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2014.10.04

10/3 計画の素案ができる~子ども子育て会議

3日午前、子ども子育て会議が開かれ、傍聴しました。
残念なことに保護者世代の傍聴者は、私以外おりませんでした。議員が関心をもってくれて、5人の傍聴のうち4人は議員、同じ民生常任委員会の同僚議員でした。

この会議の結論は議会にかかりませんから、こうやって傍聴しないと、何を決めているのか全くわからないまま、計画に書いてあるんだから、という理由で予算案だけがまわってくることになります。

さて、半年の議論を経て、ようやくたたき台ができあがってきました。構成や文体はおおむねよいのではないかと思いつつも、子どもの人権に関わる表現・政策選択のいい加減さ、保護者の勤務体系の複雑化に対する対応のなさ、放課後児童クラブに対する見通しの甘さ、従来から懸念されていた福祉部や保育課以外の子ども関連施策への記述の甘さなど、誰のための計画なのか、というところがぐらついているようなところも多く、私は不十分なものではないかと見ています。

肝心の保育の需要と供給量の見通しは、読見切らずに打ち止めにしている様子がうかがえます。いままで計画とぴたりとあった進捗などしたためしがなく、保育園の事業者が進出すれば計画に関係なしに定員を増やし、進出する見通しがなければ需要を抑え気味で予測して、ということをやってきたので、計画があてにならないところがあります。ただし、朝霞市の資金不足気味の体質のなかで、計画にない保育園増設をこの先どこまで容認していくのか、は問われていくのだと思います。

この先が課題です。
詳しくできた素案なのに、多くの保護者も子どもも事業者にも目に触れることがなく、このまま「子ども子育て会議」のなかだけで検討され、1月頃に、「貴重なご意見ありがとうございました(真意「あなたの意見は珍奇です」)の回答のオンパレードしかないパブリックコメントに付されるだけで、行政主導で決められてしまいます。
「続きを読む」以降で本日公開された本文をアップしますが、関係者や当事者に不満があっても意見を言う場が…。

会議の後半は、保育園運営審議会にも提案された保育料改定が議題でした。
提案の仕方が全く雑で、先日の保育園運営審議会の提案同様に、最高額だけとらえて、朝霞市だけがこんなに安い、という提案しかしていませんでした。平成3年以来値上げしていない、とも。
この2つの説明だけでは値上げの理由になりません。平成3年以来というのは、平成10年を頂点にデフレ経済が進み、他もそんなに物価が上がらなかったことを言い返されたら、説明にもなりません。
冷静で客観的な議論をするためには、全体でいくら不足するのを、そのうちどのくらい保護者に転嫁しないと制度維持ができない、現状と他市とで保育料構成がこうなっている、何より保育料収入がいくらあるのか、という具体的なデータがあるべきです。
お金を払ってもらう人に、値上げを提案するのに、こんな雑な営業で済む世界ってあるのでしょうか。保護者たちが財布の中に手を突っ込まれる、値上げを飲み込むのに、きちんとした説明とできればもの言う場がなければ、まちに対する不満しか高まりません。他人の権利やお金にかかわる話を、具体的なデータをもってしないで、感覚的なイメージ操作でどう議論して、議論をどうしようか考えあぐねている状態のなかで「意見はございませんね」とやってしまう朝霞市役所の仕事のクオリティーは問題視しなければなりません。

雑な提案には、議論もなんだかなぁ、という展開になるもので、安い保育料で子どもを預けっぱなしでぐうたら親ばかり、という議論が展開されてしまいました。
本来の、保育所を運営していくためのコストと費用負担のあり方についての議論、費用がどのように使われていくべきなのか、という議論が希薄なまま、保育課一任みたいな結論になって、これでいいのかと思いました。
保育料値上げに向けて、財布の中からもぎられていく保護者の意見を言う場はここしかないのに、保護者代表の意見・感覚が十分に出たと思えません。それがないまま前に進んでよいのか、疑問に感じています。

●示された子ども子育て事業計画の素案には、以下の課題が残されていると思います。

1.手続きの問題
 5年越しの将来の保育計画、子ども政策の基本を固定してしまう計画なのに、市民には全く情報提供されない状態、意見をいう機会も最後のパブリックコメントしか与えない計画策定に、民主主義の基本的な原則からして、問題ありです。
 この手の計画行政が子ども政策に導入されて15年になりますが、一向に進歩しない朝霞市の体質に問題がありすぎます。
 保育所利用者のモラルをあれこれ言い募られますが、単なるサービスの受益者という立場に墜としたのは、こうした利用者の意見も聞かず、意思決定の責任を持たせてこなかった市の姿勢に問題があると思います。

2.現状認識において、保育需要に関して過去の動向ばかりで将来の予測がない
 個別の保育所の需要予測になると出てきますが、全体を貫く現状認識で将来の子どもの数や保育率などの推計のための数字が全く掲載されていなくて、将来どうなるかが感覚的な議論に陥りがちなこと。

3.基本理念・基本目標等はおおむねよいのではないか
基本理念 「このまちで育ってよかった・育ててよかった 子育てのよろこびをわかちあえるまち朝霞」
基本目標 「1.すべての子どもが質の高い教育・保育を受けるまち」「2.すべての子どもがすくすく育つまち」「3.すべての家庭が安心して子育てするまち」にはおおむね妥当な内容であり、基本理念の核に「子どもの人権」がおかれたことは評価します。その内容が伴うかが課題です。

4.子どもプランの継承部分は問題だらけ
(1)保育等に関する政策
 保育所の整備については、ニーズ追随の話しかありません。だから保育所に預けている保護者に対するスティグマが貼られるのです。自治体が積極的保育政策をやるのは、もう少し哲学的な背景が必要です。朝霞市では、給与所得者となる人生が大半で、その人たちが仕事を子育てで中断すると、職業人生で大きなハンデを一生背負っていくことになる、そのために保育所や放課後児童クラブを提供してその不利を回避するんだ、という積極的な意義を定義してほしいものです。
 放課後児童クラブには、児童館を有効活用、というところが課題だろうと思います。会議では、社会福祉協議会の野本事務局長が批判されていました。私もそうだと思います。高学年児童を放課後児童クラブに囲い込むべきかどうか、という観点から児童館の役割を全て否定するわけではありませんが、代替機能というと違和感があるし、今日の子どもの安全に過敏になっている市民感覚からして、それでいいのかと思うところです。
 多様な保育も全然多様じゃないのが問題。前回子どもプランであったトワイライトステイ(深夜時間帯の保育)は、現状でも虐待予防的対応しか利用できないのに、とうとうファミリーサポートセンター事業に吸収されていました。箱の保育園が吸収できないものを、すべてボランティア頼みのファミリーサポートセンターにしわ寄せさせるやり方は、そうしたニーズがより社会にとって過酷な状態におかれた人のものなので、疑問です。あとはファミリーサポートセンター事業のなかでのさじ加減で、見えないところでの事業放棄です。先の議会で問題提起したことの逆をしています。
 小学校との接続のところの話は、会議の小林会長が指摘したとおり先入観で文章を書きすぎだし、小学校で子どもが問題を起こすと保育園の責任ばっかりになっているという指摘もあり、その通りだと思います。雑すぎます。

(2)子どもの人権は課題だらけ
 公的機関が子どもを人間扱いしていない課題をどう乗り越えるのか、ということと、文中、子どもの発達のため、ということで使役動詞で定義づけていることと、整理が必要ではないかと思います。
 施設における人権擁護の体制整備ということが唱われたところは、朝霞市始まって以来のことで、ここは評価したいと思いますが「施設」と限定する意味がわかりません。子どものためにならないことは、保護者であったり、在宅サービスであったり、教育機関であったり、子どもどうしであったり、様々です。子どもを自治体がどうやって守るのか、その観点で定義づけは変えるべきではないかと思います。
 子どもの意見反映のでは、子ども議会、心のノート、カウンセリングと3つのみです。子ども議会以外は、子どもの意見反映とはどう見ても考えられず、全く異常な内容です。
 心のノートは、教員による子どもの思想点検で人権侵害を指摘する人もいます。少なくとも子どもの人権や意見表明権の保障ではありません。カウンセリングも、社会的解決に向かわず、本人の心の苦痛の緩和にしか機能しないので、人権侵害が解決されるわけではありません。まして意見反映のツールではありません。項目名にふわわしくなく不適切な事業内容の選択です。
 さらに子どもの生きる力を育成する学校教育が、どうして人権施策に位置づけラルのか、私が馬鹿すぎるのか全く理解不能です。

(3)最も「子育てしやすいまち」にとって大事なところが希薄
 世間的に「子育て支援」「子育てしやすいまち」というのはこの項目にかかってくるのですが、子どもの生活を追跡調査したわけではないので、どうしても役所のやりたいメニューの羅列になっています。
 朝霞市で取り組みが進んでいるプレーパークや子ども大学あさか、ミニあさかなどの取り組みについて全く触れられていませんし、「べからず」公園の限界を超えようとする朝霞の森の実験なども全く触れられていません。
 放課後子ども教室についても、今のような児童館的事業でいくのか、都内のように高学年児童の放課後児童クラブの機能を代替させていくのか、十分な検討と整理が必要なのに、メニューに並んでいるだけです。

(4)子どもの安心も課題だらけ
 事業の分類が雑すぎる項目です。子どもの医療の確保と経済的支援がどうしてごっちゃになるのか。子どもの医療支援というのは1本であるべきで、経済的支援とごっちゃになるから、医療費をタダにしておけばいい、という程度の政策決定しか行われないのだと思います。医療は、経済的支援のほかに、医療提供体制の確保、利用者の権利保護が重なって機能を果たすことで、お金を出しておけばいいという性質のものではありません。
 家庭の子育て支援も、どうしてここに内職相談が位置づけられるのか不明です。就労支援というものではないかと思うのですが。
 地域における子育て支援というテーマでは、他市にはある子育てネットワークが朝霞に形成されないのはなぜか、という問題意識と痛烈な総括が必要だと思いますが、全くありません。市内9ヵ所もある子育て支援センターが何をしてきたのか、市役所が何を課題として設定してきたのかも問題ではないかと思います。
 また世代を超えた子育てに、子どもに期待することが「社会性や協調性」というおとなの都合しかないのか。子どもが生きやすい地域づくりに、世代を超えた関与に全く意義を見いだしていないのか気になるところです。
 交通安全では、子どもの意識啓発ばかりが中心です。積極的に子どもを守る道路政策とは何か、ということが考えられていません。本来、自宅の軒先の道で遊べるところから地域コミュニティーもできてくるし、地域での子どもを見守る関係性、子どもの社会性も育っていくものではないかと思うのに、道路をクルマを使いやすい人の視点でだけ考え、クルマに使いやすくないと怒る人の声ばかり拾ってきた弊害をもっと明確に意識する必要があると思います。
 ユニバーサルデザインについて全く無意味な事業の羅列。子どもにとってのユニバーサルデザインという点では、市庁舎の整備や都市計画道路建設の完遂なんかではないはずです。市議会は子どもが傍聴できるのか、市の公共施設は子どもが借りられるのか、子どもが自分で企画して自分で何かをしようとしたときに、できるだけ援助者を必要としない仕組みはどう作れるのか、そこが問われた事業が並ぶべきです。

5.子ども子育て事業計画
(1)号という呼び方
 法律がそうなっているからですが、1号認定児童、2号認定児童という呼び方をやめるべきです。何となく品がありません。世間で認識されやすいように、幼稚園利用認定、保育園低年齢認定、保育園高年齢認定というようなイメージにつながる呼び方に変えてほしいものです。

(2)圏域
 設定はいらないと思いますが、現実に保育園を東上線と黒目川で割って整備調整している実態は共有すべきだと思いますし、それぞれの地域の子どもの人口増減と実際の保育園配置というのは考慮されるべきではないかと思います。

(3)保育所の整備
 幼稚園の今後の整備は予定されていませんが、現実に定員割れが出始めている状況からすると、仕方ないのかも知れません。
 保育園については、認可保育園の整備は今後はない、という計画です。一方、小規模保育B型は、2016、2017年度に増設されることが計画となっています。保育士のいないC型が整備されるようなことがないよう注意が必要です。
 また家庭保育室に115人いることが前提となっている計画です。この方々たちをどうとえら、どう施策を打つのか、問われてくると思います。

(4)延長保育
 全く内容がないものです。ここは保育所利用者のモラルがなっていないと詰められることが多いのですが、モラルがなっていないのは、仕事の都合で延長保育を利用しているわずかな保護者よりも、基本保育時間のなかで、必要量を上回る利用をしている人にあるのが実態なので、そこをきちんと整理して延長保育が保護者をダメにするかのような安易な議論は整理していくべきだと思います。

(5)放課後児童クラブ
 委員の問題提起も多かったところです。6年生までの拡大への対応には、従来の政策では行き詰まっていることが露呈しています。
 保護者委員から、無理じいはしないが保育時間の拡大を求める意見がありました。保育所とそろわない保育時間というのもどうかと思いますし、少なくない保護者が、保育所と放課後児童クラブの2ヵ所のお迎えをしなければならないことを考えると、その意見は重要な意見だと思います。市が日常的にお金がないことを理由にして進まないようですが、先の決算審査でも明らかにしているように、毎年放課後児童クラブの運営費の人件費部分を1割以上余らせて市に返還していることを知らない保護者に適当なこと言っているな、という感想を持っています。職員募集がという理由もありましたが、そんなものなんですかね、と思うところです。

6.計画の進捗
 副委員長が計画が計画で終わらせてはならない、とビシッと指摘しましたが、ここが重要だと思います。今の子どもプランみたいに、行政が考え、行政が安易に設定した目標に対して、行政評価で忙殺される運営で、朝霞市の子ども政策として何が必要か、という言葉を紡ぐ議論ができなければまったく会議を継続することに意味はありません。委員から事業の追加や変更が提案できるような場になることも必要だと思います。

※資料でいただいた素案のアップがうまくいかないので、後日改めてアップします。

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