« 6/30 総合計画と景観計画にパブリックコメントを提出しました | トップページ | 7/2 公民の教科書の労働者の権利の扱われ方 »

2015.07.01

7/1 育休での保育園退所はあまり効果なし

もう夏です。

さて所沢市の保育園で、育休取得者が家に親がいるんだろう、という理由で、保育園を退園させる運用を始めました。これに対して該当する保護者たちは怒っていて、市議会でも問題解決せず、訴訟に展開されることになっています。

人ごとではないし、もし朝霞市でこのような対応がされたときにどうするか頭の体操の意味も含めて整理したいと思います。
訴訟という点では、自治体の裁量ということで敗訴する可能性が大きいのではないか。育休中ぐらい家でという論調も強いのですがそれには幼稚園児と比較してどうなのか、ということでは預けて問題ないのではないか、行政にとってこんなこと始めると、大した効果がないのに事務量だけ増えるのではないか、と考えています。

まずは合法、違法ということを裁判で争うことになっているのですが、違法性が認められずひとまず合法という判決になるのではないかと思います。行政訴訟とはそんなものです。
2002年以来、育休取得者を保育園から退所させても構わないとする厚生労働省通知によって、所沢市よりひどいやり方をしても否定されてこなかったので、違法とはならないと見ています。育休中は入れても合法、追い出しても合法、自治体の判断じゃないの、という結論になると思います。所沢市は育児休業が終了したときに、復園に優遇措置をするというので、ドライに追い出すだけの一部自治体ほど悪質性がないと判断されるのではないかと思います。
裁判所が違法だと判決を下すとすれば、今年度からの子ども子育て新制度に変わってもっともっと柔軟に入れるものに法的位置づけが変わったのに追い出すとは何事か、という論理しかありませんが、それを法的に言い切るだけの法律も通知も見られません。※両立支援に関わる転勤拒否など、裁判所の判断は冷酷です。
私はいささか訴訟に持ち込んだことには戦術的に失敗ではないかと見ていて、訴訟となったことで、行政の判断は裁判所での係争に棚上げされロックされるのではないかと思います。訴訟が続く間、行政が失敗したと思っても、りやめた、と決断できなくなるのではないかと思います。
私は、保育のような政策の問題は、裁判所に結論を委ねるのではなくて、行政の裁量や政治の判断として解決された方がよいように思います。そういうなかで、せっかく10月に所沢市長選があるので、保護者に問題意識が共有されて、連帯できるなら、現在の市政に厳しい制裁でも加えればいいのではないかとおもうのです。

今回、育児休業なのに育児しないのか、とモラルを言い募る議論が目立ちました。
この主張は一見最ものように見えますが、共働きではない人も、育休に相当する時期に、幼稚園に上の子を通わせているのですから、実は見えるものが見てないだけの批判だったりします。むしろ先進的な自治体は、産後の肥立ちを応援するような公共サービスづくりを始めています。

一番大事なのは、育児休業の強制退所が子どもにとってどのような影響があるかということだと思います。
母親と一体なのがよい、という議論もありますが、一方で集団生活に、出たり入ったりをすることが子どもにとってあまりよい影響を与えないように思います。幼稚園で同じことが起きた、と考えればそういうことではないかと思います。子どもにとって、保育士や子どもどうしとの人間関係、場合によっては通所する園も変わってしまうのはあまり好ましいとは言えないと思います。

待機児童がいるからこういう対応も仕方が無い、という議論があります。しかし、この育児休業で保育園を退所させても、待機児童問題にはあまり効果がないのです。
その理由として、
①育児休業は4月に終了するとは限らず、年度途中復園が増えて不定期に戻ってくる育児休業明けの保護者に対して、行政の保育園入所の事務は混乱する、
②育児休業取得者を締め出したとこで稼げる保育サービスの量はわずかで、よく考えるとそれは制度開始時にのみプレミアムが出てくるのみです。その後は復園者の入所と、育児休業取得者の退園とがまちまちの時期に相殺されて待機児童にシェアされて利用される分は出てこなくなる、
③これまで上の子の保育に多大な財政を使ってきたのに、これから保育コストが下がるところで復園がうまくいかなければ保護者は仕事を退職し納税者ではなくなる危険性もあります。そうすると保育にかけた行政コストを回収できなくなる、
などの問題を作り出す、などつまらない仕事や心配事が増えることになるように思います。
今、多忙な児童福祉行政にとって、一見良さげだけども、自己目的化する事務を増やすべきではありません。そんなヒマがあったら、社会福祉法人や、地主・不動産屋にかけあって、待機児童問題の解決という本筋の仕事に力を注ぐべきでしょう。

私は、行政や子どものことを考えると退所させずそのまま継続在園することが良いと考えます。
一方、保育現場も疲弊していて、できるだけ節度を持って保育園を利用してほしい、という意見を保育所側からお聞きすることもあります。育児休業中にどの程度まで保育所の負担を軽減した利用が可能か、自治体や保育現場で議論してあるべきところを模索した方がよいように思います。

|

« 6/30 総合計画と景観計画にパブリックコメントを提出しました | トップページ | 7/2 公民の教科書の労働者の権利の扱われ方 »

コメント

今回の時系列で3月に政策を発表されたことが一番の問題だと思っております。
それなのに市はマスコミに9月に政策を発表したとか誤魔化して対立を煽ってしまいました。
正直所沢では家族計画はこの先立てられないと言われているようなものです。
猶予期間もなくこの先突然政策を発表していくと自ら言っているようなものです

投稿: 所沢市民当事者 | 2015.07.03 09:19

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 6/30 総合計画と景観計画にパブリックコメントを提出しました | トップページ | 7/2 公民の教科書の労働者の権利の扱われ方 »