5/13 バスの路線維持がピンチ
13日午後、朝霞市の会議「地域公共交通協議会」が開かれ、委員として出席してきました。この会議は、市内の交通を維持・活性化していくために、市民・交通事業者・県や警察など関係者が公共交通全般に関して話し合い、路線の開設や維持や廃止、運賃の改定、新たな交通手段の検討、公共交通の利用しやすい改善などを検討する会議です。
朝霞市は地理的に恵まれて公共交通の維持にあまり注意を払わずに済んできましたが、近年、バス運転士の不足や、マイカーの利用の常態化などで公共交通の不振、バス経営の都内に比べての相対的な優先度の低下などが続いています。さらには、朝霞市は高低差が大きくそうしたところでの高齢化が著しく、日常生活の移動手段の確保も課題になっています。そうしたことを個々に条件闘争的に交通事業者と市が交渉するのではなく、包括的に検討できる機能があります。
13日の会議では、
・地域公共交通計画の進捗状況の報告
・それにともなう公共交通空白3地区の検討状況
・すでに書面報告され実施されている西武バス朝24系統・朝霞台駅~泉水地区~志木駅南口路線の収支改善のための経路変更
・バス協会からバス事業者の経営状況
・飛鳥交通からあさかリードタウンへの交通手段の検討のさらなる見直し(住民限定の完全予約制の送迎に特化)
などが議題となりました。
一番深刻に受け止めなくてはならないのは、バス事業者の経営難で、コロナ前の80%までは回復しているが、採算をいく90%には到達が難しく、85%前後で止まるだろうという報告です。さらには2024年からの運輸従事者の総労働時間の規制強化が始まることから、わくわく号を含むバスの減便が避けられないだろうという見通しが示されました。バスがあって当たり前とした議論が通用しなくなる現実が迫っているかも知れません。市民の積極的な利用が課題になっています。
市役所からは、市役所にバス時刻表を掲示したり、ロビーに公共交通のパンフを置いたり、googleマップにわくわく号の時刻表まで連動させて、ルート検索をすると、ちょうどよいバスがその時間帯にあればバス移動が案内できるようにしました。営業的な視点からいうと市の取り組みはまだまだなことが多くありますが、少しでも利用者が増えればと思っています。
あさかリードタウンの交通実験では、黄色い送迎バスの利用率が低迷していて、住民限定の完全予約制のワゴンバスに実験を切り替えると報告がされています。利用の低迷とみんなが使えるバスでなくなったことには残念な思いがあります。ただし未来志向の実験だと思うのが、完全予約制の通勤手段が始まる点です。鉄道事故やダイヤの混乱でコメンテーターとして引っ張り出される工学院大学の高木亮先生は近著で、定員の3割しか座席のないような交通手段が利用者から見放される可能性はなくはない、着席を確保する観点で予約制の通勤手段というものがこれから検討をしていく必要がある、というようなことを提言していて、その観点からは後ろ向きな実験ではないと思いますが、リードタウンの住民の利用が行われるかどうかが課題だと思います。
前向きな話としては、公共交通空白地域の3地区のうち、根岸台7丁目の和光市境の河岸段丘の地区への交通確保に関して、市と地元3町内会で具体的な検討が始まったことが報告されました。運行可能なルートの確認、車体の選択、利用方法、運賃などがこれから検討されていくものと見られます。
過去の市議会の答弁では一定の方向性が出たら、地域住民一般にも話し合いや説明会の場を設ける、とされているので、地域住民の利用喚起のきっかけとなることも含めて、そうした場がいずれ設けられることになると思います。
市議会に持ち帰りの多い会議だと思っております。
●恥ずかしい話ですが、この会議体を設置する条例が市議会で提案された際(もちろん会議設置を提唱したもので最終的には賛成しましたが)、議員委員がいることが良くないとして、修正案を出しています(賛成少数で否決されましたが)。国内では「我田引鉄」という言葉があるように政治家が維持もできない公共交通を自分の票田に引っ張って、公共交通をダメにした事例に枚挙にいとまがないことと、議員には市議会という場で話せる場をもっと持っているからです。
私もこの会議体設置を提唱した責任から、この会議体をほぼ毎回傍聴してきましたが、ここで議員委員が私と遠藤議員に交代するまでは、議員委員ばっかりしゃべって、本来、めったに言葉を聞けない、住民のニーズ、公共交通事業者の事情、県や警察などの立場が会議で出てこない状況が続いていました。我田引鉄のような害悪はありませんでしたが、本来のこの会議の機能を減殺するようなことが続いていました。
今回私が委員になるにあたって、発言しないように、と思いましたが、実際に会議に出てみると、過去のこうした運営のおかげか、議員以外の委員がなかなか発言しないことか当たり前になってしまっていて、まずいということで、他の委員に質問を投げかけるようにしました。
その結果、公共交通空白地域の町内会の方に検討の受け止め、バス事業者に路線維持のための将来の考え方などをお聞きできたと思います。
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