7/5 ヤメロヤメロ言っても地方の話だから
自民党も民進党も、都議選の敗退を受けて党首ヤメロという話が盛り上がっていて、それぞれの政党の非主流派だけではなく市民運動家や学者まで言い出していますが。私は辞める必要がないと考えています。
東京都知事選挙のときもそうですが、都議選も、地方自治体の選挙であって、国政選挙じゃないと貫くべきです。また候補者の公認推薦権、議会での会派構成、都議選の政策決定権はすべて地方組織の問題で、全国政党の党首が責任負えるとしたら、街頭演説などの応援の努力と、議会の論戦などを通じて党勢をつけることぐらいでしょう。裁量もないのに責任を負わせるところから、政治の無責任主義が蔓延するんです。茨城県議選も統一選じゃないときにあり、いつも民進党は議席獲得に苦慮し惨敗し、自民党天国を容認してしまっていますが、これって中央政党の党首の責任なんですかね。
いくら東京とはいえ、東京だからってその範囲を超える責任論を展開させるのは、事大主義です。
どうしても党首に責任を負わせたいなら、東京都の選挙に関しては、地方組織から権限を剥奪し、陣笠代議士がガバナンスする全国政党の本部が、公認推薦権や政策決定権を取り上げるべきです。
私が情報を把握しているのは民進党だけですから、民進党の混乱は何かといえば、東京の地方組織が混乱する状況に無為無策だったことです。
以前から、菅・長妻系と、松原・都議団執行部が仲が悪く、ガバナンスが難しかった。都知事選の候補者選びと応援体制は毎回、混乱状態でした。私なども他県の議員であったり、労組の若手職員として、デタラメな都知事選の擁立の混乱を、尻ぬぐいするために選挙にかり出されたのでうんざりする思いをしてばかりでした。
そこにに、都民ファーストの会が出てきて、選挙協力を模索するが(多分野田数に蹴られ)まとまらず、話が進まないうちに、本人の選挙対策やら、一部労組、ひどいのでは民進党国会議員からの誘導などもあって、五月雨式に都議団幹部を中心に現職都議の多くが都民ファーストに移籍し、それを制御できない民進党への無能さから信頼感が地に落ちたんだと思います。それを制御できなかったことが全国政党の幹部が責任取らなくてはならないものなのでしょうか。東京の地方組織の問題でしょう。
ここのところ選挙が堅調な、北海道や東北、三重、名古屋まで東京問題の巻き添えになって支持率を下げていくなんてバカな話とは一線を引くべきだと思います。
それと、民進党のぶち当たっている困難は、古い民主党政権の失敗は反省するけど、その後につぐ、民進党を選んでもらうためのセールストークがまったくできない状態になっていることです。民進党が導きたい未来像を全然示せていないことです。
それは、単純にムダゼロとか、誰もがうんたら、という安っぽい政治スローガンの切り売りではなくて、価値観の転換の提示が必要なのですが、いつ解散があるかわからない小選挙区制を前提にした政党構造のもと、脊髄反射的にオレよりアイツがトクしているのはけしからんという議論しかできないことが限界を作っています。
例えば、先週の週刊新潮が金子恵美議員の保育園送迎のことをスキャンダルとして取り上げましたが、それに党首が「もっと大変な思いをして送迎している親がいるのにけしからん」という反応の仕方をしたのが象徴的です。もっと幸福な社会を提示するなら、みんなが保育園送迎がラクにできるうようにならなきゃダメなんだと思います。
これまでも神野直彦さんや宮本太郎さんなどがさんざん民主党に、価値観をこうしたらという提言や学習会の講師を通じて教示してきたのに、ほとんど無視して小泉構造改革の焼き直しみたいな提言しかしなかった。今、井手英策慶大教授が民進党の価値観を作るのに協力し、民進党の関係者からはホワイトナイト扱いするようなSNSの感想が見られますが、今までの組織文化を振り返ると、自由党の影響にある人が税の問題でもみくちゃにして、経産省あたりの官僚出身のエリート議員が成長戦略がないなど鼻で笑い、党の公式な未来像として扱うことから無視されそうな嫌な予感がしています。ここの作業に怠慢・サボタージュをしたときに、その党首は引きずり下ろすべきです。
民進党は次の選挙という短期的な成果しか求めない議員が偉すぎて、政策スタッフに権威がないことが5~10年ぐらい先を見越してやらなくてはならないことをうまく体系化して提言できない問題があると思います。
さらに難しいのは、ここ5年ぐらいの時代の変化で、1990年代後半に前提としていた、開かれたグローバリゼーションを追認するだけの理念では統治しきれない現実も出てきて、事業仕分けや官僚支配の構造を打破と言っているだけでは、政権担当能力を示すことができなくなっているところがあります。バニーサンダースの台頭は、ものわかりのよい市民主義政権では、自動的に経済的にも政治的にも疎外される人々がひどい目にあう、という不満からでしょう。そういう人をどう救うのか。開かれたグローバリゼーションではなく、背骨の入った社会民主主義の価値観が必要です。
そんなものは、カリスマのある党首がでてきて、きょうあすでできることではありません。3~5年ぐらいかかる作業ではないかと思います。だとすると、党首をころころ変えるのではなくて、しばらく党勢立て直しのその前の前提、「なんで民進党を選んでもらうのか」というあたりをきちんと再構築する作業を、全党員でやらなきゃまずいんじゃないかと思っているのですが。しかし目先の選挙での効果しか考えられないクセがついている。
左翼には、山尾しおり議員を党首になんて声もあって、私もいいねぇ、と思ったりもするのですが、駄目な構造の上に何を乗せても同じことになるのは、民進党が下野してからずっと繰り返し見てきていることだと思います。蓮舫さんだって、選ばれるまでは山尾さんのような戦闘力を期待されていたんだと思います。しかし党首になって、単に切り込み隊長だけやっていればよいというものではなくなったし、複雑な政党の構造から物言えない役割にならざるを得なかったんだろうと思います。そこを山尾さんにしたところで、多分山尾さんの発言が慎重になるだけだと思います。
いずれにしても
今回の民進党公認の都議選候補者たちは、相当ながんばりができる人たぢだと思いました。無視という最大の逆風のなかで、あと一歩まで詰め寄れたんです。そういう人材をどうするかが課題だと思います。ダメだったから4年自分で食え、4年後どうなっていても知らん、という扱いでいいのでしょうか。そこぐらい中央政党の出番があるんじゃないかと思います。
民進党は、国会議員挑戦者には落選中に、事務所運営費と活動費が支給されます。手厚いとは言えませんが、市議県議からすると、いったい国会議員候補者だけなんでこんなに厚遇されているんだ、という疑問は払拭できないようです。
とくに今回、あんなにぞろぞろ候補者が離党して、それでも公認候補として都議選をたたかい、一定以上の成績を上げながら当選できなかった人を、見捨てるんでしょうが。活動が継続できる最低限の活動費や費用への補助金を4年間保障しなければ、落選なんかするより離党してはやりの政党に移籍した方がいいんだ、という地方議員たちのモラルが形成されます。年間80億円以上の政党交付金があり、4年で1~2億円程度の費用でケアできる話です。私の応援した候補者のすべてが、あと一歩で惜敗し、状況さえ転換すれば再び現場に戻れます。しかしここで見放して違う人を探したら、多分もっとひどい結果が次には待っていると思います。
●連合推薦議員で、民進党とはいつもお隣にいて、何かと協力する関係ですが、このあたりが克服できるまでやっぱりフリーハンドでいたいと思って入党していません。朝霞市議会でも活動の自由度が制約され、私の持ち味が議会で生きないと思っています。
でも、何かと協力させられる関係である以上、いろいろ心配思いまとめたものです。
●野党が何をするとダメになっていくのか、もっと日本社会党の歴史の教訓から学ぶべきです。党首責任論と解党的出直し論を繰り返して人事抗争にあけくれてきたことが、社会党をダメにしていったのです。責任論のはずが、公党として無責任とも言えるまでの派閥抗争と混乱をもたらしてきたわけです。
●もう一つ、この政党の悪い文化は、まさに旧日本新党・さきがけ系の遺伝子をもつ幹部と周辺がなりふり構わない党内抗争をやるところで、それを2009年ぐらいまで繰り広げたことでしょう。その結果、若手議員が組織を自壊させるようなこと言っても構わないという文化が満ちあふれて、党勢が落ち込むと、内ゲバになりやすいのです。
今回、党首責任論を振りかざしている某議員など、かつて民主党に足で砂かけて維新に行って、出戻ってきた議員でしょう。今回の都議選の混乱を先取りしてやってしまった議員で、党首の責任とやかく言える立場なんですかね、と思って見ています。
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