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2020.07.29

7/28 首長が一方的に地方議会を解散する珍事

長くブログを放置してしまいました。ご容赦ください。

千代田区の区長が、未公開株事件のような事件の疑惑に立っています。マンション開発業者から、必ず値上がりするマンションを抽選によらず分譲してもらい、購入したという疑惑で、千代田区議会で調査委員会が起ち上がり、そこで偽証をして刑事告発が議決しています。

苛立つ区長は、昨日、議会を解散するという「通知」を出し、解散したと息巻いています。地方自治法では、自治体議会は、首長の一方的な判断で解散できる余地はなく、議会による不信任決議が可決されて対抗するための解散しかできません。
今後、事務的には、解散するという「通知」を受け取った千代田区選挙管理委員会が、区議会が解散されたと形式的にみなし選挙をするのか、法的要件を備えない通知として無効と判断して区議会議員選挙をしないのか判断することになると思います。
仮に解散「通知」を有効として区議選が行ってしまった場合、失職した議員たちから、逸失した報酬や選挙費用などが間違った行政事務による損害として賠償請求が行われると、一義的に千代田区が賠償請求訴訟の被告になり、続いてそれが確定したら求償権で区長が区に損害賠償することになるのでしょう。

近代の民主主義は、行政の長(知事や市長)を公選制で選ぶことだけでは民主主義とは言いません。民主主義の要件は自由選挙で選ばれた賛否の自由のある議会の存在です。議会のない国は独裁国家とみなされますし、議員の選び方、選ばれた議員の振るまい方で独裁度が測られます。
また、国会は国権の最高機関とみなされていますし、法人としての自治体の長は知事や市長ですが、市民の代表機関というと自治体の議会になります。

そういう背景のなかで、行政府の長というのは運営権(法的には執行権)だけ任されていて、最終決定は議会ということになるつくりになっています。ところが日本では、衆議院の解散が首相の意思だけで頻繁に行われていて、マスコミを支配する政治部記者たちも、そのことに根源的な疑問も持たずに解散がいつ行われるかだけを焦点に政治報道が行われるので、行政の長が議会なんて解散して当たり前だろう、議会は行政の長の従属物なんだ、という考え方で政治を見ている人が少なからずいます。憲法第69条では衆議院も対抗措置で解散権が担保されていると考えるべきであり、日本国憲法の首相の解散権は、天皇の政治判断を内閣がそそのかしてやらせているには政治利用か、非常大権としか思えません。現行憲法の最初の解散は与野党の話し合いで不信任決議を通して解散していますし、2回目の解散は、憲法訴訟になっていますが、帝国憲法の常識で育った裁判官によって、判断回避のような現状追認判決が行われて、以後、首相の任意解散が常態化し、野党も野党の政局が有利なときに解散に追い込むことが政局となりました。
結果として、与野党でお互いスキャンダルでつぶし合う国会になっているわけです。首相の任意解散権がこらえ性のない政局、政争、ひいては政党の内部運営が続いているんだろうと思うばかりです。財政悪化、もう少しは主体的な対米関係、社会保障制度などで長期的な判断ができない政治になっていると思います。

一般的な議会と解散権に関する誤解、行政職員から区長になって長期政権を敷いていること、都庁との政治的癒着など、この千代田区長が勘違いさせる要素がいっぱいあるなかでこのような間違った判断が行われているように思います。

●私もかつて千代田区に勤務していたので思うのですが、昼間人口85万、定住人口7万の差、78万人が勤務していて、その方々の生産活動の成果のうち、賃金や福利厚生で返されない分は、事実上法人都民税を通して都に吸い取られているんだよなぁ、と。

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