« 6/12 ふるさと納税制度の問題点を洗います…本会議議案質疑 | トップページ | 6/12 ふるさと納税の課題、公文書管理のあり方などをただす~本会議質疑 »

2015.06.15

6/14 埼玉県の子どもの貧困政策を聴く

Dscn630814日午後、浦和で埼玉自治研センターの公開セミナー「子どもの貧困と自立支援」を拝聴しました。講師は、PHP新書などで貧困問題の著書がある、大山典宏さん。

貧困問題を総合的に救済できるのは生活保護制度をとりまく、「適正化」と「人権」のせめぎあいを示し、そのなかで貧困対策三法として、生活保護法の改正という「適正化」重視、生活困窮者自立支援法という中間的なもの、子どもの貧困対策法という「人権」重視の政策が打たれた。この改正のなかで、自立支援のあり方はほとんど議論にならなかったことが問題と指摘。マスコミも「地味だから」と全く取り上げなかったことも報告されました。

続いて、大山さんが児童相談所勤務だった経験から子どもの貧困の話が紹介されました。親との摩擦でホームレスとなった17歳の少年と出会いながら制度的な穴から自立につなげられず親元返し、その後、18歳を超えたところでまたホームレスになって万引き「終わってしまった」と知った無力感の経験。
数字にも出ていて、相対的貧困率が上がっているわ、ひとり親家庭の貧困率はOECD加盟国で最低なのに、子どもの生活保護利用者数は絶対数からして減り続け、さらには保護されない家庭の方が深刻な貧困を抱えている現状などを示されました。

埼玉県として取り組む政策として、生活保護世帯の子どもの教育支援「アスポート」事業の展開を紹介され、不便であっても特別養護老人ホームという、他人が介在し、仕事も存在する場所で、同じ問題を抱える人たちどうしで集まって勉強していく意義を語られました。関係性が自立支援につかながっている、と力説しました。
この政策によって、埼玉県の保護世帯の高校進学率が86.9%から、97.8%まで上昇する成果を上げています。
また、最近では、18歳から20歳まで、親元にいては人生が台無しになるような人が、落ち着いて進学できるように、貧困家庭に対して住宅提供を開始して、これによって生活保護家庭の子どもの大学進学率が13.9%(東京都が40%、全国が20%)を24%に上げることができたことも報告がありました。

●埼玉県の貧困対策は先進的な取り組みだと言えます。フロアから市町村や教育との役割分担の質問が出たことに対して、大山さんは、役割分担といって仕事を押しつけたのでは解決には進まない、相手がやらなきゃと思うほど踏み込んだことをやっていかないと、改善には進まない、と話されたことが、事態の改善に向かって動いている現実なのだろうと思います。

●翻って朝霞市は、アスポート事業が県の丸抱えでなくなった今年から、単なる学習塾の通塾費の経済的支援の政策に変わってしまいました。議会のやりとりで、行政側は一方的に県がやめた、という被害者意識です。
しかし、子どもにとっては混乱状態にある保護家庭が少なくなく、直接的な経済的支援だけではどうにもならないことも多いということを改めて認識させられました。学力的にも、家庭環境的にも、比較的良好な状況にある子どもしか使えない制度に変質してしまったのではないかと思います。

●18歳から20歳まで、親元から自立しなければ守られない子どもの住宅をどう保障していくのか、課題だと認識しました。親との関係性が悪い子どもが、親の毒から逃げようとしても、住宅を借りるという法的行為には、法定代理人である親に取消権があることから、ダメになってしまう事例はいろいろ聴きます。18歳選挙権でシルバーデモクラシー云々するもの結構ですが、18歳という節目に子どもをどうするのか、もっと自立支援の政策が必要です。

|

« 6/12 ふるさと納税制度の問題点を洗います…本会議議案質疑 | トップページ | 6/12 ふるさと納税の課題、公文書管理のあり方などをただす~本会議質疑 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 6/12 ふるさと納税制度の問題点を洗います…本会議議案質疑 | トップページ | 6/12 ふるさと納税の課題、公文書管理のあり方などをただす~本会議質疑 »