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2021.12.10

12/9 市の福祉事業の指定管理3件に反対しました~市議会民生常任委員会

9日、市議会で福祉・保健分野を話し合う市議会民生常任委員会が開かれました。議案は大別すると、
・新型コロナウイルスワクチン3回目の開始費用や生活保護費の追加、医療費や介護費の追加を盛り込んだ補正予算3本、
・保管文書の紙を電子化をした保育所にも公費を出せる保育所として位置づける条例改正2本
・5年に1度、来年の4月に更新される市の福祉事業の指定管理者を指定する議案6本
・団体から上がり9月定例会からの継続案件とした請願1本
を審議しました。

このうち放課後児童クラブ、障害者の通所施設を含む2施設の指定管理の更新に関する3件に私は反対しました。
新日本婦人の会朝霞支部から提出されていた生理の貧困に係る請願として、生理用品の公的支給を求める内容が審議され採決が行われました。共産党とともに賛成しましたが、賛成少数で否決されました。

●福祉分野での指定管理の対象施設は公立として運営されているもので、指定管理の更新の相手は、いずれも市の外郭団体や近隣市と共同運営する外郭団体です。それぞれの施設の判断は下記のようにしました。

①公立放課後児童クラブの指定管理には反対しました。管理者として提案されているのは社会福祉協議会です。反対の最大の理由は、指定管理の仕様書に、必要職員数を2割も割り込む人員不足に具体的な対策が書かれていないからです。端的に言うと障害者入所した分の加配職員がいなくて、その状態を長年「基本保育に必要な人員は満たされているので問題ない」と答弁し続けてきました。9月の2020年度の決算審査では、始めて具体的に人員不足を認め、放課後児童クラブの人員不足に手を打たれる可能性があったので、当初は、仕様書の書きぶりに課題があるとの消極的な反対に留めようと思っておりました。
質疑・答弁では、9月の市議会で例示された人員不足の解消にあたるべき社会福祉協議会側の運営体制や採用体制の整備に関して、市の働きかけを否定し社会福祉協議会次第とする答弁が再三繰り返されました。また5年同様の事態が続きかねないものと受け止めました。当面の要員不足を解消するために派遣労働者の投入が始まっていますが、「公立」の看板を掲げてやっている事業の内実が直接の人材育成の責任を負う必要のない派遣労働者に置き換わっていくことと、派遣業者に払う高価なコスト負担を広げる結果になることを、それでよしとすることにはならないと思います。
仕様書の根本的な作り直しと、社会福祉協議会との再協議が必要で、運営する本部体制の強化をして、広告を出したというような通り一遍ではない採用活動をきちんとできる状態にしないとダメと思い、私だけでしたが、反対しました。
保守系会派輝政会、公明党、維新、共産党の議員が賛成し、社会福祉協議会が管理者として指定されます。

②障害者の通所施設を抱える福祉施設の指定管理2議案には消極的に反対しました。ただハコモノを管理するのではなく、利用者の処遇に関わる施設です。それでありながら、指定管理者に求める福祉の水準は仕様書では「法律で定めた」ものの内容に留まり、どのような障害者の生活のあり方を求めて支援を組み立てていくか、という理念が仕様書に書かれておりませんでした。また、障害者の作業施設には「目標工賃達成指導員」がいるというものの、その指導が専門的な作業環境整備が行われるものか、そのための人的支援の体制が十分か、不確かな答弁が続いたので、指定管理に賛成できないものと判断、消極的に反対しました。これも反対したの私のみです。
社会福祉協議会に管理者として指定がされます。

③児童館6施設の指定管理には賛成しました。5年前と運営内容が大きく改善されて、子どもの自主性や中高生のコミュニティーづくりが始まっており、そこを評価して賛成しました。新設の児童館の運営の設計にあたり、担当課のイニシアティブが現場に響いたという感じがしています。指定管理者は社会福祉協議会となります。
④特別養護老人ホーム朝光苑の指定管理には賛成しました。市の提示した仕様書にやはり目標やめざす姿について言及がないのが問題でしたが、現在の指定管理者として、時代に即した少し高めの目標設定をした提案書を提出したと確認にして、賛成しました。指定管理者は朝霞地区福祉会です。
⑤老人福祉センターの指定管理には賛成しました。古い法律と制度による施設なので、高齢者の居場所として継続性が維持されていればと思い、賛成しました。あと10年ぐらいすると、こうした施設も高齢者の趣味の多様化で姿が変わらざるを得ないと思いますが、まだこの時点では時期尚早かと思っています。指定管理者は、社会福祉協議会です。
上記3議案は全員賛成しています。

●条例2本は保育事業で必要な文書の電子化を追認するもので、保育所のバックヤード事務の合理化の選択肢として認めざるを得ないとして賛成しました。ただし、文書には子どもの記録に関するものも含まれることから、保育を電子化して便利にしていく過程の副産物として様々な子どもの記録が電子化されて残るシステムができあがることが想定されます。改札を合理化するJR東日本のスイカが、様々な人的な行動の追跡ができるようになっていて、そのデータの副産物の利用をめぐって物議を醸していますが、保育の電子事務を進めていくといつか起きる議論で、そのことを考えて保育現場に適切な個人情報保護のあり方を考えることが必要ではないかと申し上げました。このことを考えさせられたのがGAFAが個人の行動データを収集してそれが社会の行動を規定していっていることを描き出した「監視資本主義」という本と、本谷有希子さんの「あなたにオススメの」という小説です。

●「反対ばかりの野党」という呪文の言葉があります。立法過程の修正可能な段階に野党を噛ませているなら、その呪文は正当なものですが、実態としてはそんなこと認めておらず、ただ与党・役所の出してきたものに賛成しないのは社会の敵と言っているに等しいのではないかと思うものです。戦前の国会ではかなりの議案が反対で廃案となっています。
今回も、私だけの反対となっている議案以外は全会一致となりました。反対ばかりしているというレッテルは私に向けられると思っていて、ヒール役だと思っていますが、全会一致で認めてしまったら、恐らく指摘した問題点は参考意見にしかならないだろう、と思って厳しく臨みました。

●これで議員歴10年のうち8年続けた市議会民生常任委員会は最後の審議参加になります。次回からは、新たな問題意識を持つわが会派からメンバーを代わってもらう予定です。8年も続けて、いろいろな問題提起をしましたが、何が良くなったのか、と思うことばかりでした。物申す会派の議員だからか「やってあげる」ことでは解決しえない、しんどい話を持ち込まれて、それなりに対処しましたが、不十分な解決しかできなかった、と申し訳ない思いばかりです。次の2年、私は別の市議会の委員会に所属することになります。

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