6/24 国の赤字国債をひたすら撒き続けるコロナ対策資金~市議会最終日
24日、6月定例市議会が最終日で、8本の議案すべてが可決しました。大きなものは、①犯罪被害者等支援条例の制定、②補正予算1号、③補正予算2号の3本でした。
①犯罪被害者等支援条例は、提案が生煮えな感じがしましたが、市民の権利制限や義務を増やすことではなく、市の支援ツールを作れるようにする内容なので、討論では、わずかな見舞金の給付ばかりでなく、相談・支援体制をきちんと作れ、とものいいして賛成しました。総員賛成で可決しています。
②補正予算1号は、コロナ対策を中心とした予算で、ワクチン接種4回目の追加、様々なコロナ対策経費の追加、社会福祉協議会の貸付金をめいっぱい借りた後の人の生活困窮者への現金給付の追加を中心とする内容で、討論では同じ会派の本田議員が、社会福祉協議会からの生活福祉貸付の返済のめどがたたない市民にどうするか直視した市独自の政策を検討すべきではないか、とものいいつけて賛成しました。総員賛成で可決しています。
③補正予算2号は、子育てで困窮条件にある家庭に5万円給付する国の施策と、新型コロナウイルス対策地方創生交付金3億1千万円を原資とする市の事業の追加予算でした。地方創生交付金を元手に、円安・原油高の時期に減益した事業者に5万円給付する事業者支援1億と、市内トラック輸送業者に原油高騰分の補助を出す支援金は妥当な施策と思いました。一方、4月30日に19~24歳の市民に一律2万円を撒く「次世代エール支援金」として1億8400万円も盛り込まれていました。私と所属する会派は、若者のためのような顔をしながらただただ歓心を買おうとするだけの施策で提案経緯も不透明で効果もわからないし、1億円もあればやるべき優先課題はあるとして反対しました。
採決の結果は私の所属する「立憲歩みの会」2人のみの反対で、他の議員は賛成多数で可決しています。ただ他の議員もなんとなくごろっとした違和感をもっていたのではないかと思うところで、このボリュームの議案で本会議質疑では異例の8人もの質疑者が立ちましたし、私どもの反対討論にも冷ややかな意見・野次・空気はなかったと思います。
この議案にはただ反対するのは良くないと思い、「次世代エール支援金」1億8400万円を、運送事業者支援の対象台数の積み増で約1000万円、帳尻あわせのために行う財政調整基金の取り崩しの解消に1600万円、残1億6800万円を社会福祉協議会の生活福祉貸付の返済資金とする修正案を出そうと前日早朝から作業をしていましたが、1億6800万円の生活福祉貸付の返済資金として給付する事業名が今年度予算にはなく、それは地方自治法の市長の予算提案権の侵害に当たることから、断念いたしました。議会発の政策形成に様々な制約があるのが日本の地方自治で、そのことが一般質問にばかり力が入る地方議員、という姿になる構造をまた体験しました。
全体的に、新型コロナウイルス対策が、感染対策や困窮対策から、景気対策になってしまって、しかも現金を直接配布することに慣れっこになって、ツイッターデモ的なもので、あっちがもらったならこっちも、というただのばら撒き施策が無秩序に次々に展開されていることにどうかと思うところがあります。当の本人も現金もらえてうれしいのだろうけど、日々の困難な生活が解決されるあてもなく、ただ政治家や役人の自己満足みたいな政策じゃないのかと思ったりします。
●終了後、市議会の一般質問の質問スタイルを改革する協議が、各会派の代表者による会派代表者会議で行われました。
議案のインターネット公開が開始されたことを事務局長から報告されました。また早稲田大学マニフェスト研究所の議会改革ランキングの結果が配布され、全国で、総合938位、情報公開で572位、住民参画で770位、機能面で1027位という結果が書かれています。ツールが低水準だけども情報公開度が高いことから情報公開が中位を保ちつつ、その他は全国平均以下という機能です。
この結果に一部議員が、こんなもの一方的に評価れさて、と嘲笑するような意見がありましたが、私からは、この順位になるのは、設問や配点の問題ではなく、全般的に努力不足の結果であり採点する側をとやかく言える水準ではない、と申し上げました。
●代表者会議では、前回の協議では、片道(質問時間のみ)60分以内、新たに一問一答式(国会の委員会質疑のスタイル)と従来の一括方式(国会の代表質問のスタイル)の3タイプの選択制、9月または12月定例市議会から開始、というところまで合意したところで、一括方式は従来どおりなのだから質問時間は25分×3回と理解していた、という声が田辺議員と共産党から挙がり、再協議したところです。
最大会派輝政会、公明党、私どもの立憲歩みの会は、前回の合意事項を尊重した上で、一括方式だからと制限時間を例外とするのは理由がつかないと表明、共産党は一括方式の時間配分を1回25分以内というのをなくしてくれれば、60分以内で合意できる、と前回より歩み寄りましたが、田辺議員が一問一答方式の方が行政にはきついのだから一括方式が同じ時間に制約されるのはおかしい、改革して失敗したら後戻りできないのがおかしいと言って、話をまとめようとしません。
行政に便宜を図っているかどうかは論外としても、改革して失敗したら戻せるように、というのに説得力が少しはあるとみて、今期をめどに、暫定的に25分×3回の一括方式を残存させる提案を私からして、与党2会派もしょうがないという流れになったのですが、これにも田辺議員は「暫定的」というのが面白くないと突っぱねて、最終合意はできませんでした。共産党の斉藤団長からねばり強い説得が続きましたが、なかなか代わりません。
それでも、到達点として合意した一問一答方式の導入とそれにともなう新たな質問時間の設定は、一定の合意事項として確認されています。あとは田辺議員の言う「一括方式」の質問スタイルをどう処理するか、です。
傍聴に来ていた各会派の新人議員たちは、会派内でいろいろな主張を切ったり貼ったりして団長がここに違う会派の主張を受け入れるのに調整した努力を知っていることから、独特な理屈にまとまらない会議に不愉快な感情を持たれたようで、そういうところから、議会改革としては避けるべき、多数決での押し切るべきだ、という若手議員の声が高まってしまうのでしょう。
●今回の質問の改革では、共産党の斉藤団長の各所への説得が大きな推進力になったと思います。最初の段階で多数決で決定きるツールでの改革に拘る与党会派に、会派代表者会議の方がスピーディーに決着できると説得して、手続き論に終始した議論を終わらせ、与党の主張する現在の長い質問時間の削減にも、共産党の議席が大きい新座市などを引き合いに出して相場水準を設定して自ら受け入れ、かつ守るべきところは守り、当初は現行方式をそのまま守る意見もあった会派内もまとめあげ、最終段階では田辺議員を説得し続けておられました。感謝しかありません。
また獅子倉議長の改革への推進意思、市長など関係各所への説得、全会派にフェアな態度と全会派に同意に向けた議論の促しなども功を奏していると思います。感謝しています。
●わが会派としては、一問一答方式の質問形式の導入、質問時間のカウントでの質問時間のみの採用、質問時間は質問時間で45~50分の近隣市水準かそれ以上という獲得目標はクリアしていることから、ここで改革を確定させたいと思っています。
今回は一般質問のみですが、一般質問は議員が持ち込み課題でやる個人プレーで、本来は議案を審議するのが議会の業務なのですから、議案審議をもっとちゃんと改革しないと、と思うところです。不十分な資料、はじめに結論ありきになりやすい委員会採決のタイミング、議員間討議の不在など、課題だと思っています。
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