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2015.02.18

2/18 人口減少をめぐる議論と朝霞市の違い

人口減少を論じるのがブームになっていて、私のような仕事をしていると否応でもそういう議論を踏まえてものを言わないといけないと思っていますが、いささか全国的な状況と朝霞市の状況が違うこと、その全然違うことと、違うのだけども全国との連続性のある一端がいびつに現れていることを、きちんと踏まえて議論しないととんちんかんなことになり、最後は朝霞市を壊していくことになります。

全国的には、あと10年で団塊の世代が後期高齢者になって、大変な時代が来る、という分析になっていて、一方で、団塊ジュニア以降は、どんどん少子化が進んで、働く人と支えられる人の比率が変化して大変なことになる、という説は間違いないと思います。

しかし朝霞市の場合は、①団塊の世代の1世代上の増加は急激に進んだが、団塊の世代の増加はほとんどない、②団塊ジュニアが集中的に居住して、20年遅れの団塊世代問題を抱えている、③出生率は全国的には低いが県内・首都圏でも相当高い方であり、かつ子育て世代のボリュームから子どもの絶対数が大きい、という分析を前提に話をしないとおかしくなります。

団塊の世代の増加や少子化対策に強引に話をして推進させるのは難しいし、世代問題は、もっと質的な問題提起をしないと意味がないということになります。

朝霞市の人口構成を見るには、市のホームページの市の刊行物から市政要覧の統計データを見られるとよいのではないかと思います。

ここに掲載されているめ人口ピラミッドを見ていただくと理解していただけますが、団塊の世代と言われる60~64歳はほんの少し出っ張っているだけです。他の市はここの年齢がくっきり出ています。

団塊の世代が増加しなかった原因としては、この世代が30~40歳で、さかんに住宅購入をしていた1980~1990年にバブル経済で土地価格の高騰にみまわれて、価格と比して魅力ある住宅地として提供できなかったからではないか、と見ています。当時は、小川町、飯能、八王子、厚木、伊勢原など50~60キロ圏で6000万円ぐらいした時代です。逆に朝霞市の土地を買えるような人は、もう数千万円上乗せして都内に残ったのではないかと見られます。

逆に、1993年以降は、土地価格が下落し、マンション規制の緩和もあって、手頃なマンションが大量供給され(じじつ、1994~6年には今から見ても異様な数のマンションが供給されています)、働き盛りになり始めた団塊ジュニア世代の少し上の世代が大量に流入する結果となっています。その結果、出生率は他の市より少し上という水準ではあっても、子どもの絶対数が多いということになります。

したがって、この人口ピラミッドを見るだけでも、団塊の世代と少子化、というキーワードで朝霞市の課題を語るとことごとく無意味なものができあがる、と言ってよいでしょう。私もこのことをしつこく言ったので、最近の朝霞市の文献からは、「団塊の世代」「少子化対策」という言葉は少なくなってきています。

一方、だからといって高齢化がないわけではなくて、朝霞市は比較的早く1960~65年に人口増を経験して、その世代が確実に後期高齢者になっていて、ボリュームこそ団塊の世代ほどではないものの、急激な高齢者福祉ニーズの増大が始まっていることは間違いありませんが、先の年齢ピラミッドを見ていただいたとおり、ここできちんと対応しておけば、あと20年は深刻な高齢化は始まらない、時間稼ぎができる状況にある、と言えます。

●朝霞市の場合、とにかく子どもが多くて、朝霞市政としては、子育て支援にお金を使っても使っても全然質の改善ができない状況にあります(もちろんできる範囲で努力が足りない部分もあるとは思います)。
子育てしている保護者や、子ども自身には、いろいろと市政にご不満がある状況なのに、さらに国策の少子化対策を追いかけさせられると、子育てにまつわる質的なふくらみができないまま、単なる人口生産工場みたいな自治体になってしまいます。
じじつ、朝霞市は何とかここ5年で保育所を必死に整備してきましたが、その上の学童保育、学校の状況がこれからなので、朝霞市に住民票をもって生まれてきた毎年1350~1450人の子どものうち100~150人が小学校進学までに流出してしまっています。一番お金のかかる未就学児の保育だけ食い逃げされて、その他のよい子育て環境が整備できると思えません。
※この逆が23区で、潤沢な財政なのに保育所を整備できないので、保育難民を埼玉県南部の各市に送り出し、教育水準やら何やらで、保育所利用を終えると共働き家庭を都内に回収していく、財政負担が最も楽な構造になっています。

したがって、朝霞市は当面、子育て支援はきちんとやっても、子どもの数を増やすためだけに転入人口を狙った政策はやるべきではない、というのが私の最近のスタンスです。とくに「子育てしやすい街ランキング」などに入るようなことをめざすべきではない。あれは、どの自治体にも計測可能などこにでもあるサービスのデータだけを引っぱり出して、ソントクだけでランキングしているのですから、上位に乗るには相当な財政力がないと、ランキングで測る行政サービス以外のことがボロボロになっている可能性が高いです。
東京一極集中という構造が終焉を告げない限り、朝霞市の利便性と暮らしやすさをきちんと整えていけば、ちょうどよい人口はこれからも維持できるので、やるべきは市民と市民生活のポテンシャルを上げていくことではないかと思っています。それができないと、質の低い暮らしで人口増だけを追求するのか、逆にどんどん人が流出していくのか、ということになると思います。

人口増としての子育て支援をやらなきゃいけない区・市は他にあるだろう、と思っています。

また、子育て世代である団塊ジュニアからあと15年ぐらいの世代の人口が巨大な固まりになっています。私は朝霞の団塊の世代問題とか、20年遅れの多摩ニュータウンなどと表現していますが、実はこの世代の高齢化への対処が朝霞市にとっては今後重大問題になってきます。出生率向上といって、この世代の人口をさらに増やしてしまうと、またそのことが大変な課題になってきます。行政も、このまま惰性走行していれば、かつて経験したように、保育園不足で社会問題化したことが、また介護サービス不足として問題化することになります。ただまだ20年時間かせぎができるということです。
それでも相当な財源を用意していかなければならないので、何か買ったら市から補助金が出るような、購入奨励型の補助金で自治体を選ばせるようなことをやっている余裕だけはないということは言えます。

●私の守備分野では保育政策が課題になりますが、パッチワーク的に保育政策を展開すると、特定の部分だけ食い散らかされるというこになります。子どもを産むと決めてから育て上げるまでの全体像を構想しながら施策を戦略的に配置していかないと、保育はあるけど学童はない、保育所や小学校では大切にされたけど中高生になったら犯罪予備軍みたいに思われるので面白くないから都内で遊ぶ、妊娠したらどこにもつながらずただ孤独だった、みたいなことが起きてきます。

●朝霞市が全国と違う、と、人口問題で左うちわでいられるのも、東京一極集中の構造の副産物だと認識しています。東京で働く人の居住を提供し、労働力を都内に送り出し、その富を持ち帰って、外部に食糧やエネルギーから娯楽にいたるまで調達している構造があるから、人口増加が可能なのです。自然災害やエネルギーや食糧の危機、その他その構造が成り立たなくなったときに、朝霞市の本当の危機である、という認識をもっています。

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