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2017.12.24

12/23 どこかずれてる少子化対策

政府の予算案が発表されました。社会保障費の増は抑制しなければならない、少子化対策はやらなくてはならない、という政府の方針のもと、介護保険の利用料を増やす、生活保護の給付額を削るなどの、なんだかなぁ、と思う政策に対して、幼児教育の費用の軽減、保育所整備費(新規建設費用)の増などが盛り込まれました。

少子化対策として、保育所保育料の無償化の方向性と、保育所整備費用の確保が正しいのか。私は疑問に思っています。
保育所を整備しても翌年からは運営経費がどんとかかってきます。その負担が、制度が想定するものよりはるかに大きく、その財源調達のために、市区町村は子どもが増えれば増えるほど、他の事業を切ったりけちったりしなければならないのが現実です。子どものための幹線道路の歩道整備など、いくら必要性を訴えても、ゼロ回答です。本末転倒みたいなことになっています。
保育料に関しては、現在も低所得者には軽減され所得比例で利用料が設定されています。それを無償化する意味があるのでしょうか。財政を理由に待機児童問題が解決しきれないと説明を受けている保護者に、無償化する財源があるなら保育所を増やす資金にしてよ、と思うのは自然なことだと思います。
高齢者や障害者の介護利用料や医療費自己負担分は引き上げられる一方のなかで、あるいは保育所に関わる財政支出のなかで、それが優先課題なのか疑問です。

政治家や為政者が、問題解決の道筋を考えることを放棄して、有権者ウケする、インスタバエみたいな効果のある話に飛びつく結果、こんなことになっているのだろうと思います。

🌑詳しく解説します。
市議として、市区町村の政策に関わっていますが、保育所を作ると、固定費的なランニングコストが重くのしかかってくることを実感します。朝霞市の場合、人口あたり平均的な自治体の1.3倍の子どもがいます(人口12.5万人あたり1年齢1000人いかないのが今の子どもの数。朝霞市は13.6万に1年齢1400人います)。そのなかで児童福祉費が市の支出の25%(90億/360億)となり、うち保育所関係は半分、全体予算の12.5%(40億/360億)です。事業単位ではダントツの支出額になっています。

保育所の運営経費の総額の25%しか市区町村は負担しないことになっていますが、実態は、朝霞市の保育財政の総額約40億のうち、国県の補助金が約10億、保護者負担が約10億で、残りの20億、比率でいうと45%~50%を自治体独自で予算を確保しなければならないことが難題です。もちろん3歳児以上の高所得者の保育料が低すぎるなどの問題はありますが、その保育料を値上げしてもせいぜい1億2億の増収の話で、モラル的な政策でしかありません。運営経費の捻出が、市町村にとって頭の痛い話です。
運営経費の財源構成がかっちり決められ保障されている介護保険と全然違います。

いろいろな学識経験者が、保育所を整備することが将来の日本の経済成長に不可欠だ、保育所整備は雇用や需要を生むから効果的だ、とおっしゃってくれるのですが、保育所を増やして腹を痛める市区町村にとっては、ただただ身を切るだけの政策になっています。

運営経費の財源が十分に保障されないので、保育所を作れば作るほど財政が硬直し、裁量性の強い障害者福祉や、高齢者福祉の介護保険部分以外、道路の補修費用や歩道整備の予算などどんどん削って保育所を整備しているのが実態です。福祉以外の子どものための施策に関する費用は容赦なく削っています。
結果、23区の富裕層が住む自治体みたいに、保育所の待機児童問題を抜本的に改善しようとする努力を放棄して、共働き世帯を埼玉県の自治体に追い出す、というのが自治体経営にとって得策になっています。送り込まれた自治体は自治体間競争で「子育て世代」の呼び込みが大切と思い込まれさ、ひいひいいいながら保育所整備をやる。そこに手を当てる政策を打たない限り、待機児童対策など首都圏では進まないと言ってよいでしょう。

いくら保育所の建設費用の補助金が拡大しても、このような状態で予算を組んでいますから、将来破産するような投資には飛びつくわけがありませんよね。今も新設保育園の建設費用負担は、うまく補助がつけば、事業者1割、市区町村1割ぐらいでできます。負担ではありますが、比較的軽いものです。そのなかでも保育園が思うように増えないのです。
運営経費が重荷になっているから、待機児童対策は一気に解決できないし、じわじわしか進まないのです。もちろんカネだけではなくて、人材確保みたいな問題もあります。(これは小泉政権期に小泉純一郎にすりよる経済学者が、保育所予算を抑制するために、保育関係労働組合を抵抗勢力として攻撃して口封じした歴史があったからです。あれで処遇改善の要望がすべて封じられたものです。)

自治体が思い切って保育所を整備するためには、保育所運営経費(子ども子育て給付)の財源構成の市区町村負担分を25%から実態にあった、35~50%に引き上げる努力が必要です。その上で、保育所を増やす費用を確保することです。
一方、保育料無償化も否定はしませんが、保育所が不足していて、その建設費と運営経費の確保に市町村が苦労しているなかで、優先順位の政策なのでしょうか。一部の選ばれた保育所を利用できる保護者には保育サービスが利用できてしかも無料、一方保育所に入れなかった保護者は、自分の仕事を捨ててすべてを諦める、もちろん家計の収入は下がるし生活水準も大幅に低下する、保護者が二極化します。

保育所の利用の大半は就労によるものです。保護者の稼得能力を下支えしていると考えると、高齢者や障害者の福祉と違い、収入に比例した保育料を取ることは何らおかしなことではないと思います。
むしろ介護や障害者福祉では、収入がない人たちが大半です。がんばっても、収入が増えるような生活をしているわけではありません。そのようななか、利用者の所得に応じて最大3割の利用料を取ることが来年度から始まります。保育料が高所得者でさえ、3割も取っているのでしょうか。

🌑藻谷浩介さんが、そもそも論として、少子化対策が必要なのか、という疑問を呈しています。
藻谷さんは大事なのは生産に携わる人口であり、高齢化で苦しんでいるところに、子どもを増やせば、その負担は相対的に少ない生産に携わる人口にのりしかかってくるではないか、という論です。
私も同様に思います。朝霞市はたまたま高齢者が少ないので「生産年齢人口」は高めですが、これが新座市並みの高齢化率と朝霞市並みの子どもの比率だったら、少子化対策は成功するのでしょうが、生産年齢人口はぐっと下がり、高齢化と少子化対策で市区町村は首がまわらない状態になるでしょう。
また、いささか皮肉屋ですが、赤川某という研究者は、少子化対策がそもそも必要なのか、という疑問を呈しています。
また少子化対策という子ども政策の目標が問題ではないかという話もあります。あくまでも子どもの人生なのだから子ども自身の育ちに視点を当てて、それを支援する施策の展開が必要ではないか、というものです。

当事者である子どもの社会的政治的発言が社会システムや学校教育法にもとづく通知で規制かけられていること、子育て中の保護者が政治的発言をするための時間的空間的余裕がないことなどから、少子化対策という言葉であっても、必要な社会サービスが整備されるなら飛びつかざるを得ません。
ただ、少子化対策が子ども政策の出発点でよいのか、疑問に持ちながら取り組むことが必要なのだと思います。

🌑社会保障の「世代間格差」を言い募る人たちがいまだにいます。
その福祉サービスを利用したからって収入増が期待できない、高齢者や障害者の、介護保険や医療の利用料の自己負担割合がどんどん引き上げられていくなかで、保護者が稼得能力があるはずの保育料が無償化されていくわけです。これは世代間格差と逆行する現象です。
若いうちは、自分で稼ぐ力があるので、社会保障の世代間格差って何を意味するのか私にはさっぱりわかりませんでした。そして「世代間格差」を言い募る連中が、小泉純一郎の尻馬に乗って、保育所に関しては、「非効率的」「ムダが多い」と言い募ってきたわけです。その結果、21世紀初頭にもっと機動的にやるべきだった保育所の新設は迷走し、県によっては1自治体毎年1園という抑制がかけられ、10年以上遅れてしまいました。朝霞市でも毎年3園以上の保育所整備が始まったのは2011年からです。
保育所で働く人に用意される財源はサービスが拡大する一方なのに絞られ続け、ただでさえ25歳公務員の賃金しか保障されいないなかで、非正規労働化が進んで、今日の人材確保難という惨状があるわけです。
「世代間格差」を言い募ってきた人たちには、明らかに世論をミスリードしてきたわけです。徹底的な自己批判と理論的修正が必要だと思っています。
※「世代間格差」を言い募る人たちの焦点は年金だということは百も承知ですが、年金で「世代間格差」を言い募る間違いは、賦課方式を批判しても結果、インフレなどの物価変動や金融的調整で、結果的に受け取るときの生産人口の生産力の成果を受給者人口で割った水準にしかならないということです。すなわち若い頃に年金の心配なんかしているよりも、生産性の高い仕事をしなさい、より高い年齢になっても使える人でいなさい、ということに尽きます。

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