7/14 討論しない埼玉県議会
埼玉新聞によると、4選がけしからんのなんのと知事の道義的責任をわかりやすく攻める県議会自民党が何をやっているのかと言えば、民主主義の根幹に関わることの基本の無視です。
議会には採決のまえに各会(党)派から、賛成・反対とした理由を陳述する「討論」という時間を設けられています(本来はそれで採決を決めるための説得の時間のはずですが)。何で賛成したのか、何で反対したのか、わからなければ有権者としては思い込みだけでその会(党)派の採決の賛否にレッテル貼りするしかないからです。
ところが埼玉県議会は、自治体として国に意見書を挙げよという県民の「請願」に対して、県議会の自民党と公明党の判断で、討論をさせないと多数決で決めてしまっています。
①全会一致となることが前提でもないような案件の、採決の前の理由表明とも言える「討論」を、多数派だけで一方的にできなくするということは考えられません。
そもそも全国的には、討論が採決に向けての賛否の理由説明でよいのか、相手の賛否を変えるための議論の機会にしなければならないのではないか、と言われて、さらに「討論」の前に「自由討議」を入れようとしている流れのなかで、各議員・各会(党)派がどうしてその議案に賛成しているのか、反対しているのか、有権者にわからなくしてしまうような議会運営といのうは、県民をなめているとしか思えません。
②議会を運営するルールを変えるときは、可能な限り全会一致にするべきです。多数派が好き勝手に議論のルールを変えてよいなら、もはや議会は多数派が何でもありの世界になります。普通の自治体議会では多数派が好き勝手に議会の運営ルールを変えてよいなんて運営はしていません。驚くばかりです。
自民党が6割の埼玉県議会、議会改革以前の問題で停滞しまくっています。自民党のなかでも市議会議員時代には改革派だった人もいます。一日も早く会派離脱か、会派内の改革に奮起してもらいたいものです。
●選挙区制度にも問題がありそうですが、こういう県議会構成になってしまっているのも、4月の県民の判断なのだろうとがっかりするところもあります。
●昨日、埼玉都民に税金を課して新国立競技場の財源にしよう、なんて気勢を吐いている元都知事なんかもいるわけです。県議会で、討論をしないということは政治的主張をすることはなるべくしない方がよい、という価値観なわけで、そういう価値観であるかぎり東京都からはなめられた対応を取られるのだろうなと思います。
●市町村の自民党議員には議会の民主的改革に熱心な方もいます。そうした方が県議会に転出している方も知っています。県内自民党国会議員は30代が多く、おそらくこの前近代的な県議会の運営を認識されれば内心苦々しく思うのではないかと思います。しかし県議会自民党という場はどうしてこうなのか、情けなくなります。
2015年7月14日(火)埼玉新聞
県議会、請願10件の討論なし 4会派が抗議声明
県議会の民主・無所属の会と県民会議、共産党、改革の会の4会派は13日、「県議会における意見表明機会の喪失に対する抗議声明」を合同で発表した。過半数を占める自民党主導の議会運営に反発した形だ。近く県議会議長らに提出する。
4会派は、6月定例会に受理された10件の請願の取り扱いについて抗議した。
定例会最終日の10日の議会運営委員会(議運)で、請願に対する討論の機会を本会議で実施することを求めたが、「オスプレイについて十分な説明を求める請願」1件しか認められなかった。
同定例会には、国会で審議中の安全保障関連法案について国に意見書の提出を求める請願なども出されていた。しかし「国政に関する内容は討論すべきでない」などとの理由から、議運で本会議討論を認めなかった。
4会派は「国に対して意見書を出してほしいという県民の声を県議会が受け止め、それぞれの立場から意見を表明することは重要。本会議での討論が行われなかったことから、県民は知る機会を奪われた」と反発している。
請願に対する討論をめぐっては2011年9月定例会の議会運営委員会で「類似内容の請願が繰り返し提出され、同様の討論が繰り返され、効率的な審議が行われない」ことなどを理由に「原則請願の討論は行わない」との申し合わせを自民と公明の賛成多数で可決していた。
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