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2016.08.14

8/12 自治体のLGBT政策を当事者議員から学びました

2015年の統一選の渋谷区長選で、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)政策が主流派候補の政策となり、一気に社会的認知が進みました。
日本経済新聞では、自民党と公明党が、この秋の特別国会にLGBT支援法を国会に提案する、と方針を決めています。生活困窮者や、消費者保護の政策のように、日常生活に関与する政策は、おそらく自治体にも政策実施を振ってることになる可能性が高くあります。しかし今まで強い差別のもと、可視化されていない当事者や問題であっただけに、急に振られてもどう考えてよいかわからない政策になろうかと思います。
当事者である中野区議の石坂わたるさんを講師に勉強会を設定し、東上線沿線、埼玉県内の市町村議員など19人の参加を得て勉強会を行いました。

内容としては、LGBT+様々な性なマイノリティーがいるなかで、定義が難しく、定義や政策の視点は変化しながら前に進んでいくことになろう、婚姻に関しては民法改正が必要になり大がかりになる、婚姻は国の政策変更が必要、自治体としてできることは同性パートナー間の相続・医療・契約委任など男女間夫婦でできることの権利を公的に誘導したり保証したりすること、公営住宅の課題、人権誘導や権利擁護などの施策が可能ではないかと指摘されました。
またやり方を間違えると差別をさらに強めてしまうところもあるので、やり方は注意が必要ともアドバイスを受けています。

●朝霞市は、LGBTが受け入れやすいコミュニティーがある東京に近いため、他のいくつかの政策課題と同様、東京が機能を代替してしまうことで、地域での政策の改善が、他の地方都市より遅れる可能性があります。

●夏先、渋谷区の同性パートナーシップ証明制度の利用しようとした当事者の同級生の証人として、私は手続きに立ち会いました。大切な機会をいただきました。男女間の婚姻とほぼ同等の法的効果を民法の契約によって積み重ねて、パートナーとしての証明を受ける手続きを行います。相続、事務委任、成年後見と3つの公正証書手続きが必要で、かなりの手間を必要とするなぁ、と実感したものです。

●中野区議の石坂さんは、2015年統一選で応援した政治家の1人です。

●詳細は以下のとおりです。

【講師からの内容】
・LGBT・性マイノリティは多様であり、定義が難しく、定義やそこから展開される政策の視点はこれからも変化していくだろう
・当事者がマイノリティであり多様なところから価値観は固定しにくい。性同一性障害の当事者は「障害」と定義することで性的嗜好と見られることから切り離して社会的な公認を受けたが、その他のLGBT・性マイノリティの当事者の多くは、障害と定義されて人権を侵害されてきた歴史がある、ことなど。
・性マイノリティーの人口は、調査によってばらつき人口の1~7%と分かれているが、当事者の実感としては2~3%、クラスに1人ぐらいと言われていて、その多くが孤立した状況におかれている。
・性マイノリティーが、芸術家や表現者に多いかのような言われ方をするが、おそらく独立自営で仕事できる職種の人がカミングアウトしやすいということではないか。そうでない人も多い。パートナーシップ証明書を実施している自治体でも、独立自営で仕事してカミングアウトしやすい人にしか情報が届いていないかも知れない。
・自治体政策としての課題は、婚姻の定義を変えられないことや、連れ子や養子のことを考えると民法の包括的な改正が必要になってくる。(類推)解釈による解釈改憲ができない場合は憲法第24条の改正も必要になるが、一方で同条は保守派によって家族の規範性強化の改正対象になっており難しい。
・自治体としてできることは、住宅支援、医療が必要になったときや死亡時のパートナー間でのパートナーとしての権利保障、人権保護などが考えられる。
・権利保護に関する政策は、渋谷区のように条例で定める方がよいが、議会で通すことが難しい場合、行政による執行権のなかで実現を図るしかない。
・権利保護に関する政策は、パートナー間の民・民の相続・成年後見・事務委任の契約を婚姻と同等のものに重ねて承認していくので、経費がかかりすぎる。
・住居に関する支援としては、公営住宅の入居が課題。バートナーシップ証明もあるが、中野区では高齢者や障害者の民間住宅の入居支援の枠に、性マイノリティーを対象として組み込んだ。
・人権宣言的なものにしたり、人権救済の対象と明確化している自治体もある。男女共同参画に組み込むところもあれば単独の問題として取り上げる自治体もある。
・打ち出し方を間違えると、差別や偏見をさらに強めてしまうので、(中野では)できると思われる政策から外堀を埋めていった。
・カミングアウトはなかなかできない。(社会的抑圧が強く)当事者がカミングアウトした当事者に批判的な言葉を投げかけられることもある。
・秋に自公両党がLGBT支援法を打ち出すと聞いているが内容はわからない。これまでの路線だと、自民党は理解促進と啓発中心だがその他の政党は支援策に踏み込んでいる。野党は差別解消に力点を置いているが、その後の運用を考えると、対決型議案にせず、見直し条項を入れながら全会一致に近い状態で通してほしい。
【参加者から出された意見・質問】
・東京都の場合、オリンピックで人権政策として取り組んでいる。教育委員会が文科省の方針を受けて前向きになっているが、行政部門に課題が。
・自治体の相談対応が、男女共同参画、人権、住まい、福祉とたらいまわしにされる。なかなか問題の入り口にたどりつかない。
・当事者が政策を進めるということで一本になれるのか。
・憲法第24条をどう解釈するかが課題になる。
・HIV感染症対策の考え方の質問。
・職員研修のあり方への問題意識。
・当事者としての権利主体としての意識。

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