8/23 朝霞市として待機児童緊急対策を策定
自宅に、議員あての「朝霞市待機児童緊急対策」の資料が配られました。今年4月の待機児童(単純な待機児童数から認可外保育の利用者などを除く新定義)が100人を超え、県内ワースト1位を記録したことから、あわてて策定されたものだと思います。
柱は4本あり、認可保育園と小規模保育園の増設、幼稚園の預かり保育(17~18時ぐらいまでの長時間保育)の拡充、保育士の処遇改善などの確保策、家庭保育室の補助継続。幼稚園政策に踏み込んだことと、保育士の確保策が新たなもの。
過去の傾向から、朝霞市の未就学児童約8000人のうち、保育率が2017年度に40%から2019年度には45%に上昇することを想定し、740人の定員不足を想定しています。
それに対して、①保育園の増設で502人確保、②幼稚園の長時間保育に補助制度の導入、③月1万円の処遇改善費を保育園に追加補助することや、保育士の合同募集、保育士の保育園利用の優先的配点の導入、④県が補助を打ち切る家庭保育室への独自補助の継続、などの中味になっています。
①保育園の増設は、単純に待機児童数に見合う保育設備を用意すると、1~2歳児の枠ばかり増やすことになり、1~3年後に3歳児以降の保育枠が不足します。それをどうするかが課題です。
②幼稚園はこれまで、教育であり預かる場所ではない、としてきた考え方をどう変えて、パートや地域雇用の市民の保育枠として利用できるようになるのかが成否の鍵です。幼稚園が保育事業に乗り出すのは乗り越えるものが多いかも知れません。保護者も、幼稚園も地域就労やパート労働なら利用できる、という受け止めになるかどうかも課題です。
③保育士への処遇改善は良いことですが、それが保育士に払われるかが課題です。1万円だとまだ微弱なので、ほんとうにそれで事態が改善するのか検証が必要です。同時に、保育士の定着対策も徹底してやらないと、処遇改善でやってきた保育士が都内のもっと処遇のよい保育所に転職されるなんてことにもなりかねません。保育士を徹底的に守るんだ、という姿勢が、保護者、地域・自治体、保育園経営者に問われていると思います。
④家庭保育室への補助に関しては、せざるを得ないと思いますが、これは既定方針ではなかったかと。新たに対策として追加するようなものかと思っています。
難点としていくつか。
・保育士の確保対策はこれだけですか、という感じです。雇っても辞めてしまうことの問題にも穴をふさいでいかないとと思います。保育士の離職率の高い事業者もあり、事業者にお金を配って終わりではないように思います。また、保育士が辞めたくなる原因をきちんと把握して、その原因を一つずつ解消していくことが必要だし、人間関係が狭くなりがちな保育園職場を開いていく工夫も必要だと思います。
・今回の対策は財源が記載されていません。保育園の新設はほとんどが国県補助と事業者の自前なので問題ありませんが、作った後の運営経費は、市町村にドンと重くのしかかってきます。すでに朝霞市の予算の8分の1が保育園への支出になっています。そのなかでどこから予算をとり実効性上げる対策を打てるのか提案されないと判断が難しいものがあります。
・待機児童が社会問題になった今、全県一の待機児童数になったからと今回緊急対策が策定されましたが、過去、10年以上前、もっとひどい状況のときに、小さな政府論が猛威をふるって、自助・共助などと言われて、放置されてきたものなのです。そのときからこのようなことをちゃんと考えていればと思うくやしさです。
・新設保育園の地域偏在が課題で、今年度開設した西原にさらにまた2つの認可保育園ができます。朝霞台駅構内のバリアフリーが全然なっていないのに、という感じがしています。
・この対策は、当事者がいる問題に対するものなのに、どこで議論されたのか。
・需要に対する対策はどうなっているのか。朝霞市の待機児童問題は、無秩序に開発のツケで、開発業者は丸儲けしてあと自治体にツケを回している状態になっています。このままでは、保育所の待機児童対策にだけ市役所の仕事が追われてしまうことになりかねません。どうやって人口増を調整して、過度な保育ニーズが表出しないようにしていくことが大事ではないかと思います。
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