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2021.01.30

1/29 ロジスティックの強化と権限が必要だと感じるワクチン接種体制

29日に市議会臨時会が開かれて、補正予算を原案どおり総員賛成で可決しています。この予算のなかに新型コロナウイルスワクチン接種の医療関係者分が盛り込まれ、ここからワクチン接種の市としての準備が始まります。まだ未定事項が多いものの、答弁はかなり詳細に行われていますが、そこからは一般人の接種に移行する4月からの構想されている体制に不安が残る印象を受けました。また副反応の対応には、相談・補償のほか、福祉的な支援が必要なときには、因果関係の証明にかかわらず症状に応じて対処する答弁がされました。
まだ4月の高齢者・一般市民への接種開始までに時間があり、川崎市の実験などを受けての国の通知、県の指導などあるでしょうから、これからの計画の詳細がどうなるか見守りたいと思います。

昨日の臨時会で、私の所属する「立憲・歩みの会」としては、予算そのものには問題点はなく賛成しています。その前段に、本田議員から詳細にわたりワクチン接種に関して国が示していることに関連しての質疑、私からは副反応とみられる人への不都合へのケアを質疑しています。その他、利根川議員、田原議員、遠藤議員、石川議員、外山議員などがワクチン接種に関連した質疑をしています。

その答弁では、医療関係者1万人の接種が終わった後の、現段階での市民への接種をどうするかが説明されたのですが、医療機関に依存して溢れた部分を集団接種とする、という計画で、ワクチンの効果という点で心配が残るものです。採決にあたっての討論では、ロジスティックの体制強化と、これから見えてくる接種に対する制約ややらなければならないことを直視して、言った言わないにならずに臨機応変にベストをめざして対応してほしいとお願いしておきました。

いろいいろな制約の多いワクチンです。
最も外的な制約としての考え方は、接種がスタートしたら3~6ヵ月の間に、14万5000人朝霞市民の7割8割が2回接種して、免疫が続く状態がないと、ワクチンによる新型コロナウイルス制圧は失敗する可能性が出てきます。自然抗体(感染者の抗体)は早く減衰することがわかっており、はしかのような接種で一生続く免疫ではなさそうなのです。朝霞市でその効果を出すためには、1日1000人前後の接種を、毎日絶え間なくやらなくてはならないと言えます。
  厚生労働省 ワクチンQ&A
物理的制約としては、ファイザー製のワクチンは、マイナス70℃の専用冷蔵庫から出したら10時間でワクチンがダメになること、ワクチンは1000本1ロットでしか届かないこと。
接種と問診は医師でないとできないので、接種の医師、問診の医師を逆算して接種に必要な医療関係者を確保していかなくてはならないこと。そのためには地域の医師会に拒絶されず協力していただく計画であることが必要です。また医師の本業である病院・診療所での診療行為も基本的には継続できるように協力してもらわなければならないこと。
ワクチンの詳細に関しては海外生産で、また企業秘密が多く、集団接種の実践もまだ少ないので、情報がないこと(つまり常に現段階ではこうやるが、いつ情報の前提が変わってやり方を変える必要が起きるかわからない)。
実務上で忘れてはならないのは不特定多数を動員して接種していただくために、一定割合感染者が会場に来る可能性があること。

川崎市の実験では、改善の余地があるという報告で、集中・効率性を発揮できる体育館で接種して1時間30人だったと報道されています。1人が接種会場に入って出るまでにかかる時間は30分だったと報告されています。この実験結果からは、腐らない10万円を粛々と配る定額給付金以上に、非常事態的に進めていかないと、社会全体の免疫の獲得によるウイルスの制圧は困難なのではないか、という理解をしました。これができないとワクチン接種による制圧は穴があき、壮大な社会のムダになってしまいます。
自治体は、ロジスティックの技量が問われますし、公的な役割としては、30分の接種時間のために個人の趣味や選好を優先することは難しい、非常事態的に進めていかないとならない要素が高いと思います。
一方で、介護や障害者の入所施設や、大規模な事業所では、その場所で接種を受けるということがあってよいと思います。
また医療機関で接種という道を封じるべきではなく、並んだり大人数がいるところに出ることが不向きな、集団接種が困難な状況にある方々のためには必要ということは言えます。
もう少し時間があるので、昨日の提案では不安要素があり、必要な効果に向けたロジスティックを見直していくことが必要ではないかと思います。医療機関の側も相当な大手病院でない限り、毎日何百人も押しかけて接種することを想像しきれていないのかも知れません。
また、傍論的な問題ですが、定額給付金の給付でもおきましたが、不安心理のもとで行われ、多くの人に関わる事務ほど、些末なクレームを延々と続けるような住民を呼び寄せやすくなります。そうした住民が現場で接種を何十分も止めてしまうことにならないよう、どう処遇するかという問題も考えなくてはなりません。

ワクチン接種につきものなのは副反応です。ワクチン推進派は副反応を軽視し、ワクチン反対派は安全性の証明し尽くされなさを突いて徹底的に反対し、政治的な不毛な論争になりがちです。新型コロナウイルスワクチンが効果を出せば、副反応などの被害は、新型コロナウイルスで受ける被害より圧倒的に少ないという考え方から、私は基本的にこうしたイデオロギー論争に巻き込まれずに接種を推進すべきと考えます。
ただし、副反応と、因果関係が証明しきれないけど時系列的には副反応と感じるようなことが起きることに対する対処が必要です。従来のただの苦情受け付けに過ぎないような相談や、因果関係の証明に時間がかかり硬直化した対応になる被害者への金銭補償に限らず、生活上、実際に症状などのかたちで発生する不都合へのケアを、因果関係と関係なく行っていかないと被害を受けた人は人生を棒に振ることになります。この点を今回の議案質疑でしつこく聞き直しました。市として、ワクチン対策として包括的に示されませんでしたが、ケアの担当部長などから、因果関係と関係なく介護の必要には対応していくという答弁がされています。

●この記事を書いて思うのは、4月と言われるワクチン接種開始後、ワクチン接種の接種率が早く上がった自治体と、接種率が上がらない自治体とで人が行き来したら、集団的な免疫が成立していないことになっていくという問題が起きるということです。※海外とも同様です。接種率が高く感染者数が少なくなった国とは往来を認めても、接種率または感染者数が多い国との往来は規制が引き続き必要になります。
したがって、地域医療の資源が薄くて接種率を上げるのに時間がかかる首都圏と、規模の小さな自治体が多く地域医療の資源の比率が高い首都圏外との間で移動を解禁すると、ワクチン接種の効果は薄められてしまいます。ワクチン接種が始まっても、引き続き旅行・出張は接種前より自粛を求めないとムダ、ということになると思います。

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