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2014.11.08

11/5 地方創生の矛盾

11月5日、自治体議員政策情報センター虹とみどりが主催する、地方×国政策研究会に出席しました。
勉強したテーマは地方創生とマイナンバー。

政府が推進する「地方創生」の前提となる東京一極集中とそれ以外が地域崩壊に向かう現状と、なんとかしなくてはならない、という問題意識は共有しますが、その手法にいくつか問題があるのではないかと思っていましたが、改めてそれを感じました。

その問題点としては、全自治体に新たな計画づくりを「努力義務」にすること、そのために「縦割り」排除や「数値目標」設定など結果的には無個性な計画しかできあがらないことが目に見えていること、そのことで自治体職員が余計な労力をかけることでかえって地域の問題解決に向けての行動がされなくなること、などが挙げられます。また財政としては、交付金の話がちらちらしていますが、中央政府のお墨付きが着いてお金がもらえる仕組みより、現在の地方交付税が将来にわたって安定的に維持されることが大事では無いかと思います。

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①各自治体で「地方創生」のための計画づくりをさせることで無個性な振興策が…
 政府は、自治体ごとに総意工夫のある地方創生策を考えてもらうために、地方創生のための計画を全自治体に作らせます。法律では「努めること」との表現になります。骨のある自治体以外、やることになります。
 全国1700自治体が一斉に地方創生の計画を作り始めるので、総意工夫を発揮するより、おそらくネタのパクリあい、いかにもな思いつき、すでに自治体の総合計画や、次世代育成支援行動計画に書かれているような定説をつなぎ合わせることになると思います。
 少し大きな都市では、コンサルタントに丸投げしてしまう危険性もあります。
 そうしていくつかの個性的な自治体以外は、金太郎飴みたいな計画があちこちにできる危険性があります。それはそれでいいのかも知れませんが、そのために自治体職員がかける労力を考えると、毛沢東が大躍進でやった土法製鋼じゃありませんが、全国で無駄な計画の山が積み上げられる危険性があります。

②「縦割り」排除・「数値目標」でよけい意思決定は面倒に
 この計画の策定では、「縦割り」をなくして作ること、「数値目標」設定を強調しています。
 私は、縦割り行政には批判的ですが、それでも役所の縦割りのピラミッド型組織は改めるのは困難な以上、どうしても縦割り行政の文化の上で、縦割りを排する、という作業をしなければなりません。
 その結果、極点社会の是正と、地域の独自性を発揮する、という目標のための行動計画が消え、自治体のどの部署も受け入れられやすい、無難な文言が並ぶことになります。その結果、「地方創生」は無個性な画一化に向かっていきます。
 今までの常識、生活様式のままでは極点社会など是正できないのですから、自治体のなかで多少前衛的にやるような手法を提示しなければ、無駄な計画づくりになると思います。
 さらに小泉政権期から珍重されている「数値目標」というのもそうです。数値目標で管理できるのは、社会環境が大きく変化していない前提があってこそです。極点社会という、今までの常識から転換して自治体に個性を求めるなら、数値ではなくて言葉による因果関係から必要な施策を求めることです。

③計画策定に追われて仕事ができない自治体職員
 これは派生的な問題ですが、市民合意の上での計画にそって自治体運営をするということは大事ですが、それに加えて、国から「地域の独自性」を求めて数々の計画策定を求められています。それらは議会を素通りして、行政と市民代表で次から次に作らなくてはなりません。
 その結果、自治体職員が計画策定に追われるようになっています。そのため、意識的に時間をさかない職員にとっては、忙しすぎて、能力開発や問題解決の体験が追いつかないということになってしまいます。

④財源問題、特出しの交付金より交付税の保証を
 国は総意工夫のある計画を出したところに交付金を出すようなことをチラチラさせていますが、私はそれが問題ではないかと思います。国のカネほしさに、計画を作るとしたら、地方創生ではなくて国の顔色をうかがう政策になるので、それこそ極点社会の行動様式ではないかと思うのです。
 それより、極点社会の転換は、自治体の裁量、自治体の現在の体力のなかで持続的に取り組むべき課題ではないかと思うので、将来にわたって地方交付税制度を安定的に維持することを明言することが、自治体を冒険に踏み切らせる安心感の担保になると思います。極点社会の転換は、財政措置が必要なものばかりではないと思います。

地方創生の計画づくりに関しては、別個の計画を作るより、自治体の総合計画と内容が重複するので、子育て支援や働き方の問題では「次世代育成推進地域行動計画」があるのですから、それらを、地方創生の視点で書き直して提出させたらいいのではないかと思います。現在、総合計画に関しては多くの自治体が、人口増加の発展を想像するものから、人口減少を前提にどのようにそのなかでやりくりして持続可能な地域社会を作るかという視点に転換しているところから、地方創生の前提認識と大きく異なることはないように思います。

財政については、自治体の一般財源のなかでやりくりしてもらい、そのためには将来に地方交付税を削減するようなことを財務省に言わせず、当面は安定して払うから総意工夫してやれ、と言う方が正しいように思います。地方創生の交付金を貰うために、自治体の幹部が東京に陳情で何度も上京する、などという矛盾するようなことがないようにしてもらいたいものです。

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