9/14 2019年度の福祉施策をチェック~市議会民生常任委員会
9月11日、14日、15日と市議会民生常任委員会が開かれました。主には決算の審査です。
2019年度の福祉関連の市の事業をチェックいたしました。
・新型コロナウイルス対策で注目された福祉相談事業に関して、年度当初の予算審議で課を超える対応案件のマニュアル化の必要性を指摘する質疑があったのに、1年間その整備はされてこなかったこと、それに対して、相談者それぞれという答弁が繰り返されたことから、問題視しました。実際に新型コロナウイルス対策で、窓口たらい回し、生活困窮の課にまたがる制度に関して総合的に支援を受けられていないという声も届いており、厳しく判断しました。
・福祉事業者の利用者に対する不適切な対応がだんだん整理されてきています。そのなかで、重大な案件が指摘されているなかで、市の監督権限の有無を楯に一方では利用者を守ろうとせず、一方では福祉の運営者を締め上げる観点だけで対応しようとしていることの限界を感じたやりとりでした。このまちでは、弱者が苦情申し立てすること自体が円滑でないこととされタブーになると改めて思ったものです。
・保育無償化は、その美名とは逆に、元々無償・低負担だった人にリターンがなく、高所得者がトクをする制度設計となっています。市としてそれを緩和する仕組みは作りましたが、わざわざ消費税を増税して優先して取り組まれるべき問題だったのか、子育て支援という言葉のもつ政策的な意味も含めて考えさせられるものでした。
・福祉の計画策定では、アンケート調査ばかりでなくヒアリングや座談など多様な仕組みを組み合わせて、市民の実感している問題をリソースにしていることは評価しました。ただ、介護保険事業計画以外の計画策定しても画餅になっていることが課題です。
・利用者からの相談で、2019年度中に市内の最も弱い子どもの施設で、あってはならないトラブルが起き、職員の確保ができなくなっていること、法人役員の入れ替えで研究者がいなくなり客観性を担保する機能が弱くなっていること、市の独自制度で運用してきたことで目をつぶってきた問題があることを指摘しました。
その他いろいろ指摘させてもらいましたが、その結果、
・一般会計決算と国民健康保険決算では反対(否認すべきもの)
・介護保険決算、後期高齢医療決算では賛成(認定すべきもの)
という採決をしました。どちらも賛成多数で認定されています。
●市民からの請願も2本審査しました。
1本目は、後期高齢者医療の利用料の負担割合を増やそうと国が計画していることに、反対を表明してほしいという内容で、これはその通りだと思い賛成しました。相手が病気やけがで、利用料を増やして利用を控えるなんてことはないわけで、むしろ財源不足は保険料または税で手当するべきだろうと申し上げました。
2本目は、国民健康保険税の値上げに反対という内容でした。値上げは不可避とは考えますが、値上げすると経済的弱者を直撃することと、その目的が市からの持ち出し財源を減らす話です。そうしてできた余裕財源がまた再配分に使われているならよいのですが、実際には市役所周辺のハード環境の整備ばっかりに使われている現実があり、請願に賛成する方にアクセルを踏みました。
国民健康保険が赤字と言われますが、その背景には、健康優良な人から組合健保、共済短期(公務員と教員)、協会けんぽの順に囲い込んでいます。自営業も近年は法人化していて、そのことから協会けんぽに加入しているケースが多くあります。そのなかで、健康に問題があって退職に追い込まれたような人はみんな国民健康保険加入者になってきます。数字でも現役世代は、仕事ができなくなるような疾病が並んでいます。そこに保険財源の再配分がなければ、社会的弱者ほど高い保険料を払う制度が残ります。現在の制度ではその調整は市町村がやるしかないように思うところです。
●私が民生常任委員会にいない2年の間に、重たい議案がなくても3日がかりの審査になることが当たり前になっていました。係長・主査クラスまで答弁要員を拘束するので、同じ職員がバラバラと呼び出されることのないよう、審議の順序など考えなくてはならないと思います。
聴く方も答える方も、話に不必要なディーティルが多いこと、聴かれたことに対して答弁側が苦手意識が働くのか、ずれた答弁をしてしまうことで時間が取られている感じです。決算書に添付する「主要な施策の成果に関する報告書」が他市の4分の1以下の分量で、十分な資料提供がないことから、数字の経年変化のような質疑に時間がかかっているように思います。
もちろん仕切る側の議会の側の努力も求められると思います。
●予算・決算で本会議から委員会に分割付託になった場合、委員会審議はともかく、分割したそれぞれの委員会で採決を行うのは問題ではないかと思います。朝霞市議会の場合、これまで、どの委員会も与党会派が過半数を占めていて、委員会採決と本会議採決の矛盾が起きていないので問題になりませんでしたが、もし1つの委員会が反対が上回り、その他の委員会が賛成となった場合、混乱するものではないかと思います。
まぁ、いろんな手立てを使って、そういう危機は回避するみたいですが。
●昨日の審議結果です。質疑応答のやりとりは省略し、後日掲載できたらします。
なお議事録は11月中旬頃に公表されると思います。
【決算関係】
1.2019年度一般会計決算の福祉部・こども健康部関係
委員会採決=可決
賛成:須田、宮林、佐久間
反対:黒川、石川
〈反対理由〉
・保育無償化の1年目。救済策は手当されたとはいえ逆に実費徴収が増え、救済策がなければ逆進性のある制度になったこと、保育現場での徴収事務が増えたこと。
・総合福祉相談に関して、答弁があいまいで責任もって引き受ける確証が得られなかったこと。
・福祉事業者の利用者虐待に関して、権限の話ばかりをして、市民である利用者を守る観点の答弁がなかったこと。利用者の人権を守るための苦情解決に関する体制がいまだ弱いこと。
2.2019年度国民健康保険特別会計決算
委員会採決=可決
賛成:須田、宮林、佐久間
反対:黒川、石川
〈反対理由〉
・主にはこの中途半端な広域化の1年目として、反対。
・県や国保連合会に対する市として言うべきことを言う立場に関する認識が弱い。
3.2019年度介護保険特別会計決算
委員会採決=可決
賛成:黒川,須田,宮林,佐久間
反対:石川
〈賛成理由〉
・計画に対して順当にサービスの整備は進んでいる。そのことを証明する資料の提出が行われている。
・朝霞市の介護の弱点に関して正確に認識し、議会にも公表するようになった。
・介護保険制度が期待している市民がつくる介護サービスという観点が弱く、地域的な介護予防活動や啓発活動への給付、軽度者への生活支援を行う総合事業の育成が問題として残っている。
4 .2019年度後期高齢者医療特別会計決算
委員会採決=可決
賛成:黒川,須田,宮林,佐久間
反対:石川
〈議場で賛成理由の討論はせず〉
・賛成理由として、疾病罹患による医療の利用が格段に変わってくる75歳以上の医療を取り出し、手厚く公費や他保険からの財源投入をしている制度として安定的に運用されていること、1人当たりの医療費は微増しているが、激増している問題はないことから、ことさら反対して問題化する内容はないと考えました。
【補正予算】
1.2020年度一般会計補正予算(第4号)福祉部とこども健康部関係
委員会採決=全会一致
〈討論はなし〉主には、国の補助金にもとづく、障害者施設、保育施設設などへの新型コロナウイルス対策の物品購入であり、質疑応答のなかで喚起すべき注意点は議論されていることから討論はしませんでした。
2.2020年度国民健康保険特別会計補正予算(第2号)
委員会採決=全会一致
〈討論はなし〉討論しなかったのは、大半が前年度の剰余金と県からの交付金追加を収入に組み込み、新型コロナウイルスによる減収対象者の対応のための支出を追加する内容に留まったことから。質疑応答で、減収対象者への保険料の減免が認知されていないやりとりが行われ、減収対象者をキャッチする福祉相談課、産業振興課に制度利用を促すことに協力を仰ぐことが確認されています。
3.2020年度介護保険特別会計補正予算
委員会採決=全会一致
〈討論はなし〉討論しなかったのは、大半が前年度の剰余金を今年度の予算に組み込むだけの処理であることから。新型コロナウイルス対策で地域包括支援センターにタブレット端末を配りオンラインコミュニケーションのための事業を始めるということがあったが金額も僅少であり質疑応答のなかで、完成形を模索して半年も試行するのではなく、先取的に取り組まないとムダになる、と申し上げています。
4.2020年度後期高齢者医療特別会計補正予算
委員会採決=全会一致
〈討論はなし〉討論しなかったのは、前年度の剰余金を今年度の予算に組み込むだけの処理であることから。
| 固定リンク
コメント