5/11 来年度からの介護保険改定の基礎データがまとめられる
来年度から全国の自治体で改定が行われる介護保険の基礎データとなる、「朝霞市高齢者等実態調査」のサーベイ調査(いわゆる「アンケート調査」)の数値の集計データがまとめられ、11日に開かれた「高齢者福祉計画及び介護保険事業計画推進会議」で確認されました。
私は委員でないので、同会議を傍聴してまいりました。
調査は、①要介護度1~5以外の高齢者、②在宅介護の利用者、③現役世代、④介護事業所、⑤ケアマネージャーを対象に調査が行われています。
以下、調査報告書の概要の特徴を書き出しています。
①の高齢者への調査では、
・在宅介護への希望が強まっている
・介護をしている人のなかでは、介護の体力的・精神的・時間的負担、見通しが立たないこと、困ったときの相談先、自分が具合の悪いときの手助けに不安を感じている。
・外出は減っていると答えている高齢者が増えている。
・外出手段は、徒歩7割、電車6割、自転車4割、バス3.5割、自動車3割という順で、交通の便が悪いことを生活しづらい理由として挙げている人が5割。
・生きがいのない人が2割、生きがいのうち、趣味、孫がそれぞれ2割。
・地域活動に参加したいが、していない理由は無回答が多い。
・親族以外の困ったときの相談相手は、4割がいない、2割ずつが医師と市役所等。町内会や民生委員は6~7%
・認知症対策は認知度が低い。
・介護保険料の負担感は強い、やや強いで7割。
②の在宅介護利用者の調査では
・家族介護を受けていない人と毎日受けられている人がともに3割。介護者は半分が子、3割が配偶者。
・家族介護の内容は、家事、食事の準備、生活面での必要な手続き、外出の付き添いが多く、必要性では、移送サービス、外出同行、掃除洗濯、買い物などにニーズが高い。洗濯掃除や買い物では、高齢者の世帯人数によって大きく変化する。
・介護者は無職との回答が多く、主婦によって担われている。
③の現役世代の調査では
・介護者の負担感は①の調査と同様の傾向で、精神的負担だけ低い。
・介護の負担では、本人の介護度の悪化、自分の健康の次に、経済的な負担が心配と答えている。
・抱える課題に対しては、勤務先に介護に対応しやすい制度づくりや職場づくりを求めている。
④の介護サービス提供事業所に対する調査では
・サービスの撤退・縮小を考えているところは少ない。現状維持が大半。
・事業継続では、従事者の確保の多さ、事務作業の多さ、従事者の資質向上に困難を感じている。
・利用者の確保策は、法人内で情報の共有が半分、事業所のPRが3割。
・職員確保対策では、勤務時間の制約を調整したり、同じ法人内で融通しあっている。
・質の向上では、人材育成、経営理念の徹底、地域ボランティアとの連携、従業員の労働条件などが上位。
⑤のケアマネージャーへの調査では
・実務経験5年以上が半分以上
・不足している介護保険サービスとして、訪問介護、通所リハビリ、夜間対応や定期巡回随時対応型、訪問リハビリなど。
・介護保険以外のサービスでは、外出同行、移送サービス、見守り、ごみ出し、集いの場が不足している。
・行政には、集いの場やボランティアの受け皿、外出の支援などを求めている。
・医療と介護の連携では、連絡方法、情報の共有、相互の役割理解、面識がないのすべての質問項目で高い回答がされている。
という傾向の結果が出ています。
そのまとめとして原案では、
・高齢者の単身化、高齢者だけ世帯を想定した対策が求められる
・転倒対策が重要
・介護者自身の高齢化に対応した緩和策が必要
・外出頻度を上げることが課題
・生きがい対策として、人との関わりを増やしていくことが必要。
・地域コミュニティーへの相談機会を増やすことが必要。
・認知症対策への認知度が低く、孤立化しやすいことへの対策が必要。
・施設入所の希望が高いことへの対応策と要介護予備軍の減少策が必要。
・不足している介護保険サービスの整備が必要。
・仕事と両立を意識した介護者支援が必要。
・現役世代への市の施策への認知度が低い
・事業者の情報交換・共有が重要。
・ケアプランをサービス担当者会議で活発な意見交換を行い質を高める。
ことなどが必要とまとめられています。
●介護保険サービス外の要介護者等の支援の仕組みが必要ということを痛感します。また相談機関として、公的機関に集中している問題があるものの、安易に町内会や民生委員にその役割を増やすことしか提案されていないことは、話が不足していると思います。
様々な市民活動などの活性化や支援などにより、相談できる場所を多元化して、どこかにひっかかるような仕組みが必要だと考えます。
外出支援も重要で、買い物、人との交流、通院などと自宅をどう結んでいくかということを、部署を超えて検討してほしいし、交通機関の維持経費と、介護度の悪化防止の効率性との比較をしながら、必要な整備を考えていくことも必要だと考えています。
介護保険料と経済的な負担の話は悩ましいところです。朝霞市の介護保険料の水準は高いとは言えません。一方で、何かあったときに満足度の高い介護が提供される確信が持てないことが問題だと思っています。
●この調査の妥当性については、予備調査がどうであったかということによるかと思いますが、一つの今後の政策決定の重要な論拠となります。介護事業者等にも影響が大きく、市民ニーズを先取りしたサービス形成ができる可能性もあることから、調査結果を、総合計画策定のようにインターネットに早急に公開することが必要だとも考えています。
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