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2018.03.04

3/2 2018年朝霞市の予算書を見て~7日9時から本会議で質疑を行います

前の記事で、朝霞市の2018年度予算が提案され、そのリンクをご案内いたしました。
あのようなものを羅列されても、どう読んでよいのか、というのが多くの方ではないかと思います。今回、私が予算書を見ていくつか感じたことをご案内いたします。
そしてここに記載したことを中心に、7日の市議会本会議(9:00~)と、9日の建設常任委員会で質疑を行う予定です。

●朝霞市の来年度予算の全体像を見たところの私の見立ては、
【市民サービス】経常的な支出は、ほとんどの事業で増えも減ってもない。つまり市民サービス変化はほとんどない。
【工事費の増加】昨年度に設計費・調査費として頭出しされた工事費が、実工事に入り、今年から桁違いの予算額になっている。そこに第八小学校が1.5倍の生徒増にともなう校舎増設が飛び込んで、重くのしかかる。そのなかで、ごみ焼却施設の先送り、市役所の耐震化工事の終了、ゆ~ぐうじょうや猪苗代湖少年自然の家の取り壊し工事の終了や、借金を追加することでなんとか帳尻合わせている。
【待機児童問題の対処】社会構造の変化と人口増にともなう待機児童が減らない状態で、保育園や放課後児童クラブの予算が引き続き5億円と急増。国や県などの補助金や保育料を差し引いた市の持ち出し負担を捻出することが課題であり限界に近づきつつある。
【介護保険制度の改正】介護保険や障害者福祉では、国の改革に連動した計画の更新があったが、微調整にとどまる。利用者増と入所施設を増やすことで介護保険料の値上げとなる。
【市の借金】借金の残高はこの10年順調に減らしてきたが、2017年度に引き続き、270億円台でほとんど減らない。楽観もできない状況に入りつつあり、黄色信号が灯るのは今後の施設の建設改築事業の追加次第。
【市の資金繰り】運転資金面では、2014年以降の使い切り体質を改善し続けて、年度はじめには安定水準に入るが、多額の支出に備えて何かを貯金できる水準にはないし、何かあれば資金繰りがいつ悪化してもおかしくない
という受け止めをしています。

●以下、市の公表している予算の特徴に記載のない詳細な疑問符のつく点や課題を挙げます。、

【総論】
・資金繰り面では、「財政調整基金」という自由目的の貯金で見るのが妥当です。その残高の適正値は、地方交付税の計算で標準の自治体の規模とされている「標準財政規模」の10%が健全として目標にしている自治体が多いことから参照すると、朝霞市では「財政調整基金」の残高が23~25億円が健全水準。今年度は、当初予算で22.3億から20億円に減少しているが、問題ないか。
また、目的別の貯金である各「基金」が相変わらず積まれず、長期的課題をどう考えているのか。

・借金の残高では、289億から286億に。ピーク時330億あった借金を毎年5~10億円減らし続けてきたが、ここ2年減らなくなっている。
2018年度は、28億円の返済額に対して、新たに25億円借り入れをする。ここ5年ぐらい新規借り入れの多くを占めていた国の代行でしている借金が減ったものの、一方で、市の事業のための借金が、16億の返済に対して、23億と急増している予算。建設事業や耐震化工事を一気に取り組んでいることが増加要因と見られる。朝霞市の過去の決算を振り返ると、借金の残高が200~220億円ぐらいだと返済額に圧迫されることなく余裕の予算編成ができているが、290億円を超えるとその後から借金の返済に財政が圧迫されている。290億円に近づいたままで、2017年度と同様に黄色信号が続く水準となっている。
ただこれは70~120億円と予測されるごみ焼却施設建設を先送りした決断の成果で、やがてやってくるこの事業による財政圧迫をどう切り抜けるか、他の事業と調整するかが課題。

・支出を圧迫している建設費。公共事業総合管理というマネジメントに基づき公共施設の耐震化や改修が行われるべき、という政策のもと朝霞市も計画を策定したが、工事費が一気に出てきていることから、そのマネジメントは意味をもっているのだろうか。

・市税収入は214.5億から219.6億と4.1億円、2.4%増の見積もり。人口増も所得増も2.4%に達しないことから、見積もり額の検証が必要。

・「子育て世代」を呼び込むことが自治体のブームになっていて、朝霞市は計画人口以上の流入があって成功しているが、学校や保育園などの予算が十分に取れないことをうかがわせる。

・経常的経費を減らさないことは評価できるものの、一方で増やしもしないので前例踏襲の事業が多く、市役所の企画力が低下しないかが課題ではないか。

【個別事業】
・職員数は増加、賃金は人事院勧告にあわせて増加する。そのなかで、非正規労働が社会問題となっているなか、正規職員より多い非常勤職員の待遇改善分は時間給10円の改善にとどまる。格差の縮小もなく、アベノミクスの目標値には達成しないが問題ないか。

・シティープロモーション、オリンピック・パラリンピック関連の、広告宣伝的な経費が増加。一方でそうした広告宣伝のコンテンツともいえる朝霞の特徴を示すような市民のさまざまな活動支援が予算面でも事業面でもあまり見られない。

・生活困窮家庭の子どもへの学習支援は、既存塾の通塾補助金は廃止、学習支援活動に一本化する。

・生活保護は国の改定どおりだが、新たに大学進学する子どもに対する一時金が自宅通学で10万円、別居通学で30万円加算される。

・障害児の保育に関して、放課後児童デイの予算急増が課題であるし、施設による問題運営も社会問題化しているなかその対応が課題。地方財政計画では保育施設での障害児受け入れに言及しており、既存保育事業での受け入れ体制とのバランスが課題になるのではないか。

・廃棄物行政の計画策定が始まるので、ごみ減量化とともに、一方で高齢化や住民の多国籍化への対応などが課題とする見込み。

・市税のクレジットカード納税が可能になるが、一方で初めて市税債権を業者に回収させるやり方が始まることでの弊害も考えられる。

・介護保険は、入所施設の誘致、24時間介護体制の強化という事業量の追加と、緩くやってくる高齢化のなかでの高齢者人口増を反映して、介護保険料が300円増加。今回、介護保険料の増加の内訳が公表されるが、一方で、介護保険料の値上げを緩和するために過去の介護保険の残金をすべてはき出すことには評価が分かれる。

・保育園は3園、小規模保育施設は3施設、放課後児童クラブは1施設増。昨年の待機児童数は吸収できるが、女性の社会進出という社会構造の変化と、計画人口を上回る人口流入による入所希望者の増があるだろうことからこれを解消するのは難しいと見込まれる。また放課後児童クラブでは、4~6年生の入所は大半の小学校区で難しい状況は続く。

・学校教育関係では、ほとんど予算の増減がない。そのなかで外国語教育の強化と、外国語を使う児童の支援の予算が目立つが、額としては小さい。小学校や中学校の教材費徴収頼みで補助教材などを購入する状況は変わらない。

・旧第四小学校の校舎解体が始まる。

・図書館の図書購入費が一部復元で両館で1600万円から2400万円に増額され、ここは市が自己主張していないので評価すべきところ。
一方で図書館司書による市民への知的支援をするための人員確保または業務の軽減のための機械化の推進予算が必要ではないか。

・2017年度予算では前年度予算の残額が出てから補正予算で手当された道路の維持管理費用は、当初予算からそこそこ確保されている。

・ふるさと納税で寄附金は金額は少ないものの急増している。税金対策による12月末の寄附だったため、大半は補正予算化できず3月末の決算までに使い切れない。寄附者はその目的を指定して寄附しているにもかかわらず、放っておくと剰余金が出て、繰越金として今年度他の予算に混ぜられ使われることになってしまうが、その運用改善が課題。

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