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2017.09.08

9/7 たった200円の話だけども~18時以降の保育園追加料金の本会議審議

7日、本会議議案質疑がありました。そのなかで18時以降保育料を30分ごとに200円追加料金を、保育現場で徴収する条例改正が議論されました。
私は、こんなことで保育園の今抱えている問題は解決されないし、かえって事務が煩瑣になったり、保護者の長時間保育の権利を認めてしまうものではないか、と質問続けました。また当事者参加で決まっていない手続きの瑕疵を指摘しました。
他の議員からは、委員会の運営の正当性からの法的正当性、公立のことだけと審議しつつ民間に適用することが前提のキジでカラスを売るかのようなやり方、補助金の関係で経済的メリットが保育園にはないことなどが指摘され質疑が展開されました。

金銭インセンティブと点数インセンティブでしか問題解決を提案できない市役所を見ることの多い最近です。

●必ずしも言っていることのすべてが正しいとは思いませんでしたが、保育園問題の民進党の切り込み隊長であった山尾しおり議員がスキャンダルで倒れました。この件は仕事の能力とは無関係な、家族や関係者にとっての私的な問題で、本人が身を処すしかない話ですが、民進党の党首の責任まで問われていて、つまらない政党なのにそのポストをめぐって嫉妬しかしない国会議員だらけで、他党のフリン疑惑議員より、もっとひどい悪影響が広がりそうです。

●私のなかでは、保育園問題が死んだ日だったと思います。
高度成長期にべたっとしみついた固定観念の呪縛にいつまでもとらわれ、男女平等や働き方改革など遠い遠い夢物語なんだと思います。
自分のやっていた政策効果を自分のまちではどうなっているのか、と12年前に子どもを抱えながら保育園運営審議会や、次世代育成計画策定委員会を傍聴して歩いた日々。何でこんなことばかり言われなくてはならないんだ、と思ってきました。
当時と変わらない光景です。

●この件の市議会の議論の論点です。

論点1 保育園のメリットになるのか
市議会では、この追加徴収が保育園のメリットになるのかという議論が行われました。保育現場から徴収して保護者の長時間利用を抑制させよう、という要望があってそのまま政策化したことを表現できないものだから、しきりに「負担の公平性」という言葉しか言い切れませんでした。政策効果に関しての問いかけには答えられませんでした。むしろ、高所得者の保護者は、この追加料金を払うことで、権利を主張できてしまい、保育園側は、必要保育時間以上の利用に苦情は言えなくなります。それで保育園に出ている18~19時の保育の追加補助金は受け取った追加料金分だけ削減されるわけで、現場ではギスギスするだけで、保育の適正利用に関しての保護者の理解は遠のくのではないかと指摘しました。

論点2 負担増は誰によって審議されたか
公的機関が一方的な負担増を決める前には、まともな自治体であれば、
①保護者と事業者と運営者で協議するか、逆に
②第三者的な専門家たちで中立的に議論するか、
どちらかの過程が必要です。「デュープロセス」です。

朝霞市には、保育所経営者と民生委員で主に構成されて保護者代表がいない「保育園運営審議会」で決定しています。その審議会の設置条例では、第8条で利害関係者は議論に参加できない、となっていて、②のパターンです。その場合、望ましいのは保育園経営者委員が退席してこの政策を議論するのがふさわしいのですが、それをしておらず、議事録にあるように利用者に対して酷な発言を続け、そのなかの誤解を主催者である行政側が是正することもありませんでした。
議会では、そうした検討経過の法的正当性が問われました。市長は、保育課長の差し入れた原稿を見ながら、公立に関して議論したのであって私立は関係ない、と答弁、しかしこの条例改正ができた以上は、民間保育園も追加料金徴収をすることを奨励され、民間保育園経営者も自分の保育園で追加料金徴収ができることを前提に議論をしていたことから、「弁護士に照会する」結果として法的正当性があったとしても、設置条例の法的正当性に問題があると言えます。

一方、私はこうした負担増は、②のパターンで当事者抜きで決めるより、①のパターンで、反する立場の当事者が協議して決めるべきだと思っています(朝霞市役所の仕事として最も苦手で避けたがることです)。追加料金や保育料負担の増加に関して、保護者の代表に話をすれば、表向き反対でも、今の保育事情のひどさを熟知しているので、まともな人なら妥当な解で納得されるはずです。保育園運営審議会では委員構成が偏っていてそれができないのです。
市は「子ども子育て会議」で①のパターンの合意形成を図ったと強弁するのですが、昨日の議会では、この会議で保護者委員が何一つ発言しなかったことが問題になりました。私も傍聴していましたが、ある委員が保護者モラルを一方的な前提で批判する発言を皮切りにしたことから、保護者委員が全く発言をしなくなったのです。
厚生労働省も保育制度の変更は、子ども子育て会議で広く当事者で合意形成を図れ、と通知していますが、まったくないがしろにされています。

論点3 補助金との関係
この追加料金が民間保育園運営の経済的メリットになればまだ救いです。しかし、国の補助金制度では、経費が補助金を上回った分でなければ、追加料金は減額されて召し上げられてしまいます。そのことの説明が事前にはほとんどされてきませんでした。

論点4 「子育てしやすいまちあさか」という総合計画の目標との関係
今回の議論では、ベースに保育園利用者の保護者が子どもを預けっぱなしにして遊んでいるから制裁が必要だ、という関係者の感情論がベースにあって進んだもので、「負担の公平性」という論証不能な言葉でいくら説明しても覆い隠すことができません。
私も毎年保育園利用申請者の入所可否の分布を調査していますが、点数からうかがい知れることからは、ここ数年、パート労働者が適用されるであろう点数、60点に少し足りない保護者が本当に入りにくくなっています。フルタイムで市外通勤者の保護者によって保育園が占められている傾向が強まっていることがうかがえます。そういうなかで、現場感覚として保護者の利用時間が延びていることになっているのだと思います。
ところが、こうした保護者層の変化を把握せず、料金を追加すればモラルが正され保育時間が短くできる、と勘違いしながら、朝霞市は「子育てしやすいまちあさか」というスローガンを掲げ、他市からまさにそうした通勤している子育て世代の保護者を呼び込んでいるわけで、やっていることがちぐはぐです。

論点5 当事者への愚民観
同僚議員が、いまいちど立ち止まって保護者に意見を聞くなりしたらどうか、と問いかけたら、その答弁が「保護者というものは、負担増に反対し、負担減だけ賛成するものだから、意見を聞くまでもないもの」というものでした。市民参加の担当部長の答弁でした。私は口あんぐりでした。そんなふうに単純な反応をする市民だと、市役所の職員は市民を見ているのです。
要求つきつけるだけの古い世代の市民ならともかく、今の世代は負担増は避けられないものがあると理解しています。数年前の保育料の値上げには、当事者から大きな反対の声は挙がりませんでした。必要なことだと理解されたからだと思います(それが古い世代の人にはたたかわない若者という批判になるのだと思いますが)。
保育園の利用者は、仕事をしている人たちです。不合理な廉価サービスが持続可能性がないことぐらい知っています。それより効果のある政策を求めています。それを議論に参加させることに、安いか高いかだけでしか行動しない、と決めつける市の感覚がいまだに払拭されていないことに、絶望的な気持ちになりました。

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