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2015.03.26

3/25 保育料条例の賛成理由

25日の市議会で多くの議案の採決を行いましたが、そのなかで保育料の値上げ改定の提案となった保育料条例を賛成した考え方をここにまとめておきます。

提案は、保育新制度になって、市の持ち出しが2.6億増加するなか、1.1億円分を値上げで対応しようという内容です。
保育料の値上げ内容と近隣4市との比較・この表のうち第2案を採用(2014年10月27日子ども子育て会議説明資料)

私は、
・市の持ち出し支出の額から、保育政策の持続可能性を考えなくてはならない局面にきている
・同様な財政収入の近隣市より保育料は低く、朝霞市の場合、高所得者ほど低いこと
・保育の利用の大半は経済活動に伴うものなので、所得に応じた負担を求めるべきものであること
・市内の幼稚園保育料が2.1万円~2.8万円で、3歳児以上の保育料では高所得者の保育料でも2.3万円。保育時間の長い保育園と逆転を起こしている
・値上げ案の内容は、いわゆる「中の下」ぐらいの所得層は値上げしない、元々保育料の高い2歳児未満の保育料値上げを抑えたなど練りに練った内容であること
・家庭保育室の利用家庭はもっと高い保育料を第二子以降の減免もなく負担してきており、全体としては値上げとばかり言えないこと

などの理由から、値上げ案としては練りに練って提案されたもので、賛成しました。ただし、

・現にある公立保育園の保護者会など保護者集団との協議、保護者代表がいない保育園運営審議会で決定してしまったこと
など、手続きに、払う側の合意形成の努力をしたかは問題があり指摘いたしました。

●保育料の値上げ議案に賛成し、このことで冬の市議選に向けては、私にネガティブな宣伝が行われることとなります。やむを得ないと腹をくくっています。
私は、待機児童も長年経験し、その間、家庭保育室に分不相応な高額な保育料を払い、保育園を利用してきた保護者であり、今現在保育園を利用している議会内で唯一の当事者です。その経験から、政治が保育園政策で盛り上がる最大の課題は保育料でよいのか、という思いもあります。今の優先課題は、朝霞市の可能な範囲で必要な保育サービスの整備を促すことだと思っています。費用負担に関して無責任な態度を取り続けることはできません。もちろん払えない人にまで市が過大な負担をさせるのであれば、徹底的に抵抗するつもりです。今回の保育料改定のかなり最初の段階から、そのつもりで対応し、ブログでも入った情報を市民に提供してきました。市としては懸念される問題を可能な範囲で取り除いて提案に至っています。

●詳細は続きを読むをご覧ください。

●市から提案された値上げの内容は、
①保育料の計算根拠の税額を、国の前年の所得税から、市民税の所得割に変える。
(事務の迅速化・簡素化のため)
②保育料のランク表では、世帯の市民税の所得割額が、2歳児まで18.3万(課税所得で305万円、共働きの給与所得者なら総収入で700万円ぐらいの世帯)、3歳児以上14.7万円までの所得層(課税所得で年245万円、共働き給与所得者なら総収入で650万円ぐらいの世帯)までのランクは値上げしない。
③子ども手当で廃止された15歳以下の子どもの扶養控除が残っているものとして計算していたことをやめる。
(事務の簡素化のため、これによって保育料のランクが上がり、実質値上げになります)
④2歳児までの保育料は額が高いので値上げを抑制する。
⑤中高所得者の保育料のランクを細分化して、応分の負担を求める。
というものです(その他詳細な改定もありますが、保育料の計算結果に大きな影響を与えるものではありません)。

その結果
0歳~2歳児までは、市民税所得割で18.3万円から値上げが始まり、月320円~6180円の値上げ改定で、
市民税が世帯で20万円で、月3万7980円→3万8300円、
市民税が世帯で最高の51万円以上で月4万7880円→5万3700円
の値上げになります。
3歳~5歳児までは、市民税所得割で14.3万円から値上がりが始まり、月2300~6100円の値上げになります。4歳児で、
市民税が世帯で20万円で、月2万0280円から2万4500円に、
市民税が世帯で最高の51万円以上で月2万0500円→2万6600円
の値上げとなります。

●私が保育料値上げのこの条例に賛成した理由は
①市の持ち出し支出の額から、保育政策の持続可能性を考えなくてはならない局面にきている
 朝霞市の財政規模350億円のうち、児童福祉で4分の1の80億円、そのうち保育園関係は総額で40億円になっています。普通の市が20億円程度持っている貯金も、現在は8億円程度しかありません。そのなかで貯金が減ったのは保育園を整備したからだ、という市の関係者もいます。
保育園の財政は保護者負担も国や県の補助も一度市の財政をくぐるので、学校や幼稚園や特別会計で処理する介護より目立っている面もあります。しかしそれでも市の最大の支出項目になり、当然利用者が応分の負担をしているかということが問われています。そこをきちっとしないと、後に続く保育利用者にツケをまわすか、まだ足りない保育を必要とする人のための保育が用意できない、しないという判断になりかねません。

②同様な財政収入の近隣市より保育料は低く、朝霞市の場合、高所得者ほど低いこと
 朝霞市の周辺の和光市、新座市、志木市などは、個人市民税と固定資産税が収入の大半を占める財政で、収入構造が似ています。これら近隣市の保育料と比較しても朝霞市は高所得者層で1万円前後安い保育料になっています。この分、朝霞市は他の行政サービスを犠牲にしているか、将来に向っての投資を犠牲にしています。保育料が安いことは売りだ、という人もいますが、それで評価されて朝霞市を選ばれた市民が保育サービスの終わった後も朝霞市に住み続けていただけるのか、確信が持てません。低所得者対策はしているのですから、中高所得者の育児の満足感は保育料よりも、育児をとりまく人間関係の良さではないかと思います。

③保育の利用の大半は経済活動に伴うものなので、所得に応じた負担を求めるべきものであること
 朝霞市の保育園の定員は不足が生じているため、入所者の大半は経済活動を理由にしています。ここが介護や障害福祉と違うところで、収入の少ない状態がほぼ続く人を支える福祉と違います。役所として最もやるべきことは、護られる場所が必要な子ども達に、護る人と場所を手当し、安全と安心を提供することです。その利用料を安くすることはその次の話です。したがって経済活動の結果として得られる収入に応じて保育料を負担していただくというのは合理的な話だと思います。

④市内の幼稚園保育料が2.1万円~2.8万円で、3歳児以上の保育料では高所得者でも保育園と逆転現象を起こしている
 現在、高所得者層も含めて負担している保育料が、保育時間の短い幼稚園保育料と利用料が逆転している現象を起こしています。これを放置すると、幼稚園利用者の保護者の保育所利用者への不信感がさらに高まってしまいます。応分の負担ができる人にはしていただく体系にしないと、保育園利用者が税金を食べているかのような誤解が延々続くことになります。

⑤値上げ案の内容は、いわゆる「中の下」ぐらいの所得層は値上げしない、元々保育料の高い2歳児未満の保育料値上げを抑えたなど練りに練った内容であること
 今回の値上げは、低所得者に相当配慮した内容になっています。本来は、一律・同率で値上げしますが、保育所には低所得者に自力で働いて所得を得られるようにしていく目的もあります。そういう点から低所得者の保育料を上げると、預けるのをやめて働くのもやめて、ということになりかねません。そこは今回配慮して、夫婦ともに初任給レベル、あるいは片方が正社員で中程度の所得でもう一方がフルタイムパート労働ぐらいの所得の夫婦の世帯ぐらいまでは保育料を値上げしていません。払えない人からむしりとらないように最大限の配慮は行われています。

⑥家庭保育室の利用家庭はもっと高い保育料を第二子以降の減免もなく負担してきており、全体としては値上げとばかり言えないこと
 今回、市議会でも「新制度の移行で、市場に任せたから保育料が上げるハメにおちいった」という言い方をする議員がおられましたが、現象面をつかまえて言っているだけで事実認識の誤りです。
今まで、制度化されてきた認可保育所に入れた子どもだけに安い保育料で保育を提供していて、その外側にこぼれた児童の家庭は、ごくわずかの補助金で、多額の保育料を払ってきています。2人以上家庭保育室に預けた家庭は、月7~10万円の保育料を払ってきたとみられます。その保護者負担額と、来年度から認可保育園の保育料と同額になる差額が公的支出の増大になっています。
もちろん増やしたのは市の持ち出しが全てではなく、国からの財政支援の拡大と今回の保育料値上げによって埋め合わせてもいて、その一部を、他市並み以下の保育料値上げで補うことが提案されています。
さらに、認可外保育所の制度の取り組みで、規制や監督は厳しくなった面もあります。そこから見れば、公的保育の守備分野が広がったわけで、公的保育の放棄という簡単な断定では評価しきれないところがあります。
1995年以降、子育て世代が急増した朝霞台駅周辺では、家庭保育室に預けられている子どもが山ほどいながら、2012年のゆりかご保育園開園まで、北朝霞保育園と浜崎保育園しかありませんでした。過去、保育所の改善に取り組む議員がわずかしかおらず、政策の優先順位がずっと低かったからです。その怠慢の後始末を今させられている、と言いたくなる面もあります。

以上の論点で値上げに賛成いたしました。
ただし問題点もあり

⑦保育が単なる客サービスでない以上、料金改定の手続きが大事。とくに払う側の保護者との合意形成の努力を図ってやったのかというと疑問です。
もちろんサイフからお金を抜かれる話なので、値上げは嫌というところから話は始まりますが、私が開いた「保育オープンミーティング」の参加者である保護者の方々も、この水準の保育料の値上げは妥当だろう、と、それより入れるか入れないか、保育の質は、苦情解決の仕組みは、ということに関心が向かっていました。実際に仕事をしていて、世の中のお金の回り方を見ている人たちからすれば、冷静な議論は可能です。市民を信頼してきちんと議論を重ねておくべきだ、ということは、共産党の山口議員なども議場で指摘しており、その通りだと思いました。
市は、値上げに向けての話し合いはあまりしていないというのが実態です。民生常任委員会で明らかにしましたが、公立保育園には歴史のある保護者会の連絡会がありますが、そこへの説明や話し合いはされていません。民間保育園の保護者には値上げが決まる前の周知がほとんどされていません。保護者会もないので意見を市に伝えるチャンネルもありません。クレームを出すことしかできません。
ただ一つ、私も傍聴しましたが、来年度からの「子ども子育て新制度」の設計をする「朝霞市子ども子育て会議」で、保護者の委員に説明がされただけでした。十分に意見を聞いたとは言えませんでした。議会に出す前の最終決定の場の保育園運営審議会に保護者委員はおらず、本来その代弁をすべき地域委員も6人中2人が保育園経営者で、かつ発言も保育園経営者としての意見だけを述べられて提案されています。

●見えない保育料として徴収されている、給食費の主食費や最低限の教材費負担などは、本来、値上げに含めて保育料として徴収して各園に交付するような仕組みを入れるべきだったと思います。これは残課題です。

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