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2017.05.17

5/16 自治体議員選挙にもビラ配布解禁の機運

意外に思われるかも知れませんが、地方議員はビラを配れません。一つは、選挙期間中にしか「投票してください」と呼びかけられないのに選挙期間中はビラを配ることは禁止されています。選挙期間中に「ビラをください」という有権者が来ますが、有権者の請求であっても渡すと違反になる可能性があるので、お渡ししていません。
選挙期間外は、投票依頼みたいな文言がなく売名目的でなければ配布できる、という解釈ですが、あくまでも解釈で、その中味は明確になっていません。
あべこべですよね。選挙運動期間に政策情報が手に入らなくて、告示日より前じゃないと政策情報を手に入れられないとは。

そのようななか、政策中心に選挙しようという運動の成果で、各地の自治体議会でビラ配布の解禁を求める意見書が採択され、自民党のなかでビラ配布解禁の検討がされているという西日本新聞のニュースです。

地方議員選挙も「ビラ」解禁の機運 自民が法改正検討 名前連呼と握手じゃ公約見えず

「名前と連呼と握手じゃ公約みえず」よい見出しです。

内容や官庁の抵抗などこれから調整事項があるとは思いますが、歓迎したい動きです。

●選挙運動のビラ配布枚数規制もいい加減やめてほしくて、衆院選とか市長選などでは選管から配布枚数分のシールを渡されるのですが、貼るのも、貼った後のごわごわしたビラを管理するのも、新聞折り込み業者に渡すのも、折り込み業者の折り込み機にかけるのも、人海戦術が必要になります。シールを貼る作業自体に平日日中に大変な人手が必要で、その人手を確保するために、候補者がやらなければならないことや、日常の有権者への「貸し」を作っていかなくてはなりません。そのことが腐敗の温床になります。枚数制限などやめて、印刷費の上限規制だけにとどめてほしいものです。

●日本の選挙は、世界一厳しい規制をかけられています。もちろん買収や脅迫などは選挙で禁止すべきですが、ビラ配布ダメで電話かけはよいとか、選挙カーは看板掲げてもよいけど自転車や歩きの人は看板を立てられないとか、意味不明な規制だらけで、このことは、国連が政治的自由に対する人権侵害だと認定しています。
実際にこんな細かい規制でトラップをやまほどしかけているので、どんなに優秀なPRの専門家の助言を受けても、結局は選挙カーでわあわあわめいて電話かけをしまくる、という運動スタイルを選択するしかありません。朝霞市の場合18平方キロの面積に30台の選挙カーが走り回ってしまうことになります。

●日本の選挙運動規制は、1926年の普通選挙導入時から始まっています。よくそのかわりに治安維持法が入ったというまとめがされています。ところがその選挙も自由な選挙ではなく、内務省による包括的な選挙運動規制の導入であれもこれも逮捕される可能性が出て、選挙は普通の人が主体的に関われるものではなくなりました。それと中選挙区制とあいまって、選挙は、役所が管理できる中間団体が推薦した候補者だけが有利になるシステムができました。
さらにそれを監視するシステムとして、民間の「選挙粛正同盟」というものができて、これが後に大政翼賛会に化けます。
戦後GHQが選挙運動規制を、民主主義を妨害するもの、と選挙規制を撤廃させるのですが、1950年、日本社会党の議員の発案で、再び厳しい選挙規制が息を吹き返します。さらに高度成長期に団地を舞台に公明党と共産党のビラ合戦が過熱化したり、いろいろな事件を経て、1980年頃まで選挙規制はどんどん増殖する一方の歴史でした。
そこに風穴開けたのが1995年の政治改革とマニフェスト運動で、衆議院議員選挙は文書規制が大幅に解禁され、地方選挙では、10年ほど前に、首長選挙だけビラ配布が解禁されるようになっています。

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