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2018.08.14

8/11 議員が自治体の監査委員になるのが行政監視に効果があるか

11日山梨学院大学で開かれた「内部統制・監査委員党の改革と住民自治」というシンポジウムに参加してまいりました。私が幹事をしている自治体学会議員研究ネットワークも共催です。
そのまま泊まって翌日、山梨県内を旅しようかと思っておりましたが、朝霞地区に集中豪雨のおそれあり、家の前の二本松通りが一時水没したというので、日帰りで戻りました。

シンポジウムの内容は、地方自治体が不正や不公正な業務をしないようにするための諸制度が整備される一方、地方自治法の改正で問い直されている、地方議員が市長の任命のもとに監査委員に就任することに対してどう考えるか、という2つの柱でした。

自治体は今、多重な不正防止システムを持っていますが、それで完成なのか。不正を見抜く力は会計的手法だけで十分なのか。人為的な意図をもった政治的な判断には対応できるのか。
その際、地方議員から選ばれた監査委員が嗅覚が働き政治構造を理解しているから機能するのか、むしろ市長の任命制のもとで事なかれ主義の対応を取るのか、課題になるのではないかと思っています。

私個人は、地方議員は監査委員を返上して、議会の決算審査を豊富化されていった方がよいと思っていますが、地方議員のなかではどうも少数派みたいです。
そんな私がシンポジウムを拝聴してきた内容です。

このシンポジウムは、
議員から選ぶ監査委員(略語で「議選監査委員」といいます)の是非論が中心でしたが、
大津市議会事務局の清水次長が、制度論としてこのような中途半端なものが成り立たない、必要論をいくら言っても議員にとってやらないよりやった方がいい、という話に正統性はないだろうとの指摘はやはり重たいと思いました。議選監査委員を返上しつつ、議会としての決算審査の充実に取り組んでいるという報告もありました。
私もだいたいこの論に賛成の立場です。

もう少し自治体の成り立ちを根源的に考えたときに、監査委員はだれのものか、という視点については考えさせられる話もありました。
民主主義の自治体ですから、監査委員も市民のものに違いないのですが、それを徹底させようとすればそもそも行政においていてよいのか。GAOになぞらえて、市民の代表機関としての議会の側に監査委員制度を置くということも考えてよいのではないか、という廣瀬克哉先生の指摘、監査委員も選挙で選ぶべきではないかという新川先生の指摘なども、よい指摘だったと思っています。ただ地方自治法の大手術が必要です。

今のままでの議選監査委員の存続論が議員のなかに根強いことと、総務省が地方議会解体の道筋のなかに監査委員制度の改革もあるのではないかという江藤俊昭先生の指摘のなかから、現状の監査委員制度の改革としての議論もされました。

議選監査委員が機能しているとして論を張る方々のなかには、監査委員を議員から選ぶにあたって、うまくやっている自治体の多く、選ばれる過程や仕組みが透明化されていて、市長と議会多数派の密室的な取引で決まっていないということが言えるかと思いました。端的に言うと市長の政敵でも選ばれる仕組みがあるのか、ということです。

所沢の桑畠議員からは、監査報告書の厚みをどれだけ作っていくか、議員から選ばれる監査委員が守秘義務という問題に立ち向かうためには大事だという指摘も重要だったと思います。会計だけではなく行政評価もできる立場に変わったことを注意すべきだとも指摘されています。
同様のことは、前由布市議の小林さんからも、監査委員の体験として報告され、良質な監査報告書は議会の決算審査の材料になるということも。
基調講演をされた林田先生は、日本の地方議会で少数派の役割が評価されておらず、監査のようなものは少数派や反対党みたいな人たちが本来やった方が機能する役割が考えられないか、というような提起もされていました。

ただ、それでも監査委員制度の本質は、行政訴訟を容易にさせないための「前置主義」機関であり、政策決定の合意形成した事実を大事にするために、むやみに天の声を出さないためにあえて事なかれ現状肯定的な結論を出しがちな役割におかれています。結果として行政を守る楯みたいなところが否めません。そこに議会が今のシステムのまま役に立つから、人が育つから、と入っていくべきなのか、やっぱり疑問に思っています。

参加者の東村山の伊藤議長からは、議会の決算審査の限界があるのではないか、という指摘もあり、議会が資料請求や定式化されていない決算審査をしている限り、監査委員になって事務局に定式的な監査事項の例示をされながら監査するよりわからないことは多いのかと思います。
各議員が、定式化されていない質疑や討論だけで無手勝流にやっている議会の決算審査の豊富化がさらに課題だなぁ、と宿題をいただいたように思います。

監査制度や内部統制をどう機能させるのか、議会はどのようにそのなかで役割を果たすべきなのか、ということは引き続き議論が必要でした。

自治体の決算での、現金会計における資金繰り管理、収支管理、財産保全状況、貸借対照表、損益計算書のチェック事項の整理、そうした基礎的な点検事項は、経理が得意な議員がたまたまいたらやるというのではなく、質疑に入る前の基本的な事項の調査として、行政に提供されるまでもなく、議会の側が調査としてやっておくべきなのだろうと思っています。
プロトタイプの情報提供しかない朝霞市も議会は、これらの判断に十分な資料を事前に提供されることはなく、私も、決算で事業単位の問題意識をぶつけるだけではなく、自治体経営としての資金繰りや財産保全状況などをかなりのウェイトで確認質疑や資料確認をしていますが、これをもう少しシステム化して共通の認識、誰が議員になってもやる仕組みにしないとまずいんだろうな、と宿題をいただいた気分です。
空気を読まずにお金の計算大好きな私など、監査委員に向いているとは思いますが、議員である以上、議会のなかで課題は突っついて、問題を他議員と共有しながら、会計監査的な役割と行政監視みたいな役割を高めていくことも任務だと改めて思っているところです。

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