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2018.11.30

11/29 国民健康保険の制度改革のミステイクと県の問題

20181129kokuho写真は埼玉新聞の29日の記事です。
国民健康保険は今年から、雑な言い方をすると市町村営から県営の保険になりました。県が必要額から各市町村に集める金額を定め、市町村は加入者に対する国民健康保険税をそれぞれ定めて、足りなければ市町村の一般財源から、余れば国民健康保険特別会計にプールすることになります。

その県が市に払えという金額が今年も、1人当たりで上がる自治体がたくさんある、という記事です。国民健康保険が市町村から手が離れて、誰が運営しているんだかさっぱりわからない制度になっているなかで、観念的な数字だけが一人歩きするようになりました。また、住民の負担能力と、給付との間を調整しながら議会もからんでバランス取ってやってきた制度も、どこからかわからない天の声で負担が決まるようにだんだんなっていきます。
その結果、社会的に最も弱いところにいる人たちが、最も負担しなければならない変な医療保険制度になってしまいました。改革のミステイクです。

●市内にいろいろポスターが貼られるようになり県議会議員選挙にいろいろな人が手を挙げているらしいですが、県営になった国民健康保険をどうしたらよいのか、有効な対策を持たない人が手を挙げるべきではない、と思っています。市町村議員の国民健康保険運営をめぐる真剣な議論と同等のことが県議会で行われている感じがどうもしません。

●高齢化もあるし、医療の高度化もあるし、ということで仕方ない面もあります。問題は、県から市、市から加入者に課せる負担の間の調整を、「赤字」と表現して5年以内に好ましくないからなくせ、という国の方針を県も垂れ流しています。そして、この「赤字」解消に取り組まないと、補助金を減らす、つまり保険財政を悪化させてさらに「赤字」を拡大させるぞ、と県は市町村に脅かしているのです。市町村でのバッファーがだんだんなくなり、払えることに関して関心のない県が一方的に負担を加入者に直撃させる制度になります。
その結果、国民健康保険の保険料は5年以内に値上げすることが避けられない見込みです。

この差額の市町村負担には限度があるにしても、本当に「赤字」と言って切り捨ててよい、とは思えません。
協会けんぽ、健康保険組合、公務員共済に比べて、国民健康保険加入者は圧倒的に社会的弱者です。加入者の大半は65~74歳の退職者です。その他は、かつての主力の自営業と農家がほとんどなくなり、職場でリストラや病気退職に追い込まれた人、1ヵ所の職場で満足に収入が得られないダブルワークのシングルマザーなども国民健康保険に入らざるを得ません。

逆に、健保組合と抱き合わせの職場の方は、過酷な職場ほど病院に行けない元気な人しか残りません。乱暴な言い方をすれば、従業員の健康管理もせず病院に行けないほどこき使って、病気になったら迷惑だから出て行けとやっている会社が多い健保組合ほど財政状態が良くなるということになります。その裏返しのところを穴埋めしているのが、国民健康保険に対する自治体の財政補填です。住民1人あたり5000円もいかないような財政補填は、不幸にも健康で職場を追われた人や、離婚などで生活の糧を得るために必死な人への社会連帯ではないかと思ったりします。

この春、国民健康保険が県営になって、十分に周知もされていない計算式が機械的にあてはめられ、県からとってこい、と市町村にノルマを課せられるようになりました。それなのに給付に関して県は責任を負うことがなく、相変わらず、市町村を経由して支出させています。負担や給付を受ける側には市町村しか見えないのに、財政を牛耳っているのは県、その県は主体的な運営ができないという意味で、ひどい制度になったなぁ、と思うばかりです。

肝心の県議会議員も、その複雑な制度ゆえに、制度改革に批判はしている議員がいても、その新制度のもとで十分に県の主体的な態度を引き出す状態になっていないように思います。県議会議員選挙の一つの争点だと思います。自治体の財政の半分以上が医療・福祉関係となっている時代に、春には統一選もあるので、社会保障制度のことわからない、やろうとしない議員は失格だと思っています。

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