11/19 任期満了まであと1ヵ月、2期目にくろかわは何をしてきたのか
2期目4年間の任期満了12月17日まであと1ヵ月となりました。
ほぼ市内全域に、この4年間の取り組みを簡単にまとめた報告をお配りしてきました。私が取り組んで成果を挙げたこと、挙げられなかったことを整理しました。黄色い題字で目立つ報告です。気持ちが向いたら読んでいただけたらありがたいです。
議員として当たり前のことなのですが、賛成するべきもの、反対するべきものをきちんと考えて、賛否を投じてきました。市(行政)の提案するものにすべて賛成しない議員には「野党」と位置づけられ、政策要望に関しては劣後に置かれたり・放置されたりすることが少なくありませんでした。そうした政治主義の強い自治体のなかで、じりじりと取り組んだものがいくつかあります。
できていないことが多くて申し訳ない思いは強いですが、要求実現至上主義におちいると、行政の提案した政策に問題があったときに、対案を提起したり、ダメ出しができなくなってしまいます。
議員にとって一番責任のある機能は賛否を示すということであり、それを「議会と行政はクルマの両輪」論で、議会は行政に協力的するべき、と放棄してしまったら、行政の仕事は自分たちの見えている世界、自分たちが強く印象づけられた問題しか想像しなくなります。
※議会と行政は、両輪ではなく、アクセルとブレーキみたいなものです。どちらもアクセルになりうるし、そのときは違う他方がブレーキになるものです。制御というのはこの2つがうまく機能することが大事です。
いいわけめいたことばかりですが、そうした環境でもラジカルな問題提起はしましたし、一度は却下を喰らった政策でも、後々事情がせっぱつまって採用していただいたものもあります。
そのなかで一番大きなものは、老朽化が進みつつあるごみ焼却施設の建て直しです。和光市と共同で進める話を5年前に一度、破談になりました。コストの面から建設時期の問題を提起したりしながら見直しの時期を探り続け、設計まで進んでいたところで、財政的な事情から再び和光市との共同での立て直しに話が戻りました。少なくとも40億円も余計にお金を使う話が消えて、市民サービスの切り下げに影響させずに済んでほっとしています。
バス事業者、警察、自治体、地域住民などが一つのテーブルで常設で公共交通のあるべき姿を検討して、具体的な見直しに結びつけていく「地域公共交通協議会」の設置にこぎつけたことも、成果です。どこのバス路線が急に便利になる、ということはありませんが、個別にバス事業者と自治体が協議して、条件闘争で話が不調に終わるということではなく、継続してお互いにうまくいかない課題を持ち寄ってそれぞれで努力する仕組みができあがりました。当然、バスを誘致したり増便を求める住民の側も、もっとバスに乗るという運動を展開することが必要になります。
抽象的だけども、市役所の仕組みを変える提案に関しては、政策が実現できたものが少なくありませんでした。
以下、できたことできなかったことを羅列しながら、ご案内したいと思います。紙の報告では面積の制約で伝えられなかったことも含めてご報告します。
2015年12月~2019年9月の16 回の定例市議会での質問、質疑、発言の機会を通じて、くろかわしげるが取り組んだ内容
(取り組んだが実現に至らなかったこと● 成果をあげたこと〇)
市民の安心に取り組みました
〇保育所定員増(2015 年2612人→ 2019 年3648人)や幼稚園の預かり保育の拡大で待機児童対策を進め、仕事・社会活動をする保護者の背中を押しました。
元の待機児童問題の当事者として取り組み続けたことです。一方で70園近い保育所の数のなかから、どのように選んだらよいか困惑している保護者もおられます。情報提供や、エリア別の需給調整などが今後の課題です。
〇朝霞市で、高齢化のピーク2040 年を乗り越えられる介護保険制度の改革を促し続けました。
団塊の世代に必要な介護というイメージで政策を推進すると、高齢者人口のピークに必要な準備を見誤るので、2040年がピークと言い続け、高齢化の対応を後回しにしないように注意喚起をしました。そのことで今いる高齢者の課題を、若い市民にもわがことと考えてもらうようにしました。第7次介護保険事業計画から、2040年がピークでその準備をしないと大変なことになる趣旨が明記されました。
将来に向けては、市民活動から介護事業に転身していくようなモデルを作っていかないと、2040年は乗り切れないということを訴え続けました。これは高齢者福祉だけではなく、市民活動支援などの仕事の改革が求められることです。
●保育・介護・福祉の利用者保護、苦情解決機関の設置に取り組みました。
保育や介護の民間事業者が増大しており、市職員が十分な実地監督することが難しくなっています。利用者や従業員からの福祉サービスの内容、運営の問題などを早期に専門家に相談でき、必要であれば専門家集団が事業者に改善提案や改善勧告ができて、トラブルが深刻化して施設や事業を閉鎖するようなことを回避させるための、苦情解決機関を自治体として持つ必要を繰り返し訴えてきました。
●市道1 号線「二本松通」の歩道整備を促し、歩行者の安全確保に取り組みました。
三原、溝沼火の見下周辺、本町2丁目など、通学路としても、自動車交通としても集中している市道1号線の歩行環境を改善するために問題提起を続けてきました。1号線全体の歩道整備の状況の地図も議場で配布しながら訴え続けたものです。道路として整備する計画がなく、地権者の善意、自発的な申し出で歩道が整備されてきたのが現状で、その状況は変わっていません。
ただし2018年度から道路計画が作られ、1号線他こうした幹線道路的ニーズのある道路は歩道整備が必要として、具体的な対応策を検討する、というところまで明記されました。具体策を進める必要があります。
〇鉄道・バス・タクシーの運営を自治体・地域住民と話し合う「地域公共交通協議会」の設置を実現させました。
この協議会が設置されるまで、民間企業が担う公共交通の整備をどこで議論したらよいかわからない状態でした。公共交通の改善を単発で申し入れる限界を超えていくために、住民自身も公共交通に利用をシフトする動機付けを作っていくために、定期的な協議の場を設けました。4年前の選挙で公約したことです。
これからは、朝霞台駅の改築とバリアフリー化、わくわく号の見直しでの調整不調だった残課題の解決、地域公共交通圏構想の策定を行っていくことになっています。
〇危険な状態のブロック塀の除去の補助金創設、除去の推進に取り組みました。
大阪北部地震を受け、市内15校のブロック塀の設置状況を現地確認して回り、第六小学校のブロック塀が危険な状態であることを確認させて改築に至っています。そのほか、民間住宅のブロック塀についても緊急で補助金を始めるように促しました。野党議員がやった方がよいと言ったことが庁内判断のスピードに繋がっています。また都市建設部を中心に市職員が積極的に危険な状態のブロック塀の所有者にブロック塀の撤去を働きかけて、他市を上回る撤去が進められました。
一方で、ブロック塀の除去だけに補助金を出しても、高齢者世帯では除去の判断がしにくいことから、フェンスへの再建費用の補助を作るように市の提案に対する修正案を議会に提出しましたが、こちらは与党議員17人に阻まれ、実現できませんでした。
朝霞市の魅力を高めました
〇部活動の量的規制を促し、生徒と教員の負担を下げ、学業や地域活動に使える時間をつくりました。
当選以来、中学生の保護者の少なくない方々から、公立中学校が部活漬けになっている状況に苦情を言われていた課題でした。3年前から夏休みの活動で、熱中症対策に科学的な知見を活用することを訴えたところ翌年から取り入れられました。また、毎年の夏休みの部活動の活動日などを全校調査して、適度な休日の確保などを求め続けてきました。
2018年度から文部科学省が部活動の活動日数の規制を始め、これまでの取り組みに呼応して、週2日・土日のいずれかは部活動がない日を公式に設けることになり、私のこれまでの過剰な部活動に対する問題提起もあわせて、市教育委員会全体の取り組みとなっていきました。
現在も、過酷な部活動は、試合時期の関係で残っていますが、大半の部活動はこの規制を守るようになり、各公立中学校の各部活の実情を確認して選択すれば、部活動漬けと言われる状況は回避できるところまで到達しています。
懸念された非行へのシフトは、起きなかったという報告を受けています。
中学生の勉強時間や、友人と思い出を残す時間、さらには一中校区で始まっている認知症の方々への関わりはじめ、地域でのボランティア活動などにも時間が確保できることが大事です。
大事なことは、教員のみなさんが授業・部活動で日中時間すべてを使い切ってしまい、体力・気力を消耗した状態で授業準備をするようなことがないようにすることです。
〇朝霞の森の活用が広がり、特色ある公園・広場行政の知名度を高めました。
朝霞の森、基地跡地の市民利用を促し、自然保護だけではなく、自由なことができる場として、様々な多面的な活用を促し、奨励してきました。その結果、眞子様がご臨席する場で都市景観賞を受賞する評価を受けています。他都市の自治体議員にも、空間の使い方として、様々な視察を勧誘してきました。これからも大事な空間して、積極的な利用を促す政策、働きかけに取り組みます。
● 2012 年ダイヤ改正で減便された東上線の普通電車・準急電車の本数の復元に取り組みました。
東上線のダイヤの改善を、朝霞市から東上線改善対策協議会に訴えさせ続けました。とくに、和光市→朝霞間の夕方・夜間の過酷な混雑に関しては何度も問題提起をして、対応を迫ってきました。2016年のダイヤ改正で、普通電車と入れ替えるかたちではあっても、日中の準急電車を2本→4本に復元させることができ、上りでは9時台、下りでは夕方や夜間に15分近く朝霞駅に停車する電車がない時間を解消する改正が行われています。
まだまだ混雑解消にいたっていませんが、この混雑が沿線のイメージダウンになるので、引き続き解消に取り組んでいきます。
●学校図書館職員の研修の実施、有資格化、市立図書館や授業との連携を働きかけ続けました。
工業中心の社会では、集団で統一して同じことができる能力が子どもたちに求められ、戦後はそのための教育が続けられてきましたが、現在の社会で働いていくためには、問題発見と提案をしていく能力やスキルを身に付けることが必要とされています。そのなかで、学校現場でもアクティブラーニングが導入され、調べて報告する、ということが重要な教育テーマとして浮上しています。
そのために学校と図書館の相互の連携強化と、学校図書館支援員の司書的スキルの強化、研修の実施、待遇改善なとが必要と訴えてまいりましたが、制度や仕組みとしての実現に至っていません。
ベッドタウン住民の視点で
〇母子手帳交付時に、専門職が全員に相談できる体制を作り、産後の生活の不安解消や、困難な課題を抱えている人への早期対応が始まりました。
妊娠した方は様々な悩みや心配を抱えているのに、それを把握する母子手帳交付が住民票の窓口で申請とともに渡すということだけだった状態から、交付の窓口を不便であっても保健センターに集約して、保健師など専門職の相談を受けられ、必要とあれば解決の支援を受けられる仕組みがスタートしました。妊娠期に孤立して不安におびえる状況は一歩改善されました。まだこれからも整備が必要な事業です。また妊娠して産む決意ができない方々への相談体制の整備も課題です。
●実家の支援を受けられない家庭で産後生活を支えるホームヘルパーの制度化を提言し続けました。
お産のあと、核家族で実家の支援を受けられないようなご家庭が朝霞にはたくさんいます。本来は母体を休ませる必要がある時期に、これまでにない家事をこなさなくてはならない産婦がたくさんいます。ホームヘルパーを制度化して、産後の約1ヵ月を乗り切れる体制をつくることを提言し続けていますが、高額なサービスを自由契約に任せて、まだ実現できていません。
〇住宅政策の担当係を設置し、住宅の維持・管理への支援、管理組合の力づけへの検討が始まりました。
ベッドタウンで住宅が良質に維持できなけば街が終わるという認識のもと提言を続け、市として住宅政策係の設置にこぎつけました。当面は空き家問題や管理組合の支援などが中心ですが、ようやく建築段階ではない、現存する住宅問題の窓口が設置できました。
持続可能なまちとなるために
〇和光市とのごみ焼却炉の広域化が合意に至り、15 年間で40 億円の無駄な出費を省きました。建設コストが高騰するオリンピックの準備期の改築を回避しました。
2014年にご破談になった話を、もう一度生き返らせました。当時、頑なな市長に、あなたなら賢明な判断ができるはず、と考慮を求め、単独での改築にブレーキをかけたり、財政的な問題提起をするなか、ようやく復活しました。無駄な市民負担をさせずにほっとしています。
〇羽田新着陸ルートのルートと飛行高度の変更を働きかけて、騒音等の負担を軽減させました。
当初構想が浮上したときに、羽田空港のA滑走路に定規を当てて、朝霞市を直撃することを確認して、対策に乗り出しました。完全に航路をなくすことはできませんでしたが、晴天時には高度を1000フィート高く、また航路をやや東に移す判断をしてもらったことで、負担の軽減を実現できたと思います。
ここでひとまず着地点ですが、羽田空港にあらゆる航路を送り込む政策の見直し、新幹線との役割分担、大きな視点では出張や単身赴任のやりすぎる日本の大手企業の働かせ方の改革などを通じて、羽田空港の負担軽減と、陸上ルートの廃止をこれからも求めていきます。
〇黒字倒産体質の財政を改善し、補正予算使い切り型の財政を改め、資金ショートの危険を回避させました。
500億円の総予算の規模にもかかわらず、年度末の運転資金が4.5億円までなくなった2014年。それ以来、毎年3月下旬に可決する「年度末補正」で翌年度にやるはずの事業を盛り込んだり補助金を事前約束して使い切る「年度末補正」予算を問題視して最小限のものにし、9月の決算認定後に出る剰余金の半分を法律どおり積立させることで、ようやく最低限の運転資金を確保できる状況に至りました。
私は社会民主主義者で大きな政府論ですが、歳入が固定されている自治体においては、まずは財政の自律が重要と、考え方を曲げて、財政には厳しく臨みました。財政が立ちゆかなくなって、泣くのは行政のサービスを利用している困っている人たちです。
●地域小電力の活用や、市域全体のCO2 排出量の把握をしてマネジメントすることを提案しました。
2011年に議員になった者として、電力をよそから調達している状況に危機感を持ち続けて提案してきたことです。また、CO2排出量抑制はソーラーパネルの推進など個別政策も大事ですが、市民や民間企業も含めた市全体でのCO2排出量を把握して、その総量を抑える運動を展開する必要があることを訴えましたが、技術的に未確立で現在も進んでいません。
●脱原発を進める請願・意見書採択に取り組みました。
水を湧かして電力を取り出すために放射能漏れの危険性がある原発を動かす必要があるのか、出し続ける放射性廃棄物の最終処理が技術的に未確立で僻地に押しつけるしかないことへの問題意識で、脱原発の推進に関する様々な請願や意見書の採択に取り組みました。国政課題の請願にどうかと思うところはたくさんありますが、原子力発電所の災害に関しては立地自治体ではなくても当事者と考え、積極的に取り組みました。そのなかで東海第二原発の再稼働反対は、老朽原発を問題視する公明党さんも賛成し、意見書提出に至っています。
●市の保有する施設・設備の補修・更新の計画化を推進しました。
散発的に上がってくる老朽化した市の施設や設備の更新や修理に、予算編成が振り回されているのが現状です。市としても公共施設や設備の更新の計画化に着手していますが、上下水道以外はまだまだ具体論がなく、修繕がされずにさらに老朽化が進む施設が増え続けています。市職員のなかには、修繕するより壊して作り直せ、と言う方もいますが、修繕して使い続けた方が断然ローコストです。地域事情や利用者の都合で使われなくなってきている施設などを除き、基本的には既存の施設の修繕に力を入れるべきです。
一方、借り上げ型の公共施設も朝霞市は少なくありません。ここは土地購入のような鑑定士が入ることもなく、建物を建てるときのように建築が入ることもなく、客観性がわからない世界です。この賃料や維持関連費用に関するコスト監視を怠ることはしませんでした。
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