« 2/24 市議会の一般質問に20人エントリ | トップページ | 3/4 来年度の朝霞市の仕事の変化を説明します~4日13:30~産業文化センターで »

2017.03.03

3/2 人が不幸になるのは因果律か

埼玉新聞によると、県議会自民党は、遭難者を救助して、財政が破綻した山岳県はないというのに、都会の県議会がこんな偽悪趣味な条例を作ろうとしています。

「遭難者から費用徴収 県防災ヘリの救助有料へ 安易、無謀な登山防止」

金額は命の重みに比べれば大したことはありませんが、この条例を作った人たちの、生存権に対してどのような価値観をもっているかよくわかろうものです。
そんな格好で登山するの、と私も思うことはありますが、一方でチベットを歩き回った川口慧海師などは、そうした極限のなかで、身分を隠して登山したことが、世界に未開の地に住む人々の姿を今に伝えているところもあります。
何より、記事では、救助に当たっている当事者から懸念が示され、私もそうだと思います。

条例を提案した自民党県議団は、いささか観念を振り回し過ぎなのではないかと思います。

●この一件は議員提出条例のありようについて考えさせられるものがあります。自治体議会が怠惰を貪っているのではないか、という有権者の疑問に、全国各地の議会人が改革に立ち上がっています。
そのなかで、議会が受け身の存在であることを克服しようとして政策条例づくりに積極的な動きが見られます。このこと自体は歓迎です。
一方、議会の改革に積極的な片山善博元総務大臣は、議員提出条例の数を自慢する風潮に一席を投じるコラムを自治日報に書いたことがあり、私も目をはっとさせられました。市民の自由を奪う可能性がある条例を、いくら作ったか競い合ってよいのか、という内容です。
自治体議会が市長が提出した条例や、市民が提出した請願や陳情の審査という受け身の仕事を、しかも英雄をつくれない「合議」という手段でしか実現できない、受け身の政治の場であることを直視し、その良さを残したありようを考えなくてはならないように思います。
この埼玉県議会の議員提出議員には、そういう危うさを感じさせるものがあります。少なくとも生命に関わる議案ですから、自民党やその同調者だけの賛成で通すようなことは慎重になってもらいたいと思います。

●遭難者自身が問題あるはずだ、という考え方を展開していくと、最後は救急車を呼ぶのも有料化される可能性があります。山岳登山より自己責任が問われる、決闘や暴力団の抗争、慢性疾患の放置、恋愛のもつれによる刃傷沙汰に、無料で救急車を呼んではならないという話に展開するのではないかと思います。その場合、小金井でストーカーに殺されたアイドルのような人は、多分、生きていなのではないかと思います。
人が不幸になることは因果律だと考える、ある種の自民党らしい考え方です。

2017年3月2日(木)
遭難者から費用徴収、県防災ヘリの救助有料へ 安易、無謀な登山抑止

 県議会最大会派の自民党県議団が2日、県の防災ヘリコプターによって救助された登山者から燃料費分の手数料を徴収するよう改める「県防災航空隊の緊急運航業務に関する条例」改正案を開会中の2月定例会に議員提案する。

 「救助の有料化」は安易な登山や無謀な登山を抑止するのが目的。改正されれば、自治体運航の防災ヘリに手数料が設定されるのは全国初となる。自民は県議会で単独過半数を占めており、改正案は可決される見通し。2018年1月1日からの施行を目指す。

 改正案では、県の防災ヘリが県内の山岳で遭難した登山者(林業従事者や山岳救助隊員を除く)を救助した場合にのみ手数料を徴収する。

 県の防災ヘリは現在、2機種3機体制。1時間の飛行で360~550リットル(1リットル120円)の燃料が使われることから、1時間で救助されるとの想定の下、登山者から燃料費としておおむね5万円程度の手数料を徴収する。

■過去には徴収断念

 10年7月、秩父山中の遭難者の救助に向かった県の防災ヘリが墜落し、乗っていた県消防航空隊員ら5人が死亡した。

 事故を受け、自民は当時、知事が県防災ヘリの帰投命令や活動停止命令を出せる条項を盛り込んだ同条例案を同年12月定例会に提出し、可決。

 当時も手数料の徴収が検討されたが、登山者の減少や秩父地域の観光への影響などを懸念する声が自民団内から上がったことや、総務省消防庁にも全国的な統一ルールを作る動きがあったことから、見送った。

 ただし、条例には「県が山岳遭難などの発生抑止の観点から、緊急運航に要した費用の遭難者らによる負担や、その他の必要な方策について早急に対応する」との付則を付けた。

 今回の改正案を取りまとめた自民県議団・政調会長の田村琢実県議は「今でも軽装備などの安易な登山、無謀な登山が少なくない。防災ヘリの安全な運航と、そうした登山を抑止するために改正が必要だと判断した」と、受益者負担の観点から一定の負担を求めることにした。

■要請は年11~34件

 改正案では手数料を徴収するケースは県の防災ヘリが県内の山岳遭難者を救助した場合に限定。

 さらに飛行経費などを除き、燃料費分だけの徴収にすることで国土交通省から「航空事業法には抵触しない」との見解が示されたという。消防庁にも統一ルールを策定する具体的な動きがないことから、改正に踏み切る。

 県の防災ヘリで活動する県消防航空隊員は市町村の消防本部から派遣されており、操縦士は民間のパイロットが務めている。

 県の防災ヘリによる山岳遭難者の救助は、地元の消防だけでは難しい場合に要請される。10~15年度までの山岳遭難による救助の出動要請は11~34件で推移=別表参照。出動にかかる費用は県が負担している。県消防防災課は「費用は山岳遭難のケースによってさまざま」という。

 上田清司知事は取材に「ヘリに限らず、安易に救急車などを呼んだりすることに対し、一石を投じることにもなる」とする一方、「抑止が効き過ぎて、ヘリを呼ばない、呼べない状況が起こった時どうするか。しっかり議論してより精緻な条例案を作っていただきたい」と話している。

|

« 2/24 市議会の一般質問に20人エントリ | トップページ | 3/4 来年度の朝霞市の仕事の変化を説明します~4日13:30~産業文化センターで »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 2/24 市議会の一般質問に20人エントリ | トップページ | 3/4 来年度の朝霞市の仕事の変化を説明します~4日13:30~産業文化センターで »