12/7 自治体の仕事は人件費的なものばかりに表出するものです~市議会民生常任委員会の審議
7日、市議会民生常任委員会が開かれました。補正予算、介護保険の低所得者の利用料補助の審査に係るマイナンバー制度の適用など、市長提出議案3件と、国民健康保険税の値上げをしないよう求める請願1件が審査いたしました。私は4件いずれも賛成し、市長提出議案は全部可決、請願は与党系議員の反対で否決されました。
🌑協会けんぽ、健保組合、公務員共済短期には所得比例の保険料しかありませんが、国民健康保険税には、世帯中心の制度なのに、家族数によって人頭税がかけられる仕組み加わっており、国は「応益負担」などという最もらしい理由でこの比率を高めよと誘導策を採っています。そのなかで、ふじみ野市が子どもの3人目からこの人頭税を課さない制度に変えています。富士見市も続くようです。多子世帯の支援などというよくある名目なのでしょうが、人頭税的な制度がそもそもおかしいというなかでの一つの解決策として取り得る選択肢かなとみています。
🌑市議会議員になってから6年担当した民生常任委員会。18日の最終日に所属委員会の変更が行われます。引き続き所属するのか、違う委員会に行くのかわかりませんが、一つの区切りとなる7日の委員会です。
🌑各議案の審議のようすです。
補正予算では、障害者福祉、生活保護、福祉関係部でそれぞれ時間外手当、非常勤保育士が雇えず派遣保育士の利用などの理由で予算が追加と、来年度の保育所の調理業務の更新にあたっての契約を認める「債務負担行為」が内容でした。
生活保護に高度医療の対象者が出て追加となったほかは、直接・間接にしても最終的にはほとんど人件費になっていきます。民間企業の経営効率化のように、人件費を抑制する、ということが目的になってしまうと、自治体の業務はほとんど成り立ちません。極めて労働集約型の事業所です。
公立保育所の調理業務の民間委託に向けては、民間事業者ゆえのストライキの可能性と対応方法のコンプライアンスについて質疑いたしました。答弁は代替手段の確保と言ってしまうのですが、本来、労働契約の不調による労働争議に対して、代替労働力の導入は、スト破りのような違法な対応になる疑義があるから、再度、その場合の対応を検討するよう求めました。もちろんストライキを禁止したり発生させたときにペナルティを業者に科す契約はできません。そうなったら保護者がお弁当を持ってくることになるのだろうと思います。そうすると日々、発注する市役所が公正な労働条件となっているのか注意を払っておくことが最も予防策となります。
時間外手当の増加では、保育士のキャリアに応じた処遇改善が国から押し込まれたのですが、そのキャリアの調査業務と、高齢者への給付金を廃止したことの見返りとして議員の一般質問で提案されて始められた市役所からのあいさつ状の送付などが、業務増になっていることが明らかになりました。保育士の処遇改善は保育単価(現在は「公定価格」という名称になっています。人身売買的で好きではありません)の引き上げでシンプルに行うべきだろうと思っています。よかれと思って配慮にみちた仕組みを提案したことが仕事を異様に増殖させる、日本の役所と政治家の無頓着だと思っています。
きもちだけ、配慮をもっと、という議場の発言によって、人件費があることを忘れて仕事を増殖させてしまうというがあるなぁ、とつくづく思ったものです。
役所の仕事は人件費の固まり。人件費だからと非効率な存在だと決めつけるのはやめることと、もう一つは、人件費の重みを感じておくことが大事です。
意見が分かれたのは、マイナンバーの利用の拡大の議案。法律でやってよいという役所内のマイナンバーの利活用に加えて、朝霞市ではひとり親家庭の給付金の判定に使っています。さらに介護保険の利用料軽減となる低所得者の判定に使おうという提案です。
ここはマイナンバーに対するイデオロギーの見解が分かれると思いました。総背番号制的なものを全否定する立場からは何があっても拡大はダメです。一方、役所の内部業務の効率化が必要と考えれば賛成となります。どちらが絶対的に正しいということはないですが、私は、保育園の入所申請や子ども手当・児童手当での非効率な事務を見て、効率化が必要という立場で賛成しました。スウェーデンなど北欧諸国でも番号制度によって、適切な福祉が迅速に提供される仕組みになっています。
ただし、マイナンバーの普及という名目のもと、民間利用の促進や、図書館や医療情報などの、ときに行政からの情報を遮断してでも利用者を守らなくてはならない個人情報がある世界でのマイナンバーの利活用は、絶対に良くないと整理しています。
請願は、年金者組合から提出された「国民健康保険税を値上げしないでください」という請願で、9月定例市議会に審議が始まったもの。今回、議決すべきということで議決することが決まり、討論では、共産党の石川議員、私が賛成、輝政会の獅子倉議員、無所属クラブの大橋議員が反対、2:3の賛成少数で否決されました。
私は、国民健康保険税が不安定雇用におかれた人が集められ、リスクが集中する構造になっているなかで、負担増はあるべきではない、と思い賛成しました。
審議のなかで、来年度、国民健康保険の事業が市から県に移管されるなか、平均12万から15万に引き上げられると内示されていた県の1人あたりの国民健康保険税が、12万円前後におさまりそうだ、という答弁がありました。ほっとしていますが、県は、国が県に出すと言っていた交付金を計算に入れていなかったようです。
ただ、国民健康保険の仕事を県に移すって、意味のあることだったのだろうかという疑問は相変わらずついてまわります。健康対策事業など、地域で運営する健康保険ならではのメリットもあったのではないかと思っています。
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