3/12 来年度の市役所の仕事を検証しています
12日、朝霞市議会本会議で2021年度予算審議が行われています。
自治体の予算を可決すると、多くのことを自治体職員の裁量を委ねることになります。つまり自治体にとって予算審議は来年度実行する仕事のメニューを承認する作業です。
そのための質疑が行われました。その結果見えてきたことは以下の7点です。新規事業が少ないので、問題点ばかりが目につきます。
※インターネットの録画公開が行われています。根気のある方は見ていただけたらと思います。私は2時間04分あたりから1時間半程度質疑を行っています。
1.財政危機の予兆が忍び寄っている予算です。新型コロナウイルス対策は補正予算で行うため、新型コロナウイルスによる支出増は1億円ぐらいしかないにもかかわらず、昨年の最初の予算より15億円も支出が増加し、市の貯金を久しぶりに11億円も取り崩す予算です。貯金の残高は28億から17億に低下します。新型コロナウイルス非常時を理由としない支出増に手が打たれていない予算と言えます。またこれをあと3回やったら資金ショートする予算とも言えます。
ちなみに5年ぐらい前までの朝霞市の予算規模は380億円前後だったものが、今は450億円にもなっています。そんなに経済成長しているわけがないので、やはり使い過ぎが定着している予算と言えます。
2.2010年代後半のアベノミクスで財政の調子の良かったときに膨らました事業の借金の返済が始まっていて、新規の借金-借金の返済の差額が12億円となり、キャッシュフローを圧縮しています。たんまり貯めた貯金を崩し続けた、小中学校3校と朝霞駅の両側を整備した後の2005~2013年と同じような構造の財政になりつつあります。
3.公共施設の修繕・改修工事が、2月にまとめたばかりの「ファシリティーマネジメント計画」と関係なく行われ、支出を圧迫しています。
4.2020年度に5億円かけて買った学校のタブレット端末が配備され始めましたが、学校現場にシステムトラブルに対応する職員が配置されていないため、故障するかも知れない自動車を運転させられている状態です。教育委員会は要求したようなのですが、採否のところで却下、その理由として「必要かどうかわからないのに人を要求されてもつけられない」という答弁です。
5.オリンピックパラリンピック歓迎行事はじめ、イルミネーションなど公営イベントと、それに近い駅南口商店街の活性化には積極的な予算です。こうしたイベントは市民から自発的に始まり、自治体が財政支援をするというのが本来の姿と思うところです。
6.障害者福祉と保育の予算が合計で10億近く伸びています。もちろん半分以上は国や県の補助が入るのでそのまま財政悪化の要因ではありませんが、便益を受ける利用者の数に比べて、支出の増加が著しく、コスト分析が必要なレベルに入っています。住民運動をベースにした福祉活動を面倒がり、施設依存(施設収容)型福祉をやってきた限界が出はじめていると思います。
7.これに加えて、公共施設のバラマキが目立った富岡市長の選挙公約の準備が着手されて、後年度さらに財政支出が増える予兆を持つ提案です。ここには、2月まで2年にわたる調査で計画化し、市全体の公共施設の床面積を規制したり、修繕計画のコストを想定しながら新規施設を求める「公共施設ファシリティマネジメント計画」が全く機能していないことを覚らされます。
以上のようなことが見えてきました。それでも市税収入が大して増えないのに、財政支出が急速に増え続けている実態が掴みきれていません。このあと、15日からの分野別に分担して審議する、市議会の4つの常任委員会の審議を待って、判断したいと思います。
●その他にも一般的な議案の審議も行われています。
1.市民に最大の影響を与えるのは介護保険料の値上げ改定です。標準月4950円→5700円になります。今回の提案では介護保険事業計画で必要な事業量から必要額を割り返し、介護保険料が設定されていることが説明づけられています。介護保険料を上げるなという議論は、サービスを抑制することが必要になります。
2.高所得の個人事業主が該当しますが、国民健康保険料(税)の上限が96万円から99万円に引き上げられます。該当者は500人弱です。
3.浜崎から宮戸に入るところで武蔵野線を越える「浜崎橋」の改修工事が発注されます。鉄道上なのでJR東日本にお任せする工事です。残念なことに幅員の見直しは行われず、引きつづき狭い幅員となります。
4.幅員の広い歩道にテラス席を設けることができる制度が創設されます。
5.介護保険事業者に関する規制の変更が行われます。
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