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2018.11.07

11/4 都市災害に議会はどうあるべきか~大阪北部地震に学ぶ

20181104osakahokubu_gikai4日、京都龍谷大学で開かれた政策議会研究会主催の「大阪北部地震の経験から議員・議会の対応を考える」という学習会に参加してまいりました。

非常時に自治体議員がどう振る舞えばよいのか、逆に自治体議員が自分の周囲のことをごり押しして災害罹災者を発生させたり復旧を遅らせたりしないためにはどうしたらよいのか、非常時における補正予算審議のもつ意味、役所から議員に対する情報伝達、災害に強い財務体質の重要性などが議論されました。

私は、9月定例市議会の一般質問で、郊外住宅地の災害として大阪北部地震を取り上げるにあたって、8月20日に懇意にしている高槻、茨木市の市議を訪問して、避難所運営、ボランティアセンター、自主防災組織のあり方、専決処分、ブロック塀の倒壊などの課題をヒアリングしに行ってまいりました。その際に、この学習会を企画しているのでと誘われたものです。

パネリストは、被災地から、高槻市議会の野々上市議、茨木市議会の小林市議、議会災害対策のルールづくりで最も早かった大津市議会から谷市議、甲賀市議会から林田議長でした。

災害時の地域要望の対応
茨木市、高槻市の両市とも、議会事務局に情報集約して災害対策本部、担当課等に伝達する仕組みで運用したことが報告されていました。茨木の小林市議からは避難所に関する情報は、避難所にいる担当職員から災害対策本部に伝えるよう住民に促したことも言い添えられました。
高槻市では、国政政党の幹部が相次いで入ったため、その対応に、市の幹部の時間が取られたところもあるとの報告もありました。
災害の急性期、回復の初期に、議員が優先順位を混乱させて犠牲者が出たり、災害復旧が遅れたりすることを防ぐためには重要なことだと思いつつ、一方で、日常の議会運営が、強引な運営を感じさせることがあると、議会事務局を通じた情報伝達が公正に扱われているのか、いらぬ疑義が生じ、こうした仕組みは機能せず、各々の議員が行政に圧力をかけまくる状況になると思いました。
※同様のルールは、朝霞市でも、2015年8月に「朝霞市議会災害発生時対応指針」として全会一致で運用ルールが決められていますが、機能するかどうかは今一度、全議員での再確認が必要な感じがしています。

議員への情報提供
市民と接する議員にとって、災害時の市役所がどのような状況になって何ができるのかということをつかんでおくことは重要で、茨木市、高槻市ともメールやFAXによる議員への情報提供は、議会事務局を通じて行われたことが報告されています。
とくに茨木市では、市民の様々な災害対応窓口の案内、Q&Aや新規の対応など整理して伝達することを災害直後から始められ、その指揮には議長が率先して行ったことも報告されていました。

非常大権「専決処分」の扱い
茨木市、高槻市とも災害対策の予算を、緊急性を理由に、議会を通さず決定できる「専決処分」で通しています。国にはないような制度で、本来、住民の代表として認めていくプロセスが必要だったのではないか、という議論が起きました。臨時議会の招集のあり方、通年議会の模索なども検討課題とあわせながら、司会者からは今後の検討課題として残されている整理がされました。

議長のあり方
議長のあり方についても議論になりました。
災害時には、議会事務局が議員と行政との情報のターミナルとなることから、議会事務局に対する信頼と、その背景にある議会事務局の上司である議長の役割が大きく、住民代表組織としての議長としての責任感が重要であることはパネリストの共通意見でした。議員にとって不自由な議会事務局を通じての情報伝達する仕組みに統合するためには、議長の日常の信頼獲得が重要という指摘もありました。
茨木市では、議長が毎日、議会事務局に顔を出し、日々の情報整理、議会事務局の運営について調整が行われていました。

日常の財政運営
都市部の災害にあたっては、災害対策費用を国が支援する「特別地方交付税」が出るまで時間がかかることから、立替金や市独自の対策費用として、一定程度の基金が必要という認識も共通でした。
幸い、茨木市も高槻市も高水準で基金を残しており、このことが躊躇なく災害対策に予算を使えたということです。
※朝霞市も、一次は現金基金が市の財政規模の1%しかない状態でしたが、ようやく市の財政規模の5%を超え、最低水準の行政サービスに必要な財政規模の10%を超えるようになりました。

議員の振るまい方
一番の課題は議員の振るまい方で、回復の後半や慢性期(浸水に例えると浸水の水が引いて生活再建や次の災害予防を考えるとき)は、復旧のために様々な条例や予算を通していくことや一般質問を通じての課題提起をしていくことが、議員の本分としてやることだと思います。
問題は、災害の進行急性期や、回復期の初期の動きです。この時点では役所も混乱状態で、緊急対応が必要な課題がいっぱいあるなかで、地域の課題を拾ってきた議員がどう動くかということが問われます。議員を経由した要望に関しては議会事務局を通じてとなりますが、一方で住民自身の動きもどうするか説明したり、情報伝達の仕組みを組み立てたりする役割があることを、地区の避難所運営に直接関わった茨木市議の小林さんの説明を聞いて感じたところです。
また、高槻の野々上市議からは、情報翻訳者の役割も大きいという報告もされました。
急性期には、避難所運営の支援など、市議としてではなく現場にいて支援業務をやりながら事態の観察者として振る舞い、気づきを議会事務局に伝達していく、そんな役割が基本かな、と認識してまいりました。

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