2/18 次の5年ビジョンがないのだろうか~総合計画の議会レビュー
18日午前、市議会の全員協議会(会議にするほどではないが、議員が情報を共有しておかなくてはならないときに説明会的に開かれる)が開かれ、新年度から始まる計画のうち、①総合計画後期基本計画、②まちひとしごと計画、③公共施設ファシリティーマネジメント計画、④地域公共交通計画の説明が行われました。
これらの計画は市民に影響が大きいのに、「行政内部の計画」という位置づけで、行政職員だけで決められることになっているので、議会の過半数が「議決事項」として追加することに賛成しない限り、市議会の議題にも採決の対象にもなりません。その代わりという説明の場でした。
驚きましたのが、5年間の朝霞市の「最上位計画」と位置づけている①の総合計画後期基本計画の説明でした。21日から市長選がはじまり、現職市長が続投を表明しているなかで、市議会議員に対する今後4年間の任期をすべてカバーする5年間で実現したいことの問題意識や取り組みたい政策がアピールされるのだろうと思っていたところ、事務方から、5年前に立てた計画本文から順番を入れ替えたところの説明を数分受けただけで終わりました。今までどおりということ以外に、何をしたいのかさっぱりわかりません。
最近、市政に関して停滞や変化がないということを指摘されることが多くあります。まさにそれを象徴する場面だったと思います。
市長選の前に続投の大義をアピールする場面を、情勢は変わらないと読み、余計なことを提言して滑らない安全パイを取ったのだと思いますが、向き合うことを避け内部調整だけで状況を抑え込もうという政治姿勢を象徴するものです。
与党議員には総合計画の説明以前の様々な説明や約束を民主主義的にしているのかも知れませんが、中立的な私たちの会派からは、敵意をあえて持たずに見ているなかで、そのように見えるばかりです。
また、日頃、市役所は市民が地域に関心を持ってくれない、と嘆いたり、自治会加入率の低下が問題だと言い募るわけですが、議論を避けた市政運営をしている限り、市民は忙しく、関心を持つ市民など生まれてきません。忙しさを超える問題意識がないと、地域に入っていってナントカしなきゃと動いてくれるわけがありません。
政治的には、何も説明しない説明であると、本当に停滞の状況なのか、また1期目のように市民に意見が割れる問題に手を突っ込もうとしているのか、いろいろなことを考えてしまいます。選挙が終わってから大きな話が出てきて、市民の間で議論が起きたときには、後出しジャンケンと思われることです。
●その他の計画では
②「まちひとしごと」に関しては、人口予測なので人口推計の取ったパターンを説明していますが、前回のようにそこから新しい課題を提言することはなかったので、数値的分析の話に終始しました。我が会派からは、出生率の上昇に「結婚」を促すことは妥当なのか、という疑義をさしはさみました。子育てをするのに婚姻した家庭がある方が安定的とは言われていますが、出生に関しては、結婚を前提にする考え方がいろいろな意味で出生率を抑制している可能性もあります。生まれてきた子に罪はなく、またどのような状況であれ生まれてきた子をどこかに追いやることは不可能なので、生まれてきた子は経緯を問わず歓迎し、育てられる環境をつくることが必要な時代にあると思います。
③公共施設ファシリティーマネジメント計画は、今後の公共施設の長寿命化と更新を仕分けして、必要な財源、技術をどう調達していくかという計画ですが、理念とメカニズムの説明のみで、具体的な手法や財政調整的なことはほとんど説明がありませんでした。政治的配慮をしすぎた場当たり主義的な公共施設の運営にならないか心配になるところです。そういうときに割を食うのが、新住民の多い地域です。
④地域公共交通計画は、私が念願してきた計画がようやく策定されました。細かいところに不満はまだありますが、ようやく市としてマイカーの利便性だけに目を向けるのではない交通政策ができるようになったと思います。地域公共交通協議会という会議体、この計画、わくわく号や補助金などの具体的ツール、職員が揃ってきたと思い歓迎するものです。
この説明のなかでは、2021年4月から、朝霞駅南口から川越街道沿いの新電元工業の間に路線バスが開設されます。通勤時間帯だけの運行になり、ノンストップということですが、一般路線なので市民や周辺の事業所に通勤・学校に通学する方も利用できるようです。積水工場跡地から和光市方面のバス開設とともに明るいニュースです。
新電元工業は飯能市から移転してくることから、従業員の従来の居住地である西武線方面や武蔵野線方面からの直で乗り込むバスの方がニーズが高いのではないかと思うところです。私も高校時代に飯能市との間を毎日往復していましたが、乗換のロスというのは大きかったと記憶しています。川越街道バイパスの工場前の交差点に右折レーンのないで、周辺道路の通勤渋滞を避けるためにも、今後も継続的に十分な検討が必要なところです。
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