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2017.06.05

6/5 6月市議会はじまる~冒頭から請願の採決に

朝霞市議会6月定例会が始まりました。26日までの日程です。
9日議案質疑
13日 総務常任委員会、建設常任委員会
15日 民生常任委員会
20~22日 一般質問
26日 委員長報告・討論・採決
という流れです。

初日、市長の議案の提案説明の前に、先の議会運営委員会を受けて、市議会本会議場のに国旗・市旗の掲揚を求める請願の討論・採決が行われ、賛成多数で可決しています。請願採択を受け、今後、掲揚に向けての予算確保や掲揚の技術的課題を各会派で合意取って決めていくことになります。これまで議会改革では必要なお金を使わずに安価な方法で進めてきました。市民サービスの向上に直結しない議会にかかる経費を、財政難の折にハイスペックな選択はできないという判断からです。今回も掲揚にあたって、多額の工事費や物品調達費をかけることがないよう注意してほしいものです。

討論 黒川(反対)、獅子倉(賛成)、小山(反対)、田辺(反対)、山口(反対)、田原(賛成)、斎藤(反対)
採決の結果
賛成 輝政会、公明党、絆、大橋正好
反対 黒川、小山、田辺、共産党

●討論の内容としては、日章旗自体のもつ意味に反対することはないにしても、現在、国旗をめぐっての姿勢を様々あげつらい「反日認定」をするような使われ方をしており、そうしたものを多様な意見を代表する議場に掲揚しない方がよい。請願者は、そうした意図はないと言っていただいているものの、その危険性はぬぐえないのは国旗国歌法がどのような使われ方をしているかをみると当初の立法の意図とはかなりかけはなれたものになっている。朝霞市議会は政党間対立が少なくお互いのイデオロギーをあれこれ言わずに少数派議員にも配慮した運営がされてきた美風がある。そのなかで議会の形状を変える今回の話を、多数決で押し切らんがごとき判断をしようとしていることは残念である、ということを申し上げました。

●私の討論原稿(実際に話した内容とは若干異なります)、

最初に、これは保守でない側の問題が大きいと思いますが、市の自治に関する議案への議論よりも、国政にまつわるテーマやイデオロギーに関わるテーマで盛り上がることが、自治体議会としていかがなものかと日ごろ思うところがあります。今回の請願もそういう色彩が強くありますが、今後の議会のあるべき姿のなかで、実務に関わらない、対立軸のみ浮かび上がらせるテーマの扱いについて、十分注意したいと思っております。
会派としては、議場は様々な立場の人々から応援されてきた議員が、考え方をもちより、合意形成をめざし、ときに議論をたたかわせる場であることから、できるだけ考え方の異なる表現をさけるべきだ、という考えです。その上で、国旗である日章旗をめぐっては、様々な政治的対立を前提にした議論が行われていることから、議場で掲揚することには賛成できず、本請願には反対いたします。

以下、個人としての議員としての意見を申し上げます。

国旗である日章旗に関しては、それ自体に近代革命を経験した他の先進国のような、イデオロギー的意味はないと私は考えますが、しかし現在、この旗をめぐっては、国民を敵味方に分けるリトマス試験紙のように使われています。民主党政権時代、記者会見場に置かれた旗に向けて頭を下げるということをめぐって、大臣が攻撃を受けたことがありました。常識、常識と批判する側は大合唱していましたが、国旗を尊重せよということであって、世界的にもこんな風習ありません。頭を下げるときには、通常は場の中心に向かって、人と人とが向かい合ってやるものです。人がいる方にお尻を向けて頭を下げるなどという失礼な儀式は考えにくいものです。テレビのスポーツ番組では、本来試合の映像をできるだけ長く写すべきところ、選手が旗に対する態度や国歌を歌っているか歌っていないかをチェックするかのような映像を流されたりしています。私の知人でもあり、今年3月19日に73歳で亡くなった元参議院議員の岡崎トミ子さんは、韓国国会前で集会をやっている従軍慰安婦問題の市民運動を訪問したら、たまたま向こうの運動の側が会場に、×印をつけた日章旗を背後に掲げていた場所でコメントしてしまい、その映像が拡散されたがために、以後、何かと執拗な右翼運動からの攻撃にさらされ続けていました。岡崎さんは決して、日本をなくすために行動するような人物ではありませんでした。
こうした日章旗をめぐる、国民を分断するような動きがある以上、日章旗をあえて強調することは政治利用されるにほかならないな、と感じています。

国や地域や家族や友人を愛する、という感情や行動は否定する必要はありません。そのなかで現状を守ったり、逆に、危機感を感じて改革や、ときに革命に邁進する人もいます。しかしそうした愛する気持ちや感情というのは、誇示するようなものではなく、一人ひとりの内面のなかで着実に燃やし続けるべき思いなのだろうと思います。絶対的な価値は偶像にして拝んではならない、というのがモーセの十戒のうちの2番目、偶像崇拝を戒めとしています。
今回、請願の提案者に委員会で参考人質疑のさいに、市民を愛国心のある人とみなされた人と愛国心のない人とみなされた人とに分断する意図はありませんね、という確認質問をいたしました。請願者はその意図はない、と言い切りました。議会運営委員会の採決結果をみればここで反対するのは多勢に無勢ですが、今後の国旗をめぐる運用に関して、この請願者の意図を十分くみとって、整理していただけたらと思います。

さて、問題はもう一つあります。今回の請願は、市議会の改選直後、議会運営委員会で、同僚議員から文書でなく口頭で提案され、他会派議員たちからその真意をおしはかりかねるところからいったん撤回された後、提案議員と同調する議員が「請願で出せばいいんだよ」などという非公式発言のあった後、その言葉通りに提案した同会派議員の紹介で、ただちに請願として提出されたものです。全員が共有するルールである以上、議場の形状の変更、議会ルールの変更は全会一致が望ましい、としてきた議会運営委員会の慣習を空洞化させ、裏技を使われたという感じがしています。
今日、国会運営の多数派による強硬採決の乱発と、そうした運営の多数決での押切や委員長職権での決定が民主主義の危機として言われていますが、ここでもそうしたことが行われているのかと思うと残念でなりません。

朝霞市議会は、保守系議員が他市より多く圧倒しているものの、同僚議員たちがイデオロギー的に対立する場面は少なく、少数派議員に対して寛容な議会運営がされていることを感じておりました。そのことは立場の様々な同僚議員みなさまに感謝していますし、朝霞市議会の美風と感じております。
しかしこのテーマに関しては、全議員で合意すべきような問題にすら、多数派が数で押し切るような数の運営を行って、本当に残念でなりません。
国旗・市旗の掲揚に関しては、改選後の2015年12月議会運営委員会での最初の提案のときでも、提案者からは国旗ばかりが話になり、請願においても国旗が先で市旗が後という構成になっております。とってつけたような市旗の扱いに気になるところがあります。

さて愛国心と愛郷心ということであるときに、われわれ市議会議員は、市と国の利害が対立するような場面に立たされたときに、職務としてどちらを優先すべきなのでしょうか。最初の提案でも請願でも、専ら愛国心に関わる議論ばかり行われ、国旗のことばかりが推進する理由として掲げられました。本当にそれでよいのか、ひっかかるものがあります。

森友学園問題で、籠池元理事長は、なぜ森友学園の運営する幼稚園で右翼的教育をしたり、ご自身も右翼的主張をしてきたのか、と問われて、さして根拠はない、そういうとウケがいいからというようなことをコメントしています。昨今の排外主義的な愛国心の流行には、いささかうんざりするものがありますが、この事件を通じて、そんな浅はかな思考のなかで、右も左もわからない子どもに、教育勅語や愛国心、ときには政治家に忠誠を誓わせるようなことをしていたのか、と思うと、恐ろしくて仕方ありません。第二次世界大戦に向けて、戦争の旗を振っていた人のうち、信念持って自殺したり政治や行政の世界から離れた人を除けば、自らのやってきたことにほおかむりした人も少なくありませんでした。

大分県から高校生のときにチンタオに転居した私の祖父は、1937年に現地新聞紙上で日華友好を推進せよという論文を書いたことにより右翼にしばらく追われる生活をしました。その後、日本の敗戦を受けて、直後から1年にわたる引き揚げに向けた苦難が待ち受けているわけですが、家族全員、帰還を果たしたのは、こうした祖父の行動による現地中国人の協力があったから、と聞かされています。その後、祖父は大分県で日中友好の運動を自民党支持者として支えますが、祖父の信念のなかには、1937年からの様々な体験が、排外主義的な愛国心や民族主義を選んではならないという思いが強かったからだと思います。

最後に、おそらく採決に持ち込まれたということは、この請願が通る可能性が高いでしょう。通った後には、掲揚する国旗や市旗の態様、その設置にかかる予算等は、議会内の各場面で慎重に検討してほしいところです。さらに、これまで、議会中継や議会の録画公開、委員会の議事録公開など重要な議会改革の課題も、コストのかからない方法を選び全会一致で実施に移してきました。市の基金残高が危機的状況にあった当時、市民生活に直接影響しない、議会内の都合のために使う公費はできるだけ抑制しなければならない、という思いからでした。当然、今回の国旗・市旗の掲揚にあたっても、過大な公金支出とならないように、不自然な態様にならないように注意するよう、同僚議員に申し上げて、討論を終わらせます。

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