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2015.02.06

2/6 市の来年度予算の規模が判明

昨日、市議会議員あてに、平成27年の事業と予算の概要に関する資料が提供されています。

市が作った平成27年度一般会計予算(案)の規模は、369億円。昨年比+10億の規模となります。
歳入は、市税収入が210億円(+5億)と見込まれています。あとは、地方交付税4億(-2億)、国県補助83億(+2億)、市債の発行18億(+1.7億)などで構成。
歳出は、議会が3億(+0.1億)、総務費48億(+7億)、民生費180億(+2億)、衛生費27億(+0.3億)、農林水産費0.7億(変わらず)、商工費2.5億(変わらず)、土木費25億(+2.5億)、消防費13億(+0.5億)、教育費37億(市費負担以外の教員人件費除く・変わらず)、公債費30億(-1.5億)などで構成(カッコ内昨年当初予算比)。

朝霞市の財政は、目下、全国的に希有な問題を抱えて、現金不足に陥っています。
多くの自治体は、借金の後始末と残高の重圧に苦しんで財政悪化をしていますが、朝霞市において、そうした借金を基準にした検査値(公債費比率や将来負担比率などで)財政の悪化度を測っても健全という判断しか出てきません(しかしその原因もやはり市の借金返済です)。
2014年10月、千葉県富津市があと5年で破産する、という内容で財政危機を宣言しました。ところが富津市の決算書を見ると、今までの財政診断で使う指標では健全です。何がまずいかというと、現金が毎年どんどんなくなっていっていて、黒字倒産体質になっていました。これは朝霞市と同じ問題なのです。富津市はあと5年、朝霞市は昨年手を打たなかったらあと2年で資金ショートを起こしていたのです。

自由に動かせる資金残高は「財政調整基金」の残高を見ます。市の「財政調整基金」の残高は過去は潤沢にあったものが、ここ10年、例外的な年を除いて、毎年3~5億取り崩して、一時期は3億円まで残高が落ち込みました。その後、、昨年度の支出抑制、今年度の事業の刈り込みによって、昨年8億円まで戻すことができました。まだそれでも少なくて危険な水準です。望ましい「財政調整基金」の残高は、22~24億円程度です。

市の借金ですが、305億円の残高。返済分のうち利子分が4億程度なので元金返済が26~7億、新規借入が18億なので、補正で追加の借金がなければ9億円程度の残高を減らし、295~6億円の残高になると見込まれます。(この返済超過分が現金不足の主要原因ですが、朝霞市の財政を圧迫しない残高は220~230億円と言われているのでそこまではしばらく大変な状況が続きます)。

また借金の質が変化しているのは要注意です。学校や道路に使った借金は大幅に減って行っている一方、今、新たに行っている借金の半分以上は、国が地方交付税を自治体に払えないから行っている肩代わりの無目的借金です。国はいつか返す、という約束で借りさせられています。しかし朝霞市の財政事情が良くなったり、地方交付税の計算式が変わったりしたら、踏み倒される話です。必ず返ってくれば優良な借金ですが、返ってこなければただただ市民が犠牲になります。

予算案の詳細、どの仕事にどのくらいというのは、これから公表されていくことになります。

今年の課題は、国が地方創生や補正予算で、バラマキ的な支出を増やすためのお金を落としてくるので、財政規律がぐずぐずにならないように注意することが重要です。
財政規律が全てと考えませんが、国が煽るからと、ある年だけバランスを崩した財政を組むと、自治体は歳入が国の制度でロックされ、財政がおかしくなると歳出で調整するしかないので、後年度他の事業にしわ寄せが来ることになります。

●日本の財政規律は、先の大戦の戦後処理から、極めて財政規律を重んじる法律体系になっています。それでも国は、国の威信や日銀の存在で、ある程度自由に借金できますが、自治体は地方交付税制度で歳入が底支えされている一方で歳入を自由に増やしても意味がない(市町村によって税率は異ならない)仕組みにしています。借金も、国が指定した目的でしか借金ができませんし、それも事業に必要な経費の全額を借金してよいという制度はありません。したがって、歳入面はほとんど努力の余地がない仕組みになっています。
したがって歳出に注意していくしかない制度になっています。

●どちらかと言えば税金は有効に使うべきというのが私のよってたつ思想的立場ですが、あまりにも財政事情が厳しく、市議会のなかで最も財政にうるさく言わなくてはならないポジションになってしまっています。自己矛盾を抱えたなかでの議会活動をしなければなりません。

●富津市の問題は基礎的な収支は健全で借金も多すぎるわけではないので、基礎体力がきちんとしている中での黒字倒産の危険性だったのです。しかし、それを元市長らの粉飾決算と過大な借金で倒れた夕張のようになる、と言ったのは、いささかミスリードだと思います。おかれた環境も全然違います。質の違う苦労をされている今の夕張市関係者にはあまりにも違和感があったのではないかと思います。財政の危機を宣伝するときには、市民も市職員も議員も関係者みなが本質を掴めるような危機感の煽り方をしてほしいものです。財政の危機脱出には、市民や市の出入り事業者にも協力を求めなくてはなりません。

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