4/27 保育制度を議論する方に読んでほしい小林美希さん「保育崩壊」
岩波新書から小林美希さんの「保育崩壊」が出版され、私にも本を送ってくださいました。
小林美希さんは、小泉政権全盛期、若者の失業と貧困は彼らの努力不足で片付けられていた時代に、若者がほんとうにひどい働き方をしている、ということを克明にルポルタージュし、経済誌に特集を組んだ人。若者の失業や貧困問題、今日の「ブラック〇〇」とされる問題に最初に目を向けさせた記者でした。
朝霞市の男女共同参画セミナーで講演すると聞きつけ、仕事を休んで講演を拝聴、そこで知り合いになり、時折意見交換をしています。
今回の「保育崩壊」は、保育制度ではなく、入れるか入れないかだけではなく、保育所で保育士と子ども・保護者の間で何が起きているのか、保育士はどのような状況に置かれているのか、ということを中心に書かれています。
思い起こせば、1999年自治労で保育労働運動を担当せよと辞令を受け、保育所は高コスト体質でだから待機児童問題がなくならない、と強引に展開する世論と、その結果として小泉純一郎から樋口恵子さん(時には労組内の女性労働運動)まで「抵抗勢力」と呼ばれて防戦一方のなかで、職場のシステムや職員配置基準は守ったけれども雇用の流動化や賃金水準に関してはかなり犠牲を払った結果に終わった経験があります。
最近、ようやく保育士の確保不足がクローズアップされて、雇用のあり方、働かせ方、そして賃金のあり方も注目されて、「高コスト体質」と批判してきたことの弊害が出てきていることが明らかになっています。
著書は、直接、そうした経済政策論争に首を突っ込んでいるのではありませんが、この間、経済政策論争の犠牲になってきた保育現場をフォローする意味で、保育制度の議論をする方々には必ず読んでほしい一冊です。
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