6/29 渡世ファストの圧勝予測の先に

東京都議選でメディアが小池知事率いる渡世ファストの圧勝を予測しています。

他自治体のことなので余計なお世話なのですが、この予測のまま、都議選の結果が出てくると、選挙後の都議会は混乱状態を経て、最終的には自治できない議員たちによる自治の放棄が始まり、最後は結局、いままでどおり自民・公明が主導する都議会に戻っていくのではないかと見ています。それを避けて、改革の最良のところを実現していくためには、議会の混乱を守旧派に戻さないためには、自民・公明でも、渡世ファストでもない政治勢力に一定の議席を持たせていく必要があるのだと思います。

●そうしたなか、小池知事が次の衆院選で自民党に協力するというニュースが時事通信から飛び込んでいます。もちろん知事だけでは済まないでしょう。都議候補たちはどうするつもりなのでしょうか。自民党の駄目さに審判を下そうとしたら、その回収台は自民党だったなんて、日本一頭が良いと自負しているであろう東京都民が見抜けないものなのでしょうか。

●友人で多摩市議会議長の岩永ひさかさんのブログから。　「「見極める」ということ」私のような品の悪い書き方ではなくて、いろんな経験をされた上で、今回の状況をどう見たらよいのか考えさせてくれる記事です。

●以下、よその議会なのでお気軽に評論します。

このままの予測で選挙後、肥大化した渡世ファストの運営は困難を極めるでしょう。今の好印象をかたちづくっている旧みんなの党・かがやけTokyo系の議員、民進党都議団幹部なのに自ら崩壊させた民進党崩れ、自己承認欲求が膨ませている小池塾出身の新人議員（小池チルドレン）、うまく知事や特別秘書の野田氏に取り入った側近、と最低でも4つの極ができあがり、ここに公明党との推薦関係、連合製造業産別との推薦関係、都議会の運営をめぐって旧弊を押しつけようとする都庁幹部の懐柔策などの外的要因が入り乱れて、意見がまとまりにくい構造ができると思います。

どの時点になるかわかりませんが、メディアの批判を受けるのにやらなければならないような政策をめぐって、多極化したこの党の構造は、主導権争いを起こすと思います。これは民主党やみんなの党でも肥大化したとときに共通する現象です。各議員の自説や立場への意地やしがらみと、出世や次の選挙の利害打算がからんできます。さらに自民党も、ここぞとばかりに手を突っ込んで引き抜きを画策するでしょう。大して思想的・組織的に渡世ファストに思い入れのない人たちばかりだからです。
一番たちがわるいのはしがらみのない、新人議員「チルドレン」たちです。取引、駆け引きを知らないし、人事その他の取引の相場観がないから、自説にこだわるか、小池知事やその側近のただのイエスマンになるか、四方八方に混乱要因をつくっていくと見られます。
その結果、泥仕合、離党、会派分裂などが起き、収拾がつかなくなるのではないかと見ています。これまで、民主党やみんなの党を選んでおきながら見放した都民の判断ミスは繰り返されるものだと思います。

こうした事態を切り抜けるためには、会派内の組織的しきたりができるまで、知事側近のグループが恐怖政治か権威主義な運営をやるしかないのですが、それを個人や多様性を重視する元みんなの党あたりがそれを良しとするのか、都議会の経験が長くて都議団の自立をめぐって長年国会議員とたたかってきた民進党崩れが納得するのか、やっぱり混乱が予測されます。恐怖政治をしたり権威主義的運営をしないそぶりをしてきた政治団体だもの、それはそれで分裂含みになると思います。

塾生上がり新人議員はいずこも自己承認欲求の強い人たちだから、自分がちょっと認められないとすぐすねる（現に塾生で公認されなかった人たちがこの選挙をめぐって対立候補になったりネガキャン張ったりいろんな動きしている）ので、会派運営が面倒くさいことになります。議会内の委員長や副委員長のポストを数にもの言わせて取ってきて、新人議員にばらまいて納得させられても、そもそも議会を傍聴すらしたこともないような新人議員が、ポストを満足にこなせない可能性もあります。

そんなことを想像して、渡世ファストと都議会の運営はいずれ崩壊状態になって、自民党が様々なツールを使って渡世ファストの議員を引き抜きする、連合は労働組合の政治運動の再統合を図ってくる、新人議員は議会や選挙区でうまくやれずにばかばかしくなって引退したり逆に国会議員候補になっていく、そんな混乱を経て、都議会は自民・公明が牛耳る構造に戻る可能性が高いと思います。

それが都民が渡世ファストを選ぼうとした結果なのかな、なんて思って見ています。もちろん小池知事の改革への投石がいろんな壁を壊す機会であり大いに活かすチャンスですが、元に戻ってもいけない、壊すだけで終わらせてはいけないでしょう。自公と渡世ファストの間で、バランスを取る是々非々主義の候補が、予測ではいま一歩力が足りないようですが、バランスを取る政治勢力が少なければ、今回の選挙はなんだったんだ、と思うような都議会の展開になると思いますね。