3/3 財政民主主義の観点や来年度新規事業のチェック~議案への質疑:予算編
3月定例市議会の議案の、本会議での議案質疑が3日9:00~22:50に行われました。
2016(平成28)年度予算に対しては、6会計に対して8議員から行われました。
私は、一般質問に関して、予算の情報公開、景気判断と予算規模、市の借金や貯金の内容、税収見込、新規事業の内容などに質疑をいたしました。
また私の他には、共産党の石川議員が2014年度にカットした福祉サービスの復元の内容や考え方、公明党の利根川議員が財政再建のあり方、田辺議員が総合計画の串刺しの理念がどう反映されたのか、などに質疑を行っていて、私が聞こうとしたこと、問題意識に思っていることに近い質疑をおこなっていただきました。ほかには、遠藤、大橋正好、山口、小山議員から質疑が行われています。
今回は共産党の3議員が、予算の細目ではなく考え方に絞って質疑を展開したのが印象的でした。
田辺議員の指摘で気づきしまたが、大型公共事業に関する私の質疑に対して、ファシリティーマネジメント(公共事業の総合管理)の言葉が出てこなかったのが失敗でした。目だし事業に、ファシリティーマネジメントの記載が前置され明示されることが残念でした。
本会議での予算に対する議案質疑に形式的規制があるなか、実際にはどこまでに展開するかは、議員全員に問題意識を共有する、市長在席のところで問題提起する、議会中継や議事録システムに掲載する、という観点との兼ね合いで難しい模索です。
全体規模の予算委員会がないこと、予算の根拠条例・要綱の参照情報や積算など詳細説明文書が提供されていないことなどで、議論が膨らんでしまう部分はあると思います。
●私が行った詳細な質疑と、その答弁の内容は「続きを読む」以降をご覧ください。
【第4号 平成28年度一般会計予算】
〈予算編成と情報公開〉
Q.条例化する必要のない行政事務は、予算に書き込むことで役所が執行する権利を得るので、予算は強大な権限を持つ。その予算案が、2月下旬の議会運営委員会で議員に提示されるまで役所の外に出てこない。(国のように)予算編成過程の情報公開を行うべきではないか。
A.当市は、事務事業評価を行い、実施計画の策定、事業採択、予算編成方針の通知、予算要求、査定、予算の確定が予算編成過程。この過程の情報公開は大切なのでそのための研究をしたい。事後においては予算編成方針や予算要求額と確定額の対比表はホームページで公開している。
Q.予算書に書かれた金額が、どのようなサービス形成をするのか積算根拠や内訳などの情報を提供されるべきではないか。
A.予算書のなかでは人件費の人員数などは書かれているが、詳細な説明資料は作成していない。現在の財務会計でそうした資料の作成はできないが、他市町村の事例などをみて調査研究したい。
〈予算のあり方〉
Q.総務省の地方財政計画では0.6%増となっているが、朝霞市の場合3.5%・13億円増の予算拡大になっている。中東や中国の経済収縮が不安定要素になっているなか、拡大予算で大丈夫か。
A.景気には十分留意したいが、朝霞市の場合、社会保障関係経費が増加したり、国の補助事業による事業が増えているなかで拡大している。
Q.財政の安定性を強めるために、中期財政計画を策定して、サービスがカットされたり復活したりすることは回避すべきではないか。
A.毎年策定する向こう3年の実施計画に合致させながら財政推計を策定している。大型公共工事などはどのくらいかかるか不明なので、財政推計としたい。
〈資産・負債の異動〉
Q.財政調整基金の見込みは。利根川議員の質疑の答弁で、15億円の到達が目標としたが満足点ではないとした。西東京市が財政再建目標として「標準財政規模」の10%(22~26億円)という基準値を打ち出しているが、どう考えるか。
A.2015(平成27)年度末で15億円に到達する。2016(平成28)年度で前年度繰越金を4億5000万円と記載しているが、その実現のためには同額を財政調整基金に積むために9億円の前年度繰越金を要する。
Q.市債(市の借金)の残高の見込は。再来年度以降の新規の借金は現時点ではわからないので、来年度以降ないものとしてどのような数字になるか。
A.2016(平成28)年度末で289億円で、その後新たに借金をしないとすると2017年度末で261億、2018年度末で233億、2019年度末で206億、2020年度末で179億円となる。
Q.これに新たに毎年15~20億の新規借入が加わるので、2020年度末で250億円ぐらいの残高に低下していくように思われるが、それにしても差額10億円近くの借金返済と、4~5億円の財政調整基金の復元であわせて15億円が負債の整理や貯金の積み増しに使わざるを得ない事情を市民に説明していかないと、なぜ市役所がこんなにお金がないか市民は理解できないのではないか。
A.その必要性は認識している。
Q.今年起こす19億円の借金のうち、国が地方交付税で返済の財源を手当てされる分は。
A.合計11億8903万円で、事業債では5億8603万円、(地方交付税の肩代わりで借金する)「臨時財政対策債」では6億300万円。
Q.臨時財政対策債をはじめ、国が地方交付税で返済の財源を手当してくれる借金はありがたいが、地方交付税の計算式を変えて不交付団体になった場合、自治体の歳入のなかで返済しなければならなくなる。臨時財政対策債は借りなくても返済財源は手当してくれるので、借りない工夫などしないのか。
A.現金不足の逼迫は深刻で、市民サービスを著しくカットしないためには活用せざるを得ない。
Q.予算書には現れない土地開発基金の出入りは。
A.基金の保有地のうち事業化したものから636㎡1億0105万円を一般会計に買い取らせ、新たに道路予定地として535㎡9993万円を購入する。
Q.日銀のマイナス金利で、市中金利が大幅に低下しているなか、市債の金利を上限4%としているが、議会に授権させるには高すぎる話ではないか。実際に借りるときには金利の入札などで市中の最低金利が適用されているが、釈然としない。
A.借り換えを必要とするものもあるので、弾力性を持たせてほしい。
〈歳入〉
Q.総務省の「平成28年度の地方財政の見通し・予算編成の留意事項」という通知文では、市町村の個人市民税所得割1.1%増、法人税割6.4%減、固定資産税1.3%増と案内しているが、朝霞市の予算は少し違うがどのような事情か。
A.正確な予算計上を期するために、毎月勤労統計調査など実際の結果に近づきやすい統計を活用して予算に計上している。その結果、個人市民税は課税所得者が増える一方税収としては0.1%減、法人市民税は7.5%減、固定資産税では家屋の新築増525棟から2.6%増と計上した。
Q.つまり、家屋が増えたり納税者が増えて固定資産税は増えた、1人あたりの所得は減少、法人税は国がカットした6.4%を上回る部分は企業がなくなったり企業の所得が低下した、ということか。
A.そうである。
Q.地方交付税の特別交付税が概算要求より急増しているが。
A.国からの交付結果を見てみないとわからない項目なので、過去の実績から計上している。
〈歳出〉
Q.大型公共工事の設計費など、目だし事業が多いが、市としてその必要額など内部資料であったとしても計画化されているのか。
A.そういうことはしていない。各部で計画化している。
Q.オリンピック景気にぶつけるような新築計画など見直さないのか。
A.必要性があるので進めたい。
Q.憩いの湯(ゆ~ぐうじょう)の解体経費が高いが。
A.分別収集の手間でコストが上がっている。
Q.職員研修の見直しでは。
A.平成25年からやめていた自治大学校への派遣や、税務研修などを復活させた。
Q.住民票のコンビニ交付に関して前の小山議員の質疑でそれなりのお金がかかるとうかがったが、現状の住民票交付件数、コンビニ交付の前提となるマイナンバーカードの交付数はどうか。また住民票交付に関してコンビニ店員が介在して情報漏洩することはないのか。
A.住民票は年間7万3721件交付している。マイナンバーカードは切り換え申請が1万0331件申請され、現在までに2951件交付されている。コンビニ交付にあたっては、多機能コピー機で本人が直接操作するため、コンビニ店員が介在することはない。
Q.障害者ふれあいセンターの賃借料が高いので見直すよう委員会審議で話になっているが今回の予算ではそのまま出てきている。賃料の根拠がよくわからないので再度説明願いたい。
A.建設費4億2000万円の利回り10%と設定して年4200万円としている。契約期間は20年である。
Q.2016年度から保育園に入る児童に200人を超える待機児童が発生し、家庭保育室でも収容できない状況のなか、保育園整備が不可欠の前提がある。保育園入所希望者は12月3日締切段階で見えているはずだが、予算総計主義の前提のなかで、予算として計上しなくて問題ないか。
A.新たな施設整備が必要と考える。安心子ども基金の活用などを考えながら整備を進めたいので補正予算として検討してきたい。
Q.地球温暖化対策費となっているが、市内全体の電力量マネジメントはできるのか。
A.エネルギー会社から情報提供を受けられないが、検討していきたい。
Q.労働費があまりにも少額だが、勤労者の住むまちとして勤労者保護行政をどうするのか。
A.ハローワークが市庁舎横に移転してくるので連携しながら事業を進めたい。
Q.都市計画決定をするというが、その内容は議会を通らないのでここで確認しておきたい。
A.5年に1度実施する。今回は、基地跡地利用計画の改定、根岸台5丁目土地区画整理事業、都市マスタープランや第5次総合計画で検討している旧第4小学校、254号線沿線、積水化学工場跡地なども検討して決定する。
Q.消防団の退団者に対する報償金が改善されたときに、消防団支援法の趣旨をふまえて在団者の報酬も改善することを問いかけたが、その後どうなったか。
A.県内水準より高いので現在のところこのままである。消防団詰所の整備のほか、訓練・装備を充実して活動環境を改善したい。
Q.学校給食民間委託するのに、予算が膨脹しているが、行革効果がないのではないか。
A.初年度は混乱をなくすために年度途中で委託を開始するので、定年退職者の退職時期3月末までの人件費と、委託先の正規職員人件費分が重複するため。それがなくなると3年間で450万円、年平均143万円の行政改革効果である。
Q.日本語支援が定着したが、ここのところ朝霞市に住む外国籍市民の国籍が多様化している。それに対応できているか。
A.現在のところ問題はないが、国籍の多様化は課題だと考えている。生徒の孤立を防止することが問題回避に重要なので取り組みたい。
Q.博物館などで戦後史、基地やベッドタウン化などの蓄積は検討したか。
A.必要だと考えている。
【第6号平成28年度都市計画下水道特別会計】
Q.総務省から公営企業会計への移行を求められているが、実施するのか。
A.平成29年度から着手して、32年度には移行したい。
Q.現金会計の現在は資金繰りだけでよかったが、これに資産・負債の管理、収支の管理が加わり硬直化するのか。
A.公営企業会計に移行を進める。
【第10号平成27年度一般会計補正予算】
Q.3月31日までの年度のなかで、3月24日に可決する予算を提出しても、実際には継続費や繰越明許費などで来年度に消化される。国が1月に決めた平成27年度補正予算による事業押し込みと、役所内の現金の事務ですぐ精算できる2015年4月遡及改定の人件費などを除くと、計上するのはどうなのか。また、実績にあわせて予算額を変えてしまうことは、PDCAサイクルという観点からは予算実績管理をわかりにくくしないか。
A.事業費の確定にもとづき100万円以上の予算額の減額を行っている。新たな財政需要の対応など、補正予算を行っている。
Q.財政調整基金を積んでいるが、年度末にあわててやる必要性があるのか。そのまま決算を迎えて、剰余金として処理する方が適切ではないか。
A.大幅に余っているものは、基金として処理しないと、剰余金や、平成28年度予算の前年度繰越金が安定しないために行っている。
Q.地方創生の財源で行う、アメニティーロード化事業は、追加の内容か。
A.アメニティーロード化事業だが、昨年度の実証実験の範囲ではなく、新たな調査であり、一方通行化すると決めて実施に向けて調査をするか、実施が無理ということなら新たな対案を提起するためのものである。
Q.福祉給付金の電算コストがかかりすぎているが、システムの工夫で抑制できないか。
A.国が全額補助されるので進めたい。
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