5/28 下水道を守るためのマネジメントの提案が行われます
28日、市の下水道審議会を傍聴してきました。下水道事業そのものの変化はありませんが、マネジメントの強化で重要な提案がありました。議題は4点。
①下水道料金の消費税改定の対応
②下水道事業を現金収支の会計から「地方公営企業法適用の移行」
③浸水対策のための「雨水総合管理計画」
④下水道の老朽化対策のための「下水道ストックマネジメント」
下水道政策の透明化の基本的なツールが整備されます。
②と④は、下水道事業の固定資産の維持コストを明確化するために企業会計に移行するための仕組みです。
現在、下水道事業は現金収支の会計でやっています。現金支出がともなわない減価償却は計上されておらず、老朽化対策が料金内でおさまるのかどうかわからない状態が続いています。今の朝霞市のように市街化区域の下水道整備がほぼ終わりつつあると、老朽化した施設の交換した年だけ予算が膨れて、更新コストの負担のある年だけ下水道事業が資金繰りに苦労することになります。
こうした課題を抱えているなか、下水道事業にも企業会計に移行し、毎年の費用に減価償却費を計上して、下水道の更新コストが毎年の料金収入とバランスが取れているか確認できる体制づくりをしようとする内容です。
あわせて国も同様の問題意識を抱えて、2020年から実施せよと求めているものです。
その結果、減価償却コストが高めになると料金値上げも考えられますが、料金値上げを前提としたものではない、ということが審議会で示されています。
②では、現在の下水道施設の財務諸表上の評価を現在調査している段階です。公営企業法の移行の条例改正は2019年9月市議会で提案されます。
④では、老朽化の度合いの調査を2019年度に行います。
問題になっている上下水道の民営化との関係ですが、確かにこれで民営化するときの前提となる情報は整備されますが、それ以前の固定資産を商売道具にする事業としての前提を整備するというのが朝霞市においての主目的で、民営化の構想はないということです。
③は、溝沼2地域、膝折1地域、三原1地域、朝志ヶ丘1地域の床上浸水発生の対策を計画化したものです。近日、パブリックコメント(市民への意見募集)が行われます。内容には、すでに緊急的に行われた対策が含まれています。また、三原と朝志ヶ丘に対しては、近隣市との協議が整い次第、追加的に修正が行われることも公表されています。
コスト概算の提示、利活用をめざす補助制度のメニューなどがなかったのが課題かなと思いました。
①は、下水道料金が水道料金とあわせて料金事業として消費税改定分の上乗せが行われ、2019年6月市議会で提案されます。万一消費税改定が延期されたら、9月市議会で改定しない内容の条例改正が再提案されます。
閉会後に職員に追加的に質問したところ、企業会計に移行した後、料金事業の汚水処理(糞尿と生活雑排水)と、治水対策で料金事業ではない雨水処理とはセグメント(部門)わけして管理することも確認しています。
●問題は③の財政負担と、②と④にともなう料金負担の変化です。先立つものがなければ絵に描いたもちです。
③に関しては、コストを明示して、2021年~の総合計画にきちんと織り込んで、計画通りの予算確保を可能とすることが課題だと思います。また、床上浸水が1~5軒程度で固定化されている場合、費用のかかる排水対策にお金を使うよりも、市がその住宅を買い上げ、都市計画で建築不可の地域に指定して転居を促すことも考えるべきではないかと思っています。
②④に関しては、老朽化の度合いが明確になったところで必要コストが明確になると思います。幸い朝霞市は人口密度の高さに助けられていて、下水道に関して急激な料金値上げはしなくても済むような感触をもっていますが、他市の下水道老朽化の点検結果の話を聴く機会があり、予断は許されないと思いました。
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