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2017.04.20

4/18 衆議院の定数是正が複雑すぎて憲法第15条の目的が果たせません

昨日衆議院の選挙区の一票の不均衡を是正させる第三者機関が答申をまとめました。朝霞市の属する埼玉県第4区は変更はありませんでしたが、お隣のさいたま市に関係する選挙区はすべて細かい境界線変更が行われ、その市や区に住んでいる人はどっちの選挙区に属するかわからない結果となっています。

また、この検討会は、「市の分割は解消していく」という目標があったにもかかわらず、県内では、熊谷市、鴻巣市、春日部市、ふじみ野市などに見られる選挙区の分断は解消されませんでした。こんなに市町村が分断されている状態だと、どの有権者が誰に投票したらよいのか全くわからない制度となっています。選挙は憲法第15条の国民による公務員の任免権の一環として行われます。1票の平等のためだけに誰を任免しているのかわからない選挙制度が妥当なのか、考えなくてはならないことがあります(詳細は続きを読む以降に書きました)。

今回の定数是正は、「0増」と定数を減らすだけの前提から始まっているので、都市部は定数を増やさずに選挙区人口を一定の枠内に抑えなくてはならなかったことが、ちまちま境界線変更をやってなんとか数をおさめて、より複雑な選挙区制度になったと思われます。
国会の定数を減らせ減らせと神学のようになっていますが、衆参あわせて700を400ぐらいにする提案なら意味がありますが、5や10をちまちま減らしても、全然国会の効率性には影響しません。かえって選挙区がおかしくなって、有権者が混乱するようなことが起きるなら、「0増」にこだわらない定数是正をするべきではないかと思います。

●私は、いくらやっても定数不均衡が是正されない現状と、国政選挙は多くの有権者が政党名を見て投票している現状と、政党内部の議員に対する教育・統制・合意形成の機能を強化するためには、政党別議席配分は比例代表制で行う選挙制度にすべきではないかと思います。
これまで、一番まともな議員が選ばれた選挙制度を振り返ると、1998年までの参議院比例代表制で、政党が一方的に決める名簿という非民主性はあるものの、アイヌ民族や、研究者からスカウトした人、帰化人など、日本の選挙文化のなかでは政治家にすることが難しい人を国会に送り込むことが難なくできました。
比例代表制はどの政党も簡単には過半数を獲得することが難しくいデメリットを強調されますが、しかし、選挙運動は、あれかこれかで敵対する関係のなかで行われなくなるので、政治家どうしの合意形成がしやすくなります。ここ30年ぐらいの政治で最も生産性が高かったのは、自社さ政権だったという説もあります。

●選挙は何のために行われるのか。その根拠は、憲法第15条の公務員の任免権だと思います。つまり有権者が自分が何を選んでいるのか明確にわかる選挙制度でなければ、憲法第15条の目的は果たせないことになります。

日本国憲法第15条
第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

私も一票の価値はできるだけ平等が望ましいと考えますが、一般人にわかりにくい選挙区編成をしてまで、一票の価値を平等を優先すべき価値とは思いません。

最近、極端な一票の平等を求める「一票の平等を求める国民会議」という運動体があり、護憲派で有名な伊藤真弁護士が先頭に立ち、どういうわけかその反対にいるような小泉構造改革の提灯持ちの有識者が加わって煽っています。伊藤弁護士は、きょうの毎日新聞にも「行政区画にこだわらず」とコメントしています。そしてこの団体は選挙区割の案を示していますが、最大1.6倍以内に納まるようにと、全国各地、県境も市境も関係のなく切り刻んだ選挙区を提案しています。1票の平等だけを考えるとそれでいいのでしょうが、それだけで選挙が良くなるのでしょうか。

今回の答申を読むと、まず最初に札幌市の中心部と南西部を選挙区とする北海道1区の選挙区割が書かれています。以前は、「札幌市中央区、西区、南区」の一行で書き切れましたが、今回、北区に属する札幌駅北口周辺地区が編入され、その住所の記述だけでA4版の答申書の4頁にもわたります。それを全部目を通さないと、札幌駅周辺の北区の住民はどちらの選挙区かわからず、見かけるポスターやビラと、自分の投票できる候補者が違うということが起きてきます。これでは錯誤を起こしやすい地域の住民は、憲法第15条の目的を果たせません。

近隣では、ふじみ野市がそうで、旧大井町は所沢市と同じ選挙区であるため、旧大井町がどこにあったのかわかる人にしか、投票所入場券が届いてみないとわからないようなところがあります。

選挙区制度を採用する以上、有権者は自分の選挙区がどこに所属しているのか理解して、候補者を吟味できる環境がなければ、憲法第15条の公務員の任免権にもとづく選挙なんかやる意味がありません。数学的には、一票の平等はわかりやすい指標ですが、有権者が選挙をやる意味を理解してもらうことより、一票の価値の平等の完全性が優先するとは、思えません。

21世紀に入ってから、都会と地方での選挙の傾向に差はなくなってきていて、定数是正を怠ったがために政権がありえない方に行ったという選挙結果はありません。小選挙区制であれば3倍ぐらいの定数不均衡までは、そこまでの結果は出ないと思います。

「一票の平等を求める国民会議」の賛同人名です。何か感じることはありませんか。数人の例外を除いて、小泉政権時に新自由主義的改革をガンガン勧めた審議会の委員だったような人物だらけです。自治体の単位をぐちゃぐちゃにしてまで、地域性とか地域の要望と関係なく、いったい誰が出ているのか当日投票所に行くまでわからない有権者がいっぱいいて、投票所でメディア対策に成功しただけの政党の中から選択され選ばれる政治家が増えた方が、自分たちにメリットがある、と判断している人たちと思っています。

荒井 寿光 元内閣官房・知的財産戦略推進事務局長
池田 裕彦 弁護士/大江橋法律事務所
泉 徳治 元最高裁判事・弁護士
伊藤 真 伊藤塾塾長・弁護士
岩倉 正和 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授・弁護士/西村あさひ法律事務所
大宅 映子 評論家・財団法人大宅壮一文庫理事長
岡田 甲子男 アリアケジャパン株式会社代表取締役会長
奥谷 禮子 株式会社ザ・アール社長
勝間 和代 経済評論家
角川 歴彦 株式会社角川グループホールディングス会長
川本 裕子 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授
北 修爾 阪和興業株式会社社長
久保利 英明 弁護士/日比谷パーク法律事務所代表
黒田 健二 弁護士/黒田法律事務所代表
古賀 茂明 元経産省官僚
頃安 健司 元大阪高検検事長・弁護士
三枝 成彰 作曲家
櫻井 よしこ ジャーナリスト
佐々木 かをり 株式会社イー・ウーマン社長
すぎやま こういち 作曲家
武藤 佳恭 慶應義塾大学環境情報学部教授
田中 克郎 弁護士
田中 良和 グリー株式会社社長
田辺 克彦 弁護士/田辺総合法律事務所代表
田原 総一朗 ジャーナリスト
出口 治明 ライフネット生命保険株式会社 会長兼CEO
戸松 秀典 学習院大学法科大学院教授
中村 修二 カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授
中山 信弘 東京大学名誉教授弁護士/西村あさひ法律事務所顧問
長嶋 一茂 野球評論家
二宮 清純 スポーツ評論家
野村 修也 中央大学法科大学院教授弁護士/森・濱田松本法律事務所
廣中 平祐 数学者。フィールズ賞受賞
堀田 力 元検事・弁護士・財団法人さわやか福祉財団理事長
堀 紘一 株式会社ドリームインキュベータ代表取締役会長・評論家
堀 義人 グロービス経営大学院大学学長
升永 英俊 弁護士/TMI総合法律事務所
三木谷 浩史 楽天株式会社会長兼社長
宮内 義彦 オリックス株式会社グループCEO
村上 光鵄 元東京高裁裁判長・元京都大学法科大学院教授・弁護士
村上 隆 現代美術家
森 稔 森ビル株式会社社長
屋山 太郎 ジャーナリスト
吉田 邦夫 東京大学名誉教授
鷲尾 悦也 (物故)元連合会長
渡辺 章博 GCAホールディングス株式会社 代表取締役社長

●一票の価値の問題もありますが、都市部では投票率が低く、単純にやると、与野党の勢力が拮抗している大分県や北海道や三重の最多得票落選者より、埼玉県や千葉県や神奈川県の当選者の方が得票が少ないという現象もあります。有権者とコミュニケーションを取り選挙の審判を受けるという関係性に着目すると、有効投票数に着目した1票の平等も考えなくてはならないように思うところもあります。

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