどうなってしまうのだろう、と絶望的な気分で議会を終えたところですが、すぐには問題が起きない程度の人事議案を政治化することで、行政の嫌う政治勢力に諦めの気持ちを押しつけていくところから、選挙で勝った側が何をしても正当化される政治体制が生まれるのだと思います。今回、それを革新系も追認したものだと思わされました。そんなときにこのような新聞のインタビュー記事を見つけています。
朝日新聞インタビュー記事 東島雅昌さん独裁政権は選挙を使って進化する
●広く考えると、自治体議会が提案することを制約されすぎていて、議員が自治体の運営の責任を実感することが少ないからだと思うことがあります。議会で何かを提案して議論したかたちにするより、首長とつながっていろいろやった方が生産性が高くなるような今の地方自治法の制度設計に課題があるなぁと思いました。またそんな無為な地方議会になり手不足が起き、変な政治勢力のデモンストレーションの場になってしまっているのだろうとも思いました。
●市議会の修正動議は3年9ヵ月ぶりの提出です。市長の出したものに反対するより、修正案を出してこうした方がよい、と申す方が雰囲気が悪くなります。対案とか、建設的という言葉がありますが、こういう感じが現実です。
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